高田文夫さん、松村邦洋さん、いち・にの・さんぽ会メンバーが歩いて書き留めた東京右側=下町の粋な世界:『高田文夫と松村邦洋の東京右側「笑芸」さんぽ』読了

先月(2017年11月)、刊行記念トークショーに参加した

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対象書籍の『高田文夫と松村邦洋の東京右側「笑芸」さんぽ』を読了。

” 高野 二〇一三年に高田センセーからもらった年賀状に「今年は歩くよ!」って書いてあって・・・。

・・中略・・

高田 あれは、二〇一二年の四月にオレが倒れて心肺停止になって、その後、ずっと病院にいたでしょ。体が動かないから看護師さんに車イスを押してもらってさ、屋上から外を眺めたりしてたの。

日大病院だったんだけど、ちょうど交差点が見下ろせるんだよ。駿河台にあるから向こうに明治大学があって、学生さんかな?

若い人がね、信号が赤に変わりそうな交差点を、パッと走って向かいのパスタ屋さんに駆け込んだの。

それを見ていてさ、『オレ、あの人になりたいな』って。『もう一度、信号を走って渡って、パスタ屋さんに駆け込んでみたいな』って本気で思ったんだよ。

渡辺 それが、年賀状の「今年は歩くよ!なんですか」

高田 そう。「歩くよ」ってのは、「一緒に」っていう意味だから。”(p111)

高田とは高田文夫さんで、高野(ひろし)さんも、渡辺(誠)さんも、同じ「いち・にの・さんぽ会」のメンバーで

上述のような(高田文夫さんの)経緯があって、

2013年2月以降、定期開催されることになった「いち・にの・さんぽ会」の記録の一部(10ルート)が収録されたもの。

本書 p62-63

変わりゆく東京の2020年東京五輪前の・・

タイトルに「読了」の文言を用いたものの、実際はふんだんに使われている写真と、添えられたコメントを眺めるような感じとなりますが、

” このさんぽ会のキーワードは、東京の右側&落語なのだ。”(p8)

というコンセプトのもと、楽しげな雰囲気に、「へぇー」となるような薀蓄に、

私自身は同左側住人ゆえ、馴染みの薄い右側の世界、佇まいの断片を感じ取ることが出来ました。

印象的であったのは、トークショーでも語られたことですが、東京の街がどんどん変わっていっているということ。

例えば、それは高田文夫さんの

” 今、歩いておかないと!このさんぽ会は、オリンピックに向けて様変わりしていく東京の最後の記録でもあるんだね!”(p93)

の一言でも示されています。

読んで感じる東京「右側」の魅力

TVでは高田純次さんの『じゅん散歩』など、街歩きものは一つトレンドの感も、

この本は高田文夫さんや松村邦洋さんの感性、知識が相まって独自の「東京史」が散りばめられているように感じました。

本の最後、「いち・にの・さんぽ会」メンバーによる(紙上)座談会で、高田文夫さんの

” 今回の本は、これまでさんぽ会で歩いた中から一〇コースしか紹介されていないから、これが売れたらまた続編が作れるな。”(p123)

の一言で締めくくられており、また続編刊行の際には、トークショーから、その雰囲気に浸りたいものです。

 


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