「フィンテックって何?」という疑問に対して、やさしく寄り添ってくれる一冊:『フィンテック』読了

” ITを活用した革新的な金融サービス事業 “(位置No.104/数値は電子書籍のページ数)

を学ぶべく手に取った『フィンテック』を読了.-

中間記を書いている本の中盤に差し掛かってから

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<< 2016年8月31日投稿:画像は記事にリンク >> 「フィンテックって何?」という疑問に対して、やさしく寄り添ってくれる一冊:『フィンテック』中間記

総論から各論に移行し、フィンテックの個別スタートアップ事例に話題が移行していき、

理解度が低下していったものの、ペース落ちることなく読了に至る。

専門外、ジャンル初めての本としては、こんなものですかねー。

フィンテックが担う社会的要請

本の全体的なことについて書くと、日本だと実感しづらいものの世界では・・

” ある研究によれば、世界で生産年齢に当たる成人の約半分が正式な金融サービスから排除されていると推計しています。”(No.162)

と、銀行口座を持つことが当たり前ではない世の中(例えばインドでは人口の47%が銀行口座を持っておらず、中小零細企業の90%は金融機関との取引がないそうな/No.2358)にあって、

” フィンテックサービスは既存の金融機関によるサービスと比べて、非常に低価格でサービスの提供 “(No.154)

し、

” それまで「金融」が届かなかった地域に「金融」を届けること、それが「フィンテック」の本当の意味での機能 “(No.2094)

と、著者の柏木亮二さんがフィンテックの社会的使命を定義し、その世界で起こってきたことに、起こっていることに、起ころうとしていることが、予測を交え端的に解説されている一冊。

なお、フィンテックが急拡大してきた背景にはスマートフォンやSNSなどの普及があり、銀行口座を持つことなく金融サービスを享受出来る社会の実現に寄与している。

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フィンテックが誘う半歩先の未来

多額の利益を生む金融業界にあって、日進月歩で進化しているフィンテックの世界で、

これまで様々な革新的サービスが世に出たり、日の目を見ることなく消えていったり、

栄光と挫折が繰り広げられている状況で、その延長線上の世界には、

例えば保険の世界では、トロフという盗難や破損のリスクが高いときだけ利用できるオンデマンド保険(No.2424)が在るそうで

そこから予測され得る未来の一例として・・

” 自宅のセンサーが、家に誰もいないときは自動的に盗難保険に入ってくれたり、料理をしている最中は火災保険に入ってくれたりするかもしれません。

自動車が自宅の駐車場に止まっている間は車両保険のみ、運転している時には事故補償が設定され、

高速道路に乗れば少額の掛け捨て保険が引き落とされるような自動車保険が可能になるかもしれません。”(No.2415-2424)

という現実世界であったり、「ライフログエコノミー」なる概念では

” 「ライフログエコノミー」ではそれまで見過ごされてきた普段の行動が経済的な価値を持つようになります。

そして、リレーションシップマネジメントのところで述べたような、ユーザーが製品やサービスを利用するたびに企業から幾らかのポイントがもらえるようなサービスが実現されたとしたら、

そのポイントをもとにその人の行動を評価することも可能になりそうです。

「トヨタからの安全運転ポイントがこれだけたまっているから、この人は高い評価にしよう」といったような評価です。

また「ライフログエコノミー」の価値の高い人とのつながりが多い人は信用力が高いというような評価が生まれかもしれません。

つまり持っている「お金」よりも、その人の「行動」により重要な価値を見出すような社会が到来するかもしれないです。

これまで「お金」は「一番便利だから」「ほかにないから」という理由で、価値判断の尺度として広く利用されてきました。

しかしフィンテックはもしかしたら、「お金」以外の価値判断の尺度をもたらしてくれるかもしれません。”(No.2442-2450)

と、このあたりは岡田斗司夫さんの主張↓に

リンクする部分も感じ、複数の識者が予見した未来に蓋然性の高さも感じました。

とりあえず感じてみたフィンテックの世界

ともあれフィンテックの世界で具現化されたサービスが社会、世の中を変えていくシナリオが語られていて

それが遠くない未来であることに、実感掴みづらいところはありながらもワクワクさせられました。

腹落ちするには本書一冊では足らず、継続した学びが必要と思いますが、

我々の日常生活と切っても切り離すことのない金融の世界が起こされるであろう「未来」に興味を持っておられる私のような金融の素人の方にはお手頃な一冊、であるかもしれません。

 


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