「novel:小説」カテゴリーアーカイブ

万城目学さんが管理人を担った雑居ビルで膨らませた妄想の果て:『バベル九朔』読了

小説家 万城目学さんの『バベル九朔』を読了。

(2021年)6月、西荻窪の今野書店で開催されていた万城目学さんの『ヒトコブラクダ層ぜっと』刊行記念フェアで

出典:万城目学さんTwitter(画像はTweetにリンク)

購入していた

サイン本目当てに今野書店を再訪し・・ 出典:万城目学さんTwitter(画像はTweetにリンク)

2冊のうちの1冊。

入手叶ったサイン本

夜明け前の時期を過ごした・・

舞台は、

” 大学卒業後に勤めたハウスメーカーの事務職を三年で辞め、俺は単身この街にやってきた。おばが退去し、空き部屋になったばかりの五階に社員寮から荷物を移し、バベルの管理人となることを一方的に宣言した。”(p20)

という

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先月(2021年9月)読んだ『べらぼうくん』にある万城目学さんの人生の転機を迎えた雑居ビルに着想を得たであろう作品。

拡がるスケール

当初は、管理人とテナント間の交流、人間模様といった次元が、

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伊東潤さんが描いた戦後沖縄の瀬長亀次郎さんと志を支えた男たち:『琉球警察』読了

作家 伊東潤さんが、終戦直後の沖縄を描いた『琉球警察』を読了。

三度、(伊東潤さんの)サイン本入手機会を得て

狙っていたサイン本を晴れてget.-

手元に引き寄せていた著書。

戦後沖縄の精神的支柱

本書は、戦後、米軍の管理下に置かれた沖縄で、奄美諸島出身で琉球警察に採用された主人公(東貞吉)が、

” 「これからの警察は諜報活動、すなわち敵対する勢力の情報を収集する能力が必要になる。とくにここではな」”(p93)

と、共産主義諸国から太平洋を守る戦略的要衝に位置付けられた沖縄で、時代の要請に応える形で沖縄初の公安警察官として着任。

“「われわれは戦争に負けた。だからといって『負けたんだから仕方がない』と言っていたらだめだ。戦争をしたのは東京の政府であり、沖縄人ではない。われわれは勝手に巻き込まれ、故郷の地を戦場にされた。

それがようやく終わったのも束の間、沖縄だけがすべてを奪われた。そんな理不尽なことなどあってたまるか。われわれは戦争に負けて親兄弟を殺された上、土地まで奪われたんだ。これでは戦争で死んでいった者たちも浮かばれない。”(p166)

といった主張を声高にし戦後沖縄の精神的支柱であった瀬長亀次郎さんの行動を

” 返還運動が暴徒化しないように取り締まるのが警察の役目だ。米軍の資産を焼き打ちするなどして市民が暴徒化すれば、USCARの思うつぼだ。やつらは治安部隊を出動させ、市民を弾圧するだろう。

そうなる前に返還運動の過熱を抑えるのが、われら警察の役目だ。その結果、われらは皆から後ろ指を指されるかもしれない。それでも堪えねばならん。それが警察官だ」”(p139)

との職責に沿い監視の目を光らせつつ、次第に叫ばれる主張、思いに共鳴し葛藤を抱えながら、

そこに内情を探るべく瀬長亀次郎さんに心酔する学生に、跋扈していた米軍らの思惑が絡み、次第に心の振れ幅が拡大・・

事態を揺るがす不可解な殺人事件が起こり、微妙に保たれていた均衡が失われ、物語のクライマックス(エンディング)に導かれていきます。

熱い生きざま交差する物語

『琉球警察』で伊東潤さんの著書三冊目となりますが、今回も読前の期待に沿う

購入本に書かれていたサイン

熱い生きざまに身を委ねた者たちが繰り広げるストーリーに早々に惹き込まれ、快調に全432頁の最終頁まで導かれていきました。

報道番組等で、しばし沖縄の方々の烈しい感情に触れていましたが、その原体験を見せつけられた思いを読中強く抱いた読書となりました。

岩井俊二監督が描いた謎を追う編集者と深い思いを持つ画家とのまさかが連続するミステリー:『零の晩夏』読了

岩井俊二監督の『零の晩夏』を読了。

Twitterで遭遇したサイン本入手機会に即反応し、

出典:岩井俊二映画祭 Twitter(画像はTweetにリンク)

