畑山隆則さん、原功さん、二宮清純さんが語ったリング上で伝説を築いたチャンピオンたち:『昭和平成ボクシングを語ろう!』読了

元世界WBA世界スーパーフェザー級にWBAライト級と日本人4人目となる2階級制覇を達成した畑山隆則さんと、「ボクシング・マガジン」元編集長原功さんと、スポーツジャーナリスト二宮清純さんによる対談を軸に構成された『昭和平成ボクシングを語ろう』を読了。

本書は、

 第1章 史上最強は誰だ? ー ファイティング原田と井上尚弥

 第2章 昭和を背負った名ボクサー、名勝負・前編 ー 白井義男〜ガッツ石松まで

 第3章 昭和を背負った名ボクサー、名勝負・後編 ー 具志堅用高〜赤井英和まで

 第4章 平成を熱くした名ボクサー、名勝負 ー 大橋秀行〜竹原慎二まで

 第5章 畑山隆則が駆け抜けた時代 ー 世界王者渇望時代に現れた平成の名チャンピオン

 第6章 平成後期を沸かせた名チャンピオン ー 長谷川穂積、内山高志、山中慎介、村田諒太

という章立てに沿って、

” 昭和から平成、そして令和へ ー 。元WBA世界スーパーフェザー級、同ライト級王者の畑山隆則さん、元ボクシングマガジン編集長の原功さんとともに、日本ボクシングの過去を振り返り、現在を見つめました。”(はじめに)

との二宮清純さんの一文で始まるボクシングファンに向けた著書。

時代を動かしてきた王者たち

本編では、

“(畑山)同じ世界チャンピオンでも彼は突出していますから。世界チャンピオンにABCランクを付けるとすれば、彼は間違いなくAランク、いや、それを超えたSランクでしょう。

パウンド・フォー・パウンド(PFP)でも1位になりましたし、だから、僕らのような凡人のチャンピオンではわからない次元ですね。”(p22)

と日本はおろか世界のボクシング界から脚光を浴びる井上尚弥チャンピオンの凄みが専門家の視点から紐解かれたり、

” 畑山   しかも原田さんの場合、通常時の体重は65キロぐらいだったみたいですから。バンタムの体重にするには10何キロ落としていたことになりますよね。

しかも当時は今のように前日ではなく当日計量で、即日試合。それであの動きですから。”(p31)

日本ボクシング界を支えたレジェンドがリングで示した足跡に、

” 畑山  銀行に立て籠もった犯人に対して警察官が「輪島の試合を見ただろう。お前ももう一度やり直せる!」と呼び掛け、犯人が投降したという話は聞いたことがあります。”(p77)

と世界チャンピオンが発揮した逸話に至るまで、駆け足的に200ページ超、昭和、平成ボクシングについて御三方によって振り返られています。

購入のきっかけとなった御三方によるサイン

リング内側から

読みどころとしては、

” (畑山)もう時効だから言いますが、スーパーフェザー級のタイトルを獲られた後に引退したのは僕の意思ではなく、宮川オーナーに引退させられたんですよ。”(p168)

という畑山隆則元チャンピオンによる回想が、第5章 畑山隆則が駆け抜けた時代  にまとめられている他、

“(原)ボクシングのファイトマネーは通常、所属ジムがマネジメント料として3分の1の33%を取って、残りが選手に支払われる仕組みになっていますから、”(p182-183)

といった内実についても言及されている点など興味深く読み進められました。


Comments

comments