マーロン・ブランド没後11年を経て公開された肉声で振り返った、伝説とされた影で向き合った深い闇:『マーロン・ブランドの肉声』鑑賞記 

月が変わった毎月最初の日(1日)は、映画の日という刷り込みが例によって働き、

「何かないかな・・」とミニシアター系を含め検索するも、背中を押される作品はなく

映画見る気は満々で盛り上がっていたので、「それならレンタルにしようか」と店舗を物色するも、ここにもなく・・。

そして、最終手段で iTunes を検索すれば、「こんなの出てたかぁ〜」と 👇

マーロン・ブランドの肉声(字幕版)-予告編

遺されていた封印されていた肉声

一時、集中的に出演作品に貪りついたファンとしては即座に飛びつきましたが

内容はタイトルが示す通り、生前に遺されていたMarlon Brando:マーロン・ブランドの肉声に基づいた構成で

コメントに合わせて映画の