手元に引き寄せていた著書。

満を辞しての初

岩井俊二監督のお名前は、その高い評価とも長く承知していたものの、これまで作品に触れる機会なく、

書籍(原作?)ながらようやく訪れた初機会。

サインきっかけということで、予め帯に目を通しておけば内容を想起することも出来たでしょうが、

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筒井康隆先生が描いたカオスな展開に爪痕残される短篇集:『ウィークエンド・シャッフル』読了

筒井康隆先生の『ウィークエンド・シャッフル』を読了。

(2021年)5月末から6月中旬にかけて購入していた筒井先生本7冊のうちの一冊。

本作には

 佇むひと

 如菩薩団

 「蝶」の硫黄島

 ジャップ島

 旗色不鮮明

 弁天さま

 モダン・シュニッツラー

 その情報は暗号

 生きている脳

 碧い底

 犬の町

 さなぎ

 ウィークエンド・シャッフル

の13作品を収録。

急展開、カオスな・・

八人組みの主婦団が、金持ち宅にアポなしで往訪し、

“「申し上げにくいんですが、実はあの、わたくし共は泥棒でございます!」”(p34)

の一言から劇的に場面が緊迫していく「如菩薩団」に、

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筒井康隆先生が綴った型破りな刑事が躍動する四篇の推理小説:『富豪刑事』読了

筒井康隆先生の『富豪刑事』を読了。

(2021年)5月末から6月中旬にかけて購入していた筒井先生本7冊のうちの一冊。

TVドラマ版は視聴していないものの深田恭子さん主演といった程度は承知、筒井作品の代表作のうちの一作と捉えており、

購入本に書かれていたサイン

サイン本入手機会に飛びついていた経緯。

大富豪の子息(刑事) x ミステリー

TVドラマの主役は女性であったものの、原作では男性。収録されているのは

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京極夏彦さんが描いた江戸末期、遠野での化け物騒動:『遠巷説百物語』読了

週初め、中間記 ⬇︎

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をアップロードした京極夏彦さんの『遠巷説百物語』を読了。

その(中間記)後、読み進めたのは

 鬼熊

 恙虫

 出世螺

の三話。中間記の所感で

> 文は平易に分かりやすく

と書きましたが、後半はそのハードルが上がった印象有り。当初は独立した話が六篇と思いきや

大きく影響せずとも登場人物の重複など前話の内容を引用した記述に、そもそも本作はシリーズものの新作との位置付けで

遥かに深い読み方があることに中途から気づかされました。収められている話しは

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京極夏彦さんが描いた江戸末期、遠野での化け物騒動:『遠巷説百物語』中間記

小説家、意匠家 京極夏彦さんの『遠巷説百物語』を読み始めて

 歯黒べったり

 礒撫

 波山

 鬼熊

 恙虫

 出世螺

と六篇収録されているうちの三篇を読み終えたので、そこまでのおさらい。

ふと何かの機会、京極夏彦さんのサインを見て、筆跡に魅了されて程なく、

サイン本、最後の一冊に遭遇。

サイン本販売機会に直面、最後の一冊を確保出来たことで入手していた著書。

未知なる京極小説の世界観

名前は頭に入っていたものの初の京極夏彦さん本で、帯に

江戸末期の遠野で「化け物退治」が繰り広げられる。

本書、帯。

とあり、怪談を想定しての読み始め。

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万城目学さんが描いた特殊能力を持つ三つ子の大冒険劇:『ヒトコブラクダ層ぜっと(下)』読了

週中に、上下巻のうちの上巻を読み終えていた

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万城目学さんの『ヒトコブラクダ層ぜっと(下)』を読了。

下巻は、上巻を上回る490ページ、下巻突入時についていた加速感も、さすがにスローダウンしましたが・・

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