高城剛さんに学ぶ、ドローンが誘(いざな)う、すぐそこに訪れている未来:『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?』読了

高城剛さんの『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?』を読了.-

と、タイトルだけでは「何の本やら」という感じですが、サブタイトルに「ドローンを制する者は、世界を制す」とある通り、

昨今、名前を耳にするようになったドローン(Drone)と称される無人航空機について。

*タイトルは映画『ブレードランナー』の原作として知られる、フィリップ・K・ディックの傑作SF『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』への高城剛さんのオマージュとのこと。

本書の存在を知るまで、ドローンについて興味があったわけではなかったものの

高城剛さんの新刊であったことと、これをきっかけにしてドローンについて、どんな可能性があるかなどについて学べたらなどと思い購入。

ドローンが運んでくるかもしれない未来

読み始めると、高城剛さんの本らしく、未来の世界への誘いを感じ、読書をしながら掻き立てられるワクワクが心地良く・・

” ドローンは大きくふたつに分けて考えるべきだと僕は考えている。ひとつは「インターネットの延長戦上にないドローン」。

つまりは、今、多くの人が空撮などに使っているものだ。

そして、もうひとつ、これから社会を大きく揺るがすのは「インターネットの延長線上にあるドローン」である。

どういうことかだって?

・・中略・・

多くの人たちは、見た目重視ゆえ、iPhoneなど「目に見えるもの」に心を奪われるが、

実際のインターネットにおける勝者は、「目に見えないもの」を主に扱う企業だ。それが、グーグル。

今日、グーグルは世界のサーバーの10%以上を保有し、インターネット上に点在する情報の90%以上にアクセス可能で、それらを再構築することができる。

・・中略・・

テクノロジーの進歩によって、今後30年間に起きる革命は「RNG」と呼ばれている。

R=ロボット、N=ナノテクノロジー、G=遺伝子工学である。これを分子とすれば、その分母になるのが、AI=人口知能だ。

その予測タイムスケジュールは10年刻みで、2015年から2024年がロボット革命、2025年から2034年がナノテクノロジー革命、

そして2035年から2044年が遺伝子工学革命で、さらに2045年には人口知能の進化とともに「シンギュラリティ」が起きる、と言われている。

このシンギュラリティとは、グーグルのAI開発責任者であるレイ・カーツワイルが提唱する、技術的特異点のことだ。

・・中略・・

その先駆けとなる、これから10年かけて起きるロボット革命の中心的存在が、「インターネットの延長線上にあるドローン」である。

その可能性は、今のインターネット業界の認識をはるかに凌駕するものと考えられる。

なぜなら、この世には、デジタル化できないもののほうが圧倒的に多いからで、それらが移動して動くために、物理的なネットワークが必要となるのだ。

そして今、インターネットは、重力に挑戦する。これが、ドローンの可能性だ。”( 6-8%/百分率は電子書籍のページ数、以下同様)

この時代認識(或いは高城剛さんの仮説)をもとに、

高城剛さんがドローン産業をリードする経営者たち(クリス・アンダーソン/3Dロボティクス、Zexiang Li/DJI、アンリ・セドゥ/パロット)を訪ね、

ドローンが導く未来について考えが巡らされていく一冊。

ドローンを味方に出来る人たちの時代

高城剛さん自身で、この数年間で総額1,000万円を超える数十台の機体(ドローン)を購入されているようで、

本ではドローンの定義に始まり、開発現場が

” ドローンは「ダブルドッグイヤー」の速度、すなわち1年が14年に匹敵するほどに速い。”(18%)

といったスピード感のある現状や、また、市場規模に関して

” アメリカのNPOである国際無人機協会(AUVSI)は、2013年に発表したレポートで、2025年におけるアメリカ国内のドローン市場規模を820億ドル(約9.8兆円)、10万人規模の雇用を生むと予測している。

一方、アメリカの市場調査会社であるTEALグループは、2024年における全世界のドローン市場規模を120億ドル(約1.4兆円)と予想した。

・・中略・・

これは、どのくらいの規模感なのだろうか?

・・中略・・

国際レコード・ビデオ製作者連盟(IFPI)によれば、2014年における音楽業界のグローバル市場規模は149.7億ドル(約1.8兆円)。

また、米国映画協会(MPAA)によれば、2014年における映画業界のグローバル市場規模は364億ドル(約4.4兆円)だった。

つまり、ドローン市場はほんの10年弱で、音楽・映画業界と肩を並べるほどの存在になると見られているわけだ。”( 23-24%)

という見立てがあることや、また、私のようにドローンについて名前ぐらいは知っていたけれども、脇目で眺めていた程度の人間には

” iPhoneの登場によって僕たちの暮らしぶりは変わった。今や情報収集も買い物も、スマートフォンを通じて行われている。

そして、パーソナル・コンピュータやテレビの終焉も見えてきた。それと同時に、ビジネスの形も変わったのである。

世界的に見れば、新聞社にとってウェブでの情報発信は事業の柱となりつつある。中でもモバイルに注視しなければならない。

また、家電量販店や百貨店、スーパーなどの小売店も、インターネットでの販売、特にスマートフォンからの顧客の囲い込みをさらに強化しているところだ。

こうした動きについて行けない企業が淘汰されるのは、自然の流れなのだろう。ドローンが普及したときにも同じことが起きると思われる。

多くの企業がドローンを前提にしたビジネスに舵を切り、新たな産業・サービスが生まれる。そして対応できない企業は退場を余儀なくされるのだ。

ドローンを拒否し、思考停止に陥っていては危うい。早い段階でドローンの可能性を理解し、受け入れることが、個人・企業にとっても、そして国家にとっても大事になるだろう。”(24%)

と警鐘を鳴らし、ドローンによって我々の生活及びビジネスが激変する可能性が指摘されており、

誰しも訪れている未来をドローンによって気付かされる日が、もうそこまで来ているかもしれないことが示唆されています。

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未来を変えるドローンの正体

日本ではドローンを規制する動きから、得体の知れない物といったネガディヴなイメージが先行している印象がありますが

本書を通じてドローンについて学ぶと、そういった偏見ではなく、(これから先のことは可能性の域ではあるものの)ドローンの持つ可能性であったり

行間を読むなどの想像力が備わっていれば、本文で示されている様々な描写からドローンが誘(いざな)う未来が色濃く見ゆる方もいらっしゃろうかと思います。

 


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