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オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所:シドニーの人口 2036年までに600万人超えの見通し

シドニーの人口 2036年までに600万人超えの見通し

” オーストラリアの最大都市であるニューサウスウェールズ(NSW)州シドニーの人口は2036年までに600万人を超え、56年までには800万人を突破する見通し――。

法律事務所トムソン・ギアの不動産専門の弁護士であるブレット・ホーキンズ氏が指摘した。

同氏は、人口増に対応するため、向こう20年間で72万5,000戸の新たな住宅が必要になると主張している。オーストラリアンが伝えた。

ホーキンズ氏は、オーストラリアンが半年ごとに発行している法律雑誌「オーストラリアン・リーガル・レビュー」のためのパネル討論会で発言。

シドニーの不動産業界が直面している問題を解決するために合理的なアプローチが必要だとした上で、特にサプライサイド(供給側)に解決しなければならない問題が多いと述べた。

一方、シドニー・モーニング・ヘラルドによると、シドニー西部の8市議会を代表するウエスタン・シドニー・リージョナル・オーガナイゼーション・オブ・カウンシルズ(WSROC)は、ライド市議会が提案する新規住宅の建設をNSW州政府が差し止めていることを批判している。

WSROCの長を務めるバリ氏は、シドニーの中でも西部地域は最も急速に人口が増加している地域で、向こう20年内に人口が100万人を突破すると予想されていると指摘。

現在のインフラ投資では人口増に対応することができないと主張している。

不動産仲介大手の米ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)によれば、国内外の投資家が集合住宅の建設計画を撤回していることで、

オーストラリアの集合住宅完工件数はピークだった昨年の2万6,617件から来年は1万7,160件に減少する見通しという。

ただ、人口増と都市部への人口集中に伴い、シドニーとメルボルン、ブリスベンの減少幅は抑えられる見込み。(出典:NNA ASIA

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オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所:米軍 フィリップ・デイヴィッドソン提督が言及した米豪関係

米軍 フィリップ・デイヴィッドソン提督が言及した米豪関係

” 米国上院軍事委員会では、4月17日に、ハリー・ハリス米太平洋軍司令官の後任として指名されたフィリップ・デイヴィッドソン提督の公聴会を行った。

その中で、デイヴィッドソン次期太平洋軍司令官が、米国とオーストラリア、米国とインドとの関係について述べた部分を、以下に紹介する。

米豪関係について

・豪州は、100年の歴史をもつ信頼のおける米国の同盟国である。シリア、イラク、アフガニスタンを含む世界中の主要な紛争において、常に米国とともにあった。

豪州は、軍事的関与や防衛装備品の購入等を通じて、米国との関係を目に見える形で深め、インド太平洋地域の安定と繁栄に寄与している。

また、豪州は、米国の同盟国である日本や韓国とも関係を強化し、インド及びインドネシアとの防衛関係も重視している。

米豪同盟は、ANZUS条約に始まり、PACOM(米太平洋軍)での二国間協議、今年3月開催の軍の代表者会議により深化している。これらは、今夏開催の米豪「2+2」を支えるものである。

・米豪軍事関係では、相互運用性が最優先課題だ。豪州は、防衛システムの輸入国として世界第5位で、米国の防衛品輸出先として2位であり、常に米国の防衛装備品購入国として10位以内に入っている。

