「novel:小説」カテゴリーアーカイブ

伊東潤さんが描いた安政から明治を懸命に生きた女性の生きざま:『潮待ちの宿』読了

作家 伊東潤さんの『潮待ちの宿』を読了。

先月(2022年4月)、サイン本販売情報に反応して

出典:八重洲ブックセンター Twitter(画像はTweetにリンク)

入手していた一冊。

明治を生きた女性の・・

出だし

” 父はめったに感情を面に出さない男だったが、最後に振り向いた時、これまで見たことのないほど辛そうな顔で、志鶴を見つめていたのをよく覚えている。

それが何を意味するのか、その時には分からなかったが、夕方になっても父が戻ってこないことで、志鶴はその理由を覚った。”(p10)

の一文に、重たさを覚悟させられたものの

続きを読む 伊東潤さんが描いた安政から明治を懸命に生きた女性の生きざま:『潮待ちの宿』読了

購入から一年を経て、劉慈欣さんのSF大作『三体』の世界観に浸ってみる その弐

先週、読み始めの段階で記事にした ↓

<< 2022年5月6日投稿:画像は投稿にリンク >> 購入から一年を経て、劉慈欣さんのSF大作『三体』の世界観に浸ってみる その壱

5冊に及ぶ三体シリーズの1冊目『三体』を連休期最終日に読了。

もっとも感覚は読了とは言い難く、上掲記事のアップロード後、大部分を先週末の東京⇄大阪移動時の新幹線内で読み進め、

全433ページ(別途「訳者あとがき」)読み終えた後に感じた重量感に、先ず抱いた感想は「難しかったなぁ・・」と、ストーリーの全体像を頭で描き切れず。

拡がりゆくスケール感

タイトルに絡む(であろう)「三体問題」とは

続きを読む 購入から一年を経て、劉慈欣さんのSF大作『三体』の世界観に浸ってみる その弐

購入から一年を経て、劉慈欣さんのSF大作『三体』の世界観に浸ってみる その壱

ゴールデンウィークの最中、半沢直樹シリーズ4冊を読み終え ↓

<< 2022年5月4日投稿:画像は記事にリンク >> 2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その五:『半沢直樹4 銀翼のイカロス』読了

次なるは、これも1年前(2021年5月)に購入していた ↓

著者サイン本&訳者サイン本を組み合わせたサイン本(5冊)セット

三体』シリーズ計5冊。

押し寄せた世界的話題作

サイン本ということで興味を持ち、書店での大々的な展開に、

続きを読む 購入から一年を経て、劉慈欣さんのSF大作『三体』の世界観に浸ってみる その壱

2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その五:『半沢直樹4 銀翼のイカロス』読了

池井戸潤さんの半沢直樹シリーズ4作目、『半沢直樹4  銀翼のイカロス』を読了。

前作舞台の出向先から東京中央銀行へ戻った半沢直樹に頭取肝入りで、再建計画が急務な航空会社の対応策を託され、

そこに政権交代を果たした与党に、再建屋から脱却を図り名を挙げたい弁護士の思惑に、

続きを読む 2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その五:『半沢直樹4 銀翼のイカロス』読了

2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その四:『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』読了

今週3冊目となる池井戸潤さんの半沢直樹シリーズ『半沢直樹3  ロスジェネの逆襲』を読了。

舞台はこれまでの東京中央銀行から半沢直樹は系列証券の東京セントラル証券へ出向となり、そこに持ち込まれた買収案件が、

“「企業買収の情報を察知した証券営業部がメーンバンクの立場を利用して、電脳の社長にアドバイザーをウチに乗り換えるよう説得した話だ」”(p47)

と、よもやの形で親会社と言える東京中央銀行に召し上げられ、蠢く謀略に、露呈した不自然さから次第に描かれていく逆転の構図。

絡み、もつれる職場感情

そこにはプロパー社員と幅を利かせる銀行からの出向組みとの軋轢に、

続きを読む 2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その四:『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』読了

2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その参:『半沢直樹2 オレたち花のバブル組』読了

池井戸潤さんの『半沢直樹2  オレたち花のバブル組』を読了。

『半沢直樹1  オレたちバブル入行組』読了↓

<< 2022年4月26日投稿:画像は記事にリンク >> 2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その弐:『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』読了

翌日の連日での読了となりましたが、

朝に晩に電車に乗っている移動時間が長めの日であったことと、2冊目ということで、筋、世界観に馴染みやすい感覚になっていたことが、一気に約400ぺージ駆け抜けた要因になったものと。

濃すぎる面々との攻防

今回は、

続きを読む 2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その参:『半沢直樹2 オレたち花のバブル組』読了

2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その弐:『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』読了

先週末から読み始めた池井戸潤さんの『半沢直樹1  オレたちバブル入行組』を読了。

読み始めて段階の記事で ↓

<< 2022年4月24日投稿:画像は記事にリンク >> 2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その壱

> 「ページが進むほど加速していくんだろうなぁ」

と書いていた通り、

続きを読む 2022年のゴールデンウィークは1年前に買っていた『半沢直樹』を今更ながらに読書 その弐:『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』読了

藤崎沙織さんが向き合ったSEKAI NO OWARIが走り始めるまでの日々:『ふたご』読了

SEKAI NO OWARI Saoriさんこと藤崎沙織さんの『ふたご』を読了。

昨年(2021年)秋に読んだエッセイ集から↓

<< 2021年10月21日投稿:画像は記事にリンク >> 藤崎沙織さんのアーティストの感性で綴られた日常に惹き込まれた:『ねじねじ録』読了

次は〜 といった具合で、直木賞候補作にもなった本書に注目していた経緯。

実体験に基づいたからこその

二部構成で、

” 家族が誰もいないのをいいことに、ソファの上に足を投げ出した。中学校は休みだ。”(p012)

の一文で始まる本書。主人公の西山夏子と一学年先輩 月島悠介との

” ただ関係を聞かれただけで、こんなにも傷ついてしまうのはどうしてなのだろう。月島と私だけが分かっていればいい。その考えがこんなにも脆いものだと思い知らされる日が来るなんて、想像してもみなかった。”(p119)

と、先輩後輩でもなく、友達以上ながら恋人でも括れない且つ刃物を突きつけられたりもする危なっかしい綱渡りの関係が、

続きを読む 藤崎沙織さんが向き合ったSEKAI NO OWARIが走り始めるまでの日々:『ふたご』読了