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EXIT兼近大樹さんが描いた赤裸々、迸る若者が駆け抜けた日々:『むき出し』読了

お笑いコンビ EXITの兼近大樹さんの『むき出し』を読了。

昨年末、空き時間に書店に立ち寄った際、

出典:EXIT 兼近さんTwitter(画像はTweetにリンク)

発売直後ヒート↑していた

一冊だけ平積みコーナーで販売されていた本書サイン本

(本書)サイン本を見つけ反応、2021年最後に購入した一冊。

私小説を感じさせられるリアリティ

当初、

“「だいき! 学校どうだったの?」”(p44)

と実名と被る登場人物名に、出身地の北海道の設定に「(兼近大樹さんの)私小説?」と思いきや

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筒井康隆先生が描いた夢と現実を行き交う研究者/夢探偵の奮闘:『パプリカ』読了

筒井康隆先生の長編『パプリカ』を読了。

代表作の一つと承知していて、半年ほど前にサイン本を購入出来ていたところ

購入本に書かれていたサイン

昨年(2021年)末頃から未読であることが気になり出し、年明け落ち着いたところで手に取った経緯。

ズシンとくる夢と現実を行き交う読後感

6日ほどかけて第一部〜第二部の全475ページを読み終え、本数冊を読み込んだかの読後感 ^0^;

あら筋を巻末の文芸評論家 斎藤美奈子さんの「解説」から引用すると

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佐藤究さんが描いた暗黒に堕ち疾走した男の軌跡:『サージウスの死神』読了

2022年を迎え最初の読了本は、小説家 佐藤究さんの『サージウスの死神』。

巻末の書評家 吉田大助さんの「解説」によると

” この一九七七年福岡県生まれの作家は、実は二七歳の時に純文学のフィールドでデビューしていた。

当時のペンネームは、佐藤憲胤。第四七回群像新人文学賞優秀作を受賞した、純文学作家としてのデビュー作が、このたび一五年越しに初めて文庫化されることになった『サージウスの死神』だ。佐藤究のルーツは、これだ。”(p210-211)

と後の2021年『テスカポリトカ』↓

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で、直木賞を受賞することなる佐藤究さんの記念碑的な作品。

鏡三部作と称されるシリーズの一作目

また、『テスカポリトカ』に至る三部作に名を連ねるとの作品で

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筒井康隆先生が描いた奔放な性なる世界:『陰悩録 リビドー短篇集』読了

2021年末、筒井康隆先生の『陰悩録   リビドー短篇集』を読了。

本書について巻末の藤田宜永さんによる「解説」から引用すると

” すべての短篇のテーマはセックスである。”(p355)

というもので、収録されている作品は全部で十四篇。

描かれているのは

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佐藤究さんが描いた果てしなく深淵なる闇:『テスカポリトカ』読了

前々回に、読み始め記 ↓

<< 2021年12月18日投稿:画像は記事にリンク >> 佐藤究さんが描いた果てしなく深淵なる闇:『テスカポリトカ』読み始め

をアップロードしていた佐藤究さんの『テスカポリトカ』を読了。

リアリティ滲み出る巧みな描写

早々に、(移動しながら等の)ながら読みでは対峙出来ぬであろう重層的且つ一筋縄では読み解けぬであろう設定に気づき、

週末のまとまった時間を本書の読み進め(300ページ+)にあてた次第でしたが、結論としては一回で記述を読解出来るところまでに至らずも、

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佐藤究さんが描いた果てしなく深淵なる闇:『テスカポリトカ』読み始め

第165回直木賞受賞作 佐藤究さんの『テスカポリトカ』を読み始めて

 I 顔と心臓

 II 麻薬密売人と医師

 III   斷頭台

 IV 夜と風

 暦にない日

と分かれているうち「I  顔と心臓」を読み終え、「II  麻薬密売人と医師」の前半に差し掛かっている(〜p190)ので、そこまでのおさらい。

読み始めの経緯は ↓

<< 2021年12月16日投稿:画像は記事にリンク >> 世界観に興味刺激され一挙に並んだ佐藤究さん代表作 2021年10月購入積読4冊

で触れていますが、立ち上がり

” 十七歳のメキシコ人少女の冒険。

牛肉を運ぶトラックの荷台にまぎれこみ、毛布にくるまって木陰で眠り、知らない州の知らないバスに乗り、ひたすら南下する。やせこけた老人が乗る牛車よりもさらにのろまな農家のトラクターを呼び止めて、むりやり乗せてもらったこともあった。

相手がどんなにやさしげな笑顔を見せてこようと、信用しない。”(p014)

という生き残りを賭けた冒険の末、日本に辿り着き、そこから彼女軸に話しが推移していくのかと思いきや 続きを読む 佐藤究さんが描いた果てしなく深淵なる闇:『テスカポリトカ』読み始め

筒井康隆先生が描いた九篇の混沌:『東海道戦争』読了

筒井康隆先生の『東海道戦争』を読了。

サイン本入手機会に

たくさん購入出来た筒井康隆先生サイン本、2021年はこれで最後!?

即反応して入手していた一冊。

本書は、

 東海道戦争

 いじめないで

 しゃっくり

 群猫

 チューリップ・チューリップ

 うるさがた

 お紺昇天

 やぶれかぶれのオロ氏

 堕地獄仏法

の九篇を収録した短篇集。

“「東海道戦争?」

「ええ、東京と大阪の戦争だから、そう呼ぶのがいちばん適当でしょう」

「何ですって、じゃあ、さっきから敵だ敵だといっていたのは、東京のことなんですか?」”(p21)

というタイトルに掲げられた「東海道戦争」に、

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筒井康隆先生が描いた特殊能力を持つ家事手伝いが視た八編の家族模様:『家族八景』読了

筒井康隆先生の『家族八景』を読了。

本書刊行後『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』と続く、七瀬三部作の一作目にして、筒井康隆先生最後(三回目)の直木賞候補作品。

本作の主人公 火田七瀬は

” 他人の心を読み取ることのできる能力が自分に備わっている “(p10)

という特殊能力を自覚。

本書も購入のトリガーはサイン本

” 家事手伝いという、家庭から家庭へ転転と移っても不思議に思われない唯一の職業を選ぶことで辛うじて社会から身を遠ざけ一ヵ所に落ちつくことを避けている “(p217)

家事手伝いを生業とし、タイトルの『家族八景』とは本書に収録されている八話の家族模様が描かれたもの。

表の顔とは裏腹な・・

登場する家族は

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