古谷敏さん、やくみつるさん、佐々木徹さんが解き明かした『ウルトラマン』が今も熱く語り継がれるワケ:『完全解説 ウルトラマン不滅の10大決戦』読了

ウルトラマンを題材に、古谷敏さん、やくみつるさん、佐々木徹さんの対談が収録された『完全解説 ウルトラマン不滅の10大決戦』を読了。

サイン本が急速に売り捌かれている状況に、次第に乗り遅れ感を抱き始めていた折、サイン本発売情報に触れ、

各所で売り切れとなる中、後発でサイン本を確保.-

反応し入手していた経緯。

よもやの?!3分超に、エヴァンゲリオンとの接点

対談は、ライターの佐々木徹さんの進行で、ウルトラマンのスーツアクター(昨今の言い方で)中の人のこと古谷敏さんに、

” 2020年夏に、突如舞い込んだ重大任務。それは私のまったくの独断で選んだ「10大決戦」をもとに、ウルトラマン=古谷敏さんに死闘を述懐していただくというものだった。”(p9)

との依頼に沿って、やくみつるさんが当時の思い、戦いの解説、舞台裏になどに沿っていくもの。

語られている内容は、

” やく おふざけみたいな怪獣なんですけども、それなのに決戦シーンはなんと4分10秒もかかっている。”(p103)

なる「あれ? そもそも・・」という前提に関わる話しがあれば、

” 佐々木  『新世紀エヴァンゲリオン』を観たことは?

古谷 あります。初号機を観て、まんまウルトラマンだな、と(笑)。好きですからねえ、庵野秀明監督はウルトラマンを。”(p81)

と今も根強いウルトラマンのDNAなど、戦いを中心としながらも話題は多岐に。

10大決戦に選ばれた怪獣たち

そのような中、印象的であったのは故児玉清さんの

” ウルトラマンは違う。どんな時代が移り変わろうとも、ウルトラマンの文字を目にした瞬間、誰もがスペシウム光線で怪獣を倒した、あの勇姿を思い出すことができる。

しかも、ひとりひとりが自分だけのウルトラマンを心の中に思い描ける。”(p119)

と、星の数ほど世に送り出された東映作品で名作と云えども時の経過とともに色褪せてしまう作品も少なくない中、ウルトラマンの特殊性を指摘し、古谷敏さんが

” 戦いひとつひとつに、なぜ怪獣は現れたのか、この怪獣は単に人類を苦しめるためだけに地上に現れたのか、他に目的があるのか、だとしたら、攻撃を受け止める自分(=ウルトラマン)はどのように戦えばいいのか。

他にも、強い怪獣に対し、自分はなにを信じ、なにを願いながら戦うべきなのか。また、スペシウム光線で怪獣を倒すことが本当の終焉、地球の救いとなるのだろうか ー たった3分弱の戦いでしかありませんでしたけど、その3分弱に、僕は演じる者のプライドや心意気といったものを奮い立たせ、本編の脚本を踏まえた上で、もうひとつの自分だけのストーリーを作り上げてから、怪獣との戦いに臨んでいたんです。”(p118)

と、撮影時の心構えを述べられている点で、日本特撮の父で御大こと円谷英二さんの

” 御大チェックがあったからこそ、『ウルトラマン』はこうやって今でも語り継がれる作品に昇華したと思っているし、なにより「子供たちのために、子供たちが喜ぶ作品にしたい」という御大の気持ちをスタッフが理解していましたから、しんどい復元の作業も苦ではなかったと思いますよ。”(p32)

と、もともと撮影スケジュールがタイトな中、直前でやり直しを命じられても関係者一同、円谷英二さんの思いに応えていたお話しを含め

制作にあたってのエピソードを読みにつれ、自分も当時熱を持って画面に正体していたものの、漫然としか見れていなかったことに気付かされることに ^ー^;

半世紀を超え、今も熱く語り継がれるワケ

そのハイライトが、

” 古谷  全39話中、ジャミラとの戦いが一番辛かったですね。ウルトラマンを超え、古谷敏というひとりの人間としても辛かったです。”(p163)

と振り返られ名作との誉れ高い「第4位 ジャミラ」 回 で、詳細は本書を是非手に取って頂ければと思いますが、

購入本に書かれていたサイン

読む前の本書への期待値は「自分にはちょっとマニアックかな?」と高くなかったものの

幼少の頃、熱狂した作品の気付かざる舞台裏を垣間見ることが出来、よもやの読後感を得ることの出来た著書でありました〜


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