「novel:小説」カテゴリーアーカイブ

万城目学さんが描いた特殊能力を持つ三つ子の大冒険劇:『ヒトコブラクダ層ぜっと(上)』読了

(2021年)6月下旬購入分を差し込みで読み始めた小説家万城目学さんの『ヒトコブラクダ層ぜっと(上)』を読了。

<< 2021年6月27日投稿:画像は記事にリンク >> 西荻窪にある今野書店に行ってきた(伊野孝行さん『となりの一休さん』刊行記念フェア&清水克行教授『室町は今日もハードボイルド』サイン会 参加記

西荻窪にある今野書店往訪時に上/下巻セットでのサイン本販売に珍しさを感じ購入していたもの。

三つ子に与えられし、三様の能力

上下巻で計935ページに及ぶ大作で、

続きを読む 万城目学さんが描いた特殊能力を持つ三つ子の大冒険劇:『ヒトコブラクダ層ぜっと(上)』読了

筒井康隆先生が描いた錯乱、狂気らが混在加速する短編集:『世界はゴ冗談』読了

筒井康隆先生の短編集『世界はゴ冗談』を読了。

一時(2021年5〜6月)、筒井康隆先生の作品を集中的に購入した

<< 2021年6月13日投稿:画像は記事にリンク >> 先月(2021年5月)末から今週(6/7〜13)にかけて嬉しかったこと:筒井康隆先生本7冊

きっかけになった作品で、本書は

 ペニスに命中

 不在

 教授の戦利品

 アニメ的リアリズム

 小説に関する夢十一夜

 三字熟語の奇

 世界はゴ冗談

 奔馬菌

 メタパラの七・五人

 附ウクライナ幻想

の十編を収録。

三字熟語の羅列のみで展開される「三字熟語の奇」はじめ

「三字熟語の奇」(抜粋)

カオス(混沌)との印象強く、作品によって理解度はまちまちですが、個人的なハマりどころは

続きを読む 筒井康隆先生が描いた錯乱、狂気らが混在加速する短編集:『世界はゴ冗談』読了

伊東潤さんが描いた熊本城を託された男の生きざま:『もっこすの城 熊本城築城始末』読了

先週、読み始め記 ⬇︎

<< 2021年7月30日投稿:画像は記事にリンク >> 伊東潤さんが描いた熊本城を託された男の生きざま:『もっこすの城 熊本城築城始末』読み始め

をアップロードした、伊東潤さんの『もっこすの城 熊本城築城始末』を読了。

読み始め記に、著者 伊東潤さんよりリプライ頂けました ^^

加藤清正に尽くした恩義

話しのハイライトとして、

“「この城を ー、この『もっこすの城』を築くのだ」”(p379)

と、タイトルにもある通り熊本城築城が本書の主人公 木村藤九郎秀範の創意工夫があったからこその我々が知る姿に築き上げられていったこと分かりますが、

話し全体で通底しているのは、

続きを読む 伊東潤さんが描いた熊本城を託された男の生きざま:『もっこすの城 熊本城築城始末』読了

伊東潤さんが描いた熊本城を託された男の生きざま:『もっこすの城 熊本城築城始末』読み始め

作家 伊東潤さんの『もっこすの城  熊本築城始末』を読み始めて

 プロローグ

 第一章 蛇目紋の家

 第二章 反骨の地

 第三章 日之本一之城取

 第四章 天下静謐

と章立てされているうち「第一章 蛇目紋の家」を読み終えたので、そこまでのおさらい。

(2021年)4月に読んだ『覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子』に

<< 2021年4月24日投稿:画像は記事にリンク >> 伊東潤さんが描いた、古代日本に理想国を造り上げた者たちの軌跡:『覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子』読了

惹き込まれた経緯から「また何か、伊東潤さんで・・」と思っていた折、

出典:メトロ書店熊本本店Twitter(画像はTweetにリンク)

サイン本入手機会に遭遇し、手元に引き寄せていた経緯。

肥後を託された命運

冒頭(プロローグ)、本能寺の変直後の混乱に始まり、一連の過程で安土城を守るため命を賭した父を失った長男(木村藤九郎秀範)が、

続きを読む 伊東潤さんが描いた熊本城を託された男の生きざま:『もっこすの城 熊本城築城始末』読み始め

一穂ミチさんが描いた複雑に思い交差する六通りのそれぞれ:『スモールワールズ』読了

一穂ミチさんの『スモールワールズ』を読了。

訪れる書店の幾つかの大々的なディスプレーに、サイン本販売機会も何回か訪れ、

(右下角)「サイン本どうしようか・・」と何度かの入手機会に、内容への興味から買い逃しを懸念し決断 ^^

帯の内容に興味を掻き立てられ購入。

やがて(いわゆる)直木賞候補作にもノミネートされ、

出典:公益財団法人日本文学振興会 ウェブサイト(画像は記事にリンク)

