U2、THE ROLLING STONES、 Madonna、Lady GaGa等の世界観をステージに写し出し、ショービズ界を変えた男の半生:映画『アーサー・フォーゲル 〜ショービズ界の帝王〜』鑑賞記

「何か(面白いの)やってるかなー」と検索してことで引っかかった『アーサー・フォーゲル 〜ショービズ界の帝王〜 』.-

「音楽業界の内側を赤裸々に描く音楽ドキュメンタリーの決定版!」のコピーに、

長らくショー・ビジネスのオーディエンスとして、その舞台裏に関心を持つ一ファンとして興味を引かれるも・・

情報を知った時点で東京での上映は残すところ、あと1回(3/18 20:50〜)。

「映画じゃなくても、DVDでもいいかなー」ってな迷いに惑わされるも

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金曜夜のレイトショー、解放感に包まれて鑑賞できました

上映後にトークショーも予定されているとのレア感から、急遽予定を差し込み、鑑賞してきました。

THE ROLLING STONES初来日実現の功労者

ストーリーで描かれている人物は、カナダにあるクラブのナイト・マネージャーから

今やU2STING:スティング、Madonna:マドンナなど錚々たるビッグネームから「彼と一緒に仕事がしたい」「彼でないとダメ」といった具合に指名で依頼が舞い込む、アーサー・フォーゲル:Arthur Fogel.-

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映画の主人公:Arthur Fogel.-

この映画で初めて知る名前でしたが、日本のファンにとっては1989年の The Rolling Stonesの初来日公演 STEEL WHEELS TOURの実現に導いた人物として、

その名を知らずとも、感謝しているであろう人は多数に及ぶであろうと。

アーティストが考えた不可能を可能にしていった男

ストーリーの軸はアーサー・フォーゲルの先見性なり、現代のミュージック・シーンに及ぼした功績を礼賛する内容で

U2やマドンナが実際に出演するだけに凄みが伝わるも、その辺りは一ファンにとってはピンと来づらいところ。

興味深かったのは、音楽業界の収益構造がNapstarの登場により、ダウンロードに移行していき、CDなどのソフトで稼げなくなった転換期に

アーサー・フォーゲルが、アーティストと対峙することなく、ミュージシャンたちのやりたい事に耳を傾け、寄り添う立場で

従来は不可能と思われたスケールのショウ、ツアーが実現するようになっていったということ。

実際、その辺りの綱渡りぶりは映画の中から伝わってくることであり、U2は ZOO TV TOUR 中に破産の危機に直面したり、

Lady Gaga:レディ・ガガも300万ドルの個人資金が底を突く事態に陥ったところ

アーサー・フォーゲルと関係が築かれていく中で、アーティストそれぞれのやりたいことに、ビジネスとの接点が見出されていったとのこと。

そこにはアーサー・フォーゲルのアーティストに対する敬意に、リスクを恐れない(/引き受ける)生き様が投影され、

音楽業界が、それまでファンに如何にレコード、CDなどのソフトを買ってもらうかというプロモーションを展開する行為から

ライヴで得られる「体験」を如何にオーディエンスに提供出来るかという価値の移行に、果敢に取り組んでいった一人の人物のストーリー。

映画『アーサー・フォーゲル 〜ショービズ界の帝王〜』予告編

興行収益額歴代上位10のうち7つはアーサー・フォーゲルが関与したものであるとのこと。

映画は単なるサクセスストーリには止まらず、幾多の不可能を可能にしたアーサー・フォーゲルでも、

GUNS N’ ROSESの W. Axl Roseはコントロール不能(=もう仕事することはない)であったとか(笑)

Diana Ross:ダイアナ・ロスのThe Supremes再結成での失敗など、ビシネスの難しさも描かれています。

鑑賞前に抱いていた「映画じゃなくても・・」の思いはその通りで、これから大阪、愛知での公開を経て

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今後、大阪 & 愛知での上映スケジュール(画像は、『アーサー・フォーゲル』オフィシャルサイトにリンク)

DVDで流通するようになれば、本作の価値は十分伝わるように思います。

一回の字幕で表示される長さ(登場する人物の説明、肩書きが長かったり)であったり、字幕表示場所が一定でなかったといった難(見落とししやすい)を考慮すると、繰り返し見れるDVD向きとも思料します。

セレブを守る仕事(スペシャルトークショー)

上映後に開催されたトークショーは、数々のセレブリティを警護されてきた牧村博一さんが登壇。

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上映後に開催されたトークショー中の一コマ(写真左:牧村博一さん)

私は初めてお名前を知りましたが、牧村さん目当ての来場者が最前列に居並び、マッキーの愛称が定着するなど、ファンに対する浸透度は、かなりの域であった様子。

会場に来た人が期待していたであろう、「うわっ、凄いこと聞いちゃったなぁ!」という個人名を含んだエピソードの披露は

守秘義務等の兼ね合い聞かれることはありませんでしたが・・

  • ビッグスターであるほど身近な人からファンにしていく
  • 立場上で得したことはない。警護対象者としか見れない
  • エンターテインメント分野では危険な思いをしたことはないものの、他で危ない場面を経験した 

など、約30分間で普段お話を聞くことの出来ない立場の方からの貴重な経験談を聞ける機会となりました。

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ショービズ界の舞台裏に迫る貴重な一本

話しを映画に戻し・・  本作で初めて知ることが多く、大きくは憧れの業界で突き抜けたアーサー・フォーゲルの生き様に、

音楽業界の在りようもソフトを売る時代からライヴ体験を提供する産業に転換していることがよく分かり、洋楽好き、ライヴ好きの立場から興味深い作品でした。

ロックのカテゴリーでいうと、U2が最先端(ex. 動員力、ステージセット)を行っているように感じており

前々ツアー(360° Tour)も前ツアー(iNNOCENCE + eXPERIENCE Tour)で

日本公演が、採算面、法令上(消防法?)の制限等から実現しなかった日本のファンとしては取り残された感覚も抱きましたが、

一人の人物を通じて、期待していたショービズ界の裏側を垣間見ることが出来、同様のことに関心のある方々にはオススメです。

 


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