さらに、豪州は、第5世代計画において鍵となる開発パートナーである。10年間で1,450億ドルの豪州の防錆装備品計画のうち60%は米国からのものである。

PACOMは、米豪間の相互運用性において、訓練や演習を通じ、主要な役割を果たしている。

豪州は、地域の安全保障や経済を形成するのに、米国とともに影響力のあるパートナーである。

更に、豪州のインドや日本との関係強化は、多国間協力を推進し、地域のルールに基づいた秩序の維持、発展に役立つ。

・豪州は、米国と中国を、最も重要な国と位置付けている。豪州の輸入の21%、輸出の32%は中国とのものである。

豪州軍は、中国人民解放軍とも比較的安定した関係を保っている。豪州は、国際法に反する南シナ海等での領土や海洋権益の主張には反対している。

中国に対しても、透明性、ルールに基づく秩序の維持や国際規範の遵守の重要性を訴えている。

・米海兵隊のダーウィンへの移転や米豪航空協力の強化等は、戦略上も運用上も重要である。

戦略的には、インド太平洋地域への米国の関与を示し、自由で開かれた国際秩序の維持のために米豪同盟が強化される。

運用上は、米国と豪州及び他諸国との相互運用性が高まり、危機対応能力、強靭性等も強化される。”(出典:WEDGE

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オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所:数百万人の命を救ってきたジェームズ・ハリソンさん最後の献血

数百万人の命を救ってきたジェームズ・ハリソンさん最後の献血

” 希少な血漿(けっしょう)を持つオーストラリア人の男性、ジェームズ・ハリソン(James Harrison)さんは、数千回に及ぶ献血を行い、数百万人の命を救ってきた。

ドナーの制限年齢に達するジェームズさんは11日、家族や医療スタッフ、そしてジェームズさんから輸血を受けたことがある人々に囲まれ、最後の献血を行った。”(出典:AFPBB News

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オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所:メルボルンで国内一高いビル建設計画

メルボルンで国内一高いビル建設計画

” オーストラリア国内で最も高いビルの建設計画が、メルボルン市内中心部で浮上している。

ビクトリア王立協会は12日、同市内に国内で最も高い地上362メートルの60階建て超高層住宅「マジック」を建設する計画を明らかにした。

計画通り実現すれば、現時点で同市内で最も高い「ユーレカ・タワー」(297メートル)や2020年完成予定の「オーストラリア108」(319メートル)を大きく上回る。

全国でもゴールドコーストの「Q1」(337メートル)を抜いてトップとなる。

建設予定地は、ラ・トローブ・ストリートとビクトリア・ストリートの交差点にある三角形の角地。

標準的なテニス場の半分ほどの小さな敷地に超高級マンションを建設し、地元と海外の富裕層向けに販売する。

ビクトリア王立協会は科学研究の振興を目的に1854年に設立され、159年の歴史がある。計画の原案を設計した建築家のディラン・ブラディー氏は「オーストラリアの科学の中心地であるメルボルンを象徴する建物となる」と述べた。

同協会のデービッド・ザーマン会長は、高層住宅の売却益を「次の160年間に向け、協会の地元社会への貢献に役立てる」としている。

建設予定地は、世界遺産に登録されている王立展示館の敷地に隣接している。

計画が実現するには、文化財や歴史的建築物の保護を担当するVIC州遺産管理局のほか、連邦政府、メルボルン市などの認可が必要となる。

同王立協会は当局や地域社会と協議の上、およそ5年後の完成を目指す。”(出典:NICHIGO PRESS

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オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所:ボンダイ在住男性が、宝くじ高額当選連発で2億円獲得

ボンダイ在住男性が、宝くじ高額当選連発で2億円獲得

” オーストラリアで、宝くじで大金を手に入れた男性が、1週間も経ないうちに再び高額当せんする出来事があった。

氏名が明らかにされていないこの当せん者は、シドニーのボンダイ(Bondi)で暮らす40代の男性で、先週7日に102万487オーストラリアドル(約8,400万円)を引き当て、さらに12日、145万7834オーストラリアドル(約1億2,000万円)の賞金を手にした。

男性は当せんの知らせを受けた後、宝くじを販売するニューサウスウェールズ・ロッタリーズ(NSW Lotteries)に対し、

「ただただすごくて本当とは思えなかった」「こんな短期間に2度も当せんするなんてあり得ない。他の人たちに宝くじの必勝法をアドバイスできたらいいけど、何もない」と話した。

当せん金の使い道を尋ねられると、「くだらないことに使うつもりはない」と答え、シドニーで何らかの不動産に投資したり、新車を買ったり、「言うまでもなくホノルルで休暇を過ごし」たりするつもりだという。

宝くじの主催者によると、1週間に2度当せんする可能性は推計できなかったが、1度当せんする確率は184万5000分の1だという。

ニューサウスウェールズ・ロッタリーズ広報担当のマット・ハート(Matt Hart)氏はAFPに対し、

「1週間に2度も当せんした人を他に知らない」「これまでに人生で2度当せんした人々はいたが、1週間で2度はいなかった。ただ事ではなく類のない出来事だ」とコメントした。”(出典:AFPBB News

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オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所:オーストラリアの著名人 ㉒ 〜 スティーブ・プレイン

オーストラリアの著名人 ㉒ 〜 スティーブ・プレイン

” オーストラリアの登山家、スティーブ・プレイン氏(36)が14日午前7時に世界最高峰のエベレスト(ネパール&中国=8,848メートル)に2人のガイドとともに登頂。

同氏は1月16日に登りきった南極大陸のビンソンマシフ(4,892メートル)を皮切りに、南米のアコンガグア(アルゼンチン=6,959メートル)→アフリカのキリマンジャロ(タンザニア=5,895メートル)→オセアニアのカルステンツ・ピラミッド(インドネシア=4,884メートル)→欧州のエルブルス(ロシア=5,642メートル)→北米大陸のデナリ(米国=6,194メートル)のピークを極めたあとにエベレストを制覇し、史上最速となる117日で世界7大陸の最高峰を登り切った。

従来の記録は昨年にポーランドの登山家、ヤヌス・コチャンスキー氏が記録していた126日。

なおオーストラリア大陸の最高峰はコジオスコ(2,228メートル)だが、頂上付近までスキーのリフトがあるために、登山家にとっては登山の「対象外」となっている。”(出典:スポニチアネックス

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オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所:リチャード・コート駐日大使インタビュー ②

リチャード・コート駐日大使インタビュー ②

” ――ところでターンブル首相についてですが、アボット前首相と比べると、日本との関係を深めることには特別な思い入れがないように見えます

それは違います。私は両者を共によく知っています。2人とも、日豪関係の強力なサポーターです。

ターンブル首相は今年初めに来日しましたが、全てが非常に成功裏に進みました。

ターンブル首相自身も「日本は真の友人だ」と発言していましたし、安倍首相との協調もうまくいっています。

――個人的な見解ですが、もしターンブル首相が2015年にアボット政権を転覆させていなければ、新型潜水艦は日本が受注できていただろうと思っています。そして日豪の産業協力は、今よりはるかに進展していたでしょう

あの時、アボット政権でも既に、開かれた入札を導入することを話し合っていました。

そして入札したところ、日本とフランス、ドイツが非常に拮抗(きっこう)する価格で応札してきました。

そして最終的にフランスが受注したということであり、首相が誰であるかということとは関係がありません。

適切な入札プロセスが行われたということです。ですから結果は同じだったでしょう。

しかしオーストラリアだけでなく、軍事技術の初の大型輸出を狙った日本も、今回の入札を通じて得た教訓は多かったはずです。

入札に際して日本の企業連合がオーストラリアを訪れて全土を回りました。

新型潜水艦の生産パートナーになる場合に、オーストラリアの製造業界はどんな技術や経験を持っているのか視察したところ、

石油・ガスなどの資源業界を中心に、洗練された生産技術やインフラを持っていることが分かり、そこでオーストラリアに生産拠点を設けることにしたのです。

視野を広げれば、防衛技術に費やせる予算が限られているわれわれ両国は、アジア太平洋での軍事技術での開発協力が可能であることを知ったということです。

潜水艦入札の後、日本はオーストラリアの開発能力を知り、オーストラリアも日本の軍事技術能力の高さを学んだのです。

潜水艦の入札が残念だったとあなたはおっしゃいましたが、私は逆に、日豪の防衛協力が深まる可能性をもたらしたと思っています。

――オーストラリアの政界を見ると、ターンブル首相とアボット前首相の対立が見られます。保守政権にとっては来年の選挙に影響しませんか

まさに、デモクラシー(民主主義)が機能しているということに尽きます。政界でも同じように、民主主義では競争があります。

私は政治の世界に20年間いて、西オーストラリアの首相を8年間務めました。その間、誰かが私のポストを奪おうとしてきたものです。

国内政治についてはコメントできませんが、保守政権はわずかな差ながら優勢で、政府もうまく機能しています。選挙については、どういう結果であれ、オーストラリア人が選択することです。

――日本の政治に目を向けると、政権は現在スキャンダルまみれで、議会もほとんど政策議論ができていません。日本の政治文化について思うことはありませんか

私は日本の国内政治についてはコメントできません。唯一言えるのは、日本とオーストラリアが今までに無いくらい良好な関係だということだけです。

――オーストラリア大使館は今、「オーストラリアnow」を開催しています。日本を選んだのはなぜですか?

オーストラリア政府は毎年、「オーストラリアの今」を紹介するために、一つの国や地域を選んでいます。

昨年はドイツでしたが、今年はオーストラリア人からの日本への関心が高まっていることからも日本を選びました。

オーストラリア人はスポーツが好きですから、19年のラグビー・ワールドカップ、20年の東京オリンピック・パラリンピックと、大イベントが続くこともあるのでしょうし、観光客も増えています。

オーストラリア人の間で日本語学習率が高いこともあるでしょう。イノベーション、ライフスタイル、文化・芸術の分野で40イベントを開催する予定です。

――大使としてのミッションは何でしょうか

今の日本とオーストラリアの強固な関係を自己満足で終わらせない、ということでしょう。アジア太平洋で日本企業とオーストラリア企業が協業することを支援したいです。

例えばエネルギー分野は、ガスや石炭、再生エネルギーなどオーストラリア企業が強いですが、アジアではそれらを必要としている国がたくさんあります。

オーストラリア企業は、日本のエンジニアリング企業とLNGの受け入れターミナルなどで事業協力しています。日本企業はLNGの新規生産事業に投資している。

つまり日本はオーストラリアに投資し、他の市場に投資できる。われわれ両国は、その方式を別の分野にも適用できるということです。”(出典:NNA ASIA

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オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所:リチャード・コート駐日大使インタビュー ①

リチャード・コート駐日大使インタビュー ①

” オーストラリア政府が現在、日本でオーストラリアの姿を8カ月にわたって紹介する祭典「オーストラリアnow」など、日本でのPR活動を拡大させている。

その活動を率いるのが、東京で駐日オーストラリア大使を務めるリチャード・コート氏だ。

コート大使はかつて、西オーストラリア(WA)州の首相を務めた経験がある。

日本とは政治的、経済的に約40年間にわたって深い関係があったという大使に、両国をめぐる政治経済について、ざっくばらんに話を聞いた。【NNA豪州編集部】

――日本とはどんな関係があったのですか

WA州の政界を出た後の16年間は、民間の資源業界にいましたが、日本とは政治、商業いずれの分野でもすばらしい関係を築きました。

多くの日本の資源企業がWA州に投資しており、幾つかの企業には私もアドバイザーとして関わりました。当時は電力会社が海外の資源業界に投資する規制が緩和された時期でした。

実は私の父は、日本と深い関係がありました。父(チャールズ・コート元WA州首相)は第二次世界大戦当時、

オーストラリア軍でパプアニューギニアのブーゲンビル島におり、日本軍の捕虜返還交渉に携わったのですが、帰国してからWA州首相を務めました。

55年から60年代には日本と鉄鋼や液化天然ガス(LNG)交渉を手がけました。それはWA州にとって初のLNG輸出取引でした。

日豪の経済関係の強化だけでなく、かつての日本人捕虜たちとも再会して友好を深め、2008年に旭日重光章を受章しました。

私は政界に入って最初の10年間、野党にいました。それまでに培ったネットワークで日本企業に対し、WA州により多く投資するよう呼びかけました。

鉄鋼や石炭、LNGの輸出で、我々は近代の日本を手助けしたのだという自負があります(笑)。

――駐日本大使として1年たちました

この40年間で何度も日本を訪れ、またWA州の自宅にも日本企業の関係者を招いたりして、親交を深めてきました。

いつも日本文化には心地よさを感じてきましたが、大使として赴任した今回は特に日本の特質を垣間見ています。

安全で、人々は礼儀正しく、危機や災難に見舞われても優れたチームワークで対処する。

日本とオーストラリアの信頼関係は大変良好なので、オーストラリア政府が日本で責任ある職務を果たすのも難しいところではありません。全てが合格点、といったところでしょう。

――日豪は経済連携協定(EPA)を締結しましたが、日本市場でオーストラリア産農産物の状況はどうですか

EPAは両国が恩恵を受ける形で、非常にうまくいっています。日本とオーストラリアは共に貿易立国ですから、輸出を拡大させる必要があります。

市場を開放すると、外国産商品との競争が待ち受けますが、オーストラリアはそれを恐れてはいません。農業分野で、多くの教訓を得てきたからです。

関税を引き下げると、自国の農家が国際競争力をつけるということです。競争のある市場では、競争力を持たないと負けてしまうということです。

――環太平洋連携協定の新協定(TPP11)がまとまりましたが、オーストラリア連邦政府のチオボー貿易・観光・投資相が、米国がいないことはオーストラリアを利すると言っていました。これには同意できますか

まず、日本とオーストラリアは非常にうまく協調してTPP交渉をまとめ上げたことを言いたいです。

米国が抜けたらまとまらないだろうと言われながら、全く正反対のことが起きた。11カ国が協調して非常にポジティブに、うまくまとめあげました。

我々はいつも、米国がTPPに参加することについては支持してきました。オーストラリアは米国製品との競争を恐れません。

我々の仕事はオーストラリアのブランドを確立し、輸出先での評判を確立することです。

――しかし日本のスーパーで、オージービーフとアメリカンビーフが同じような価格で売られていたら、オージービーフは影響を受けませんか

それでもオージービーフの方が味はいいですよ(笑)。確かに米国はより大きな牛肉生産国で、巨大な輸出国でもあります。

しかしそうはいっても、われわれは市場の競争を恐れない、ということに尽きます。

面白いことに、丸紅のようにオーストラリアの牛肉市場に投資する日本の商社もありますし、イオンはタスマニアで牧場を経営しています。タスマニアはオーガニックの畜産製品でも知られます。

米国企業の立場を考えると、米国とオーストラリアでどちらが有利かは分かります。

アジア太平洋では、ある分野はオーストラリア、ある分野は日本に優位性がありますが、農業だけではなく、エネルギー分野など新しい分野で両国が協力することで、米国企業よりも輸出拡大の相乗効果が生まれるのです。

――日本産ブドウはオーストラリアに輸出できていませんが、日本ではオーストラリア産ブドウは4倍に増えています

ブドウは賞味期限が短く、輸出には特別な手入れが必要な産品ですが、それでも輸出を増やせることを示しています。

しかも日本のブドウと季節が逆になりますから、日本の消費者にとってもメリットがあるのです。

農産物は季節性の高い輸出品ですが、日本の農家は、海外の農産物に対して拒否反応を示しがちです。

ですが、日本の農家が南半球で生産することに興味を示し始めているのも確かです。それによって日本の収穫期と反対の季節でも日本に供給できます。

ポテトやタマネギを作る北海道の先進的な農家が、不作の年に備える形でタスマニアでいわばリスクヘッジとして生産するという形もできるのです。

ですから、例えば日本のブドウを、オーストラリアで生産することも可能です。

牛肉や果物だけでなく、アーモンドなどにも、日本からオーストラリアへの農業投資は増えつつあるのです。”(出典:NNA ASIA

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