読前に更に興味を掻き立てられ、読み始め。

六話、唯一無二なる・・

本書には

 ネオンテトラ

 魔王の帰還

 ピクニック

 花うた

 愛を適量

 式日

の六篇が収録。

書店員の評価に、共感誘われる帯に踊るコピーに

帯に踊るコピーの締めは、

> 愛おしい私たちの世界。

とあり、ほのぼの系のストーリーを勝手に思い描いていましたが・・

続きを読む 一穂ミチさんが描いた複雑に思い交差する六通りのそれぞれ:『スモールワールズ』読了

高見澤俊彦さんが描いた70年代にプロデビューを目指した若者たちの苦悩と脚光:『音叉』読了

THE ALFEEを率いる高見澤俊彦さんの小説デビュー作『音叉』を読了。

文庫版発売後、瞬く間に売場から消えて(売れて)いったサイン本に、「これは無理でしょう、、」と白旗を上げていた状況、

昼食前に何気なく立ち寄った書店で

まさかのサイン本発見 >> 即購入の決断

一冊だけ残されていた?!巡り合わせから購入。

実話交じりの

帯に

> 音楽と恋で奏でる青春群像

とあり、

” 圧巻は一九七一年の七月に来日した後楽園球場でのグランド・ファンク・レイルロード公演。雷鳴が轟く、豪雨の中でのライブに俺達は大興奮だった。”(p20)

に、

” 何があったんだ?考えるだけでイライラする毎日。俺はそれを振り切るために、ギターにのめり込んだ。

さらに恋の痛みとその愁傷が俺の中で楽曲創作という扉を開けさせた。”(p30)

と具体的、リアリティ感じさせられる記述の数々に「これって、小説仕立てのアルフィーの回顧録?」と思えば、

続きを読む 高見澤俊彦さんが描いた70年代にプロデビューを目指した若者たちの苦悩と脚光:『音叉』読了

朝井リョウさんが描いた心に闇を抱えたものたちの共闘、その結末・・:『正欲』読了

小説家 朝井リョウさんの作家生活十周年記念書き下ろし作品『正欲』を読了。

本作発売により朝井リョウさんの名を知ることとなり、発売となった3月下旬頃から、訪れる書店の何店舗もで「これでもか」と言わんばかりの一等地を陣取る陳列で

注目度の高さを知らしめられ、「どんな作品だろう・・」とレビューを参照するも

「後味の悪さ」といったニュアンスを感じ取り、距離を置いていたものの、一度書店から消えた

サイン本再入荷のタイミングで(「読んでみよう」の心情に)心変わり

サイン本再入荷のタイミングで「(これを機に)一回読んでみようかな」の思いに切り替わり、手が伸びていた経緯。

帯に踊る「朝井さん、やっちまったね。」高橋源一郎さんのコメントも購入を後押し

多様性が叫ばれる現実の一方で

口外出来ぬ悩み(性癖)を抱えた男女に、引きこもり児童と居を共にする検事家族に、

ストーリーはそれぞれの場所で進行してゆき、やがてその悩みが結末で舞台を一つにしていくという・・ 大雑把な流れですが、

続きを読む 朝井リョウさんが描いた心に闇を抱えたものたちの共闘、その結末・・:『正欲』読了

村山早紀さんが描いた地方百貨店舞台にファンタジー入り混じる物語:『百貨の魔法』読了

作家 村山早紀さんの『百貨の魔法』を読了。

サイン本販売現場に遭遇し、

ラスト一冊で販売されていたサイン本きっかけで購入。

「女性的かなぁ」との先入観を抱きながら、

2018年本屋大賞ノミネート作といった話題性にTwitterでの評判、百貨店舞台に繰り広げられる設定やデザイン等に吸い寄せられ購入していた経緯。

地方百貨店、ときどきファンタジー

本書は、

” 星野百貨店は、古い商店街の中心部に建つ店だ。百貨店としての格は低くはないけれど、街のひとびとに愛され、その日常に溶け込むタイプの庶民的な店だった。”(p9)

という地方百貨店を舞台に

続きを読む 村山早紀さんが描いた地方百貨店舞台にファンタジー入り混じる物語:『百貨の魔法』読了