筒井康隆先生の『家族八景』を読了。
本書刊行後『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』と続く、七瀬三部作の一作目にして、筒井康隆先生最後(三回目)の直木賞候補作品。
本作の主人公 火田七瀬は
” 他人の心を読み取ることのできる能力が自分に備わっている “(p10)
という特殊能力を自覚。
” 家事手伝いという、家庭から家庭へ転転と移っても不思議に思われない唯一の職業を選ぶことで辛うじて社会から身を遠ざけ一ヵ所に落ちつくことを避けている “(p217)
家事手伝いを生業とし、タイトルの『家族八景』とは本書に収録されている八話の家族模様が描かれたもの。
表の顔とは裏腹な・・
登場する家族は
続きを読む 筒井康隆先生が描いた特殊能力を持つ家事手伝いが視た八編の家族模様:『家族八景』読了 →
筒井康隆先生の『ロートレック荘事件』を読了。
数多ある筒井康隆先生の作品の中で、数少ないミステリー作品とのことで、
「サイン本出ないかなぁ」と思っていたところ・・
望んだ状況が訪れ ^0^/ 入手叶えていた経緯。
思い出の別荘で起きた惨劇の切ない真相
幼少期を過ごした別荘が人手に渡り、新たな持ち主から誘いを受けた夏、
その場に集った思惑秘めた者たちの間で突如起きた連続殺人・・
続きを読む 筒井康隆先生のミステリーに惹き込まれた:『ロートレック荘事件』読了 →
1989年4月出版ながら2021年において再び脚光を浴びているとの
筒井康隆先生の『残像に口紅を』を読了。
話題のもとは・・
本書冒頭で、主人公の作家のもとへ懇意にしている評論家から
” もしひとつの言語が消滅した時、惜しまれるのは言語かイメージか。つまりは言語そのものがこの世界から少しずつ消えていくというテーマの虚構。
・・中略・・
ひとつのことばが失われた時、そのことばがいかに大切なものだったかが始めてわかる。
そして当然のことだが、ことばが失われた時にはそのことばが示していたものも世界から消える。そこではじめて、それが君にとっていかに大切なものだったかということが」”(p18)
との提案を受け、本書の一章進むごとに五十音が一つずつ消えていくという実験的SF小説。
(次第に文字が失われていくとの)コンセプトは聞いたことあったものの
最初はともかく中、後半に至って消えた文字数が多い中でも小説が整理しているのは圧巻。
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小説推理新人賞作家 上田未来さんのデビュー作『人類最初の殺人』を読了。
サイン本販売でフラグが立ち
そのインパクトあるネーミングに装丁等から好奇心刺激され、購入に至っていた経緯。
重たいテーマを軽やかに
本書には
人類最初の殺人
人類最初の詐欺
人類最初の盗聴
人類最初の誘拐
人類最初の密室殺人
の六話を収録。
例えば、タイトルにもなった「人類最初の殺人」では
続きを読む 上田未来さんが綴った6つの人類最初の犯罪史:『人類最初の殺人』読了 →
筒井康隆先生のショートショート集『あるいは酒でいっぱいの海』を読了。
2021年8月の再発に合わせ、
サイン本が発売されたチャンスを捉え入手していた作品。
「一体全体、筒井康隆先生のタイトルって何冊?」と2021年に入っても新刊に、再発に次から次に・・ との印象ですが、
昭和に出版されたショートショート集に限れば、巻末の日下三蔵さんの「解説」によると、本作を含め『にぎやかな未来』『笑うな』『くたばれPTA』の四作品にとどまるそうな。
本作に関して、筒井康隆先生ご自身は昭和五十二年十月に書かれた「あとがき半分・解説半分」で
続きを読む 筒井康隆先生が、まだ駆け出しの頃に綴った三十の短編:『あるいは酒でいっぱいの海』読了 →
先週、中間記を ↓
アップロードした作家 川上未映子さんの『夏物語』を先月(2021年10月)末読了。
中間記を書いている頃には、描かれている話しの筋に凄みを掴めていませんでしが、
続きを読む 川上未映子さんが示した生命の意味をめぐる真摯な問い:『夏物語』読了 →
川上未映子さんの『夏物語』を読み始めて
第一部 二〇〇八年 夏
1 あなた、貧乏人?
2 よりよい美しさを求めて
3 おっぱいは誰のもの
4 中華料理店にやってくる人々
5 夜の姉妹のながいおしゃべり
6 世界でいちばん安全な場所
7 すべての慣れ親しんだものたちに
第二部 二〇一六年 夏〜二〇一九年 夏
8 きみには野心が足りない
9 小さな花を寄せあって
10 つぎの選択肢から正しいものを選べ
11 頭のなかで友だちに会ったから、今日は幸せ
12 楽しいクリスマス
13 複雑な命令
14 勇気をだして
15 生まれること、生まれないこと
16 夏の扉
17 忘れるよりも
と、章立てされているところ「第二部 12 楽しいクリスマス」まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
生々しさから根源的な問いへ?!
目次を書き出すだけでもサラッといける量ではないですが、ページ数にすると実に652ページ(!)
購入したきっかけがサイン本且つアメリカでも評判を得ていることによるもの。
その安易さとは裏腹に、いざ読み始めると・・ 内容を含め相応の覚悟を求められる長編で、頭に全体像を上手く描けていませんが、
裏表紙に
続きを読む 川上未映子さんが示した生命の意味をめぐる真摯な問い:『夏物語』中間記 →
作家 有川ひろさんの『みとりねこ』を読了。
Twitterで見つけたサイン本販売情報から帯に踊る
「稀代のストーリテラーが綴る7編、7匹の物語」
なるコピーに好奇心を刺激され、
真夏の夜、閉店間際の書店に駆け込んで入手していた一冊。
七様の猫の物語
本書は、
ハチジカン 〜旅猫リポート外伝〜
こぼれたび 〜旅猫リポート外伝〜
猫の島
トムめ
シュレーディンガーの猫
粉飾決算
みとりねこ
の七話で構成。
それぞれ異なる猫と飼い主らが織りなすストーリーで、一話目の「ハチジカン 〜旅猫リポート外伝〜 」は、
続きを読む 有川ひろさんが綴った猫と人が心を通わす七つの物語:『みとりねこ』読了 →
「冒険」に出たものだけが、大きな果実を手にすることができる