佐藤究さんが描いた果てしなく深淵なる闇:『テスカポリトカ』読了

前々回に、読み始め記 ↓

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をアップロードしていた佐藤究さんの『テスカポリトカ』を読了。

リアリティ滲み出る巧みな描写

早々に、(移動しながら等の)ながら読みでは対峙出来ぬであろう重層的且つ一筋縄では読み解けぬであろう設定に気づき、

週末のまとまった時間を本書の読み進め(300ページ+)にあてた次第でしたが、結論としては一回で記述を読解出来るところまでに至らずも、

多岐に及ぶ一般的に知られていない現実世界を丹念に調べ上げ、それらを下敷きに、メキシコの

” テスカポリトカは自分自身の血と心臓を、自分自身に捧げる。

坊や、これがトシュカトルの驚くべき結末だよ。もっとも美しいアステカの祝祭だ。”(p442)

といった言い伝え?を話しの軸に寄せ、

麻薬密売、臓器売買、戸籍を持たぬ児童等、裏社会で脈打つ現実が絡まり、そこに行き交う人たちの冷淡さが前面に出つつも

クライマックスに近づくにつれ、次第に人間性の目覚めといった温かみも感じられるようになり、最後はスケール感を抱かされる展開に。

爪痕残された読書体験

容易ならざるでしょうが、原作を忠実に反映した映像を視聴出来れば、それをきっかけに種々の発見を得られそうにも感じられましたが、

購入本に書かれていたサイン

初の佐藤究さん本、重厚にして自分が知らぬ世界の一端を多元的に見せつけられた思いで、近しい読書体験が脳裏に思い浮かばぬ少なからずの衝撃を覚えた作品でありました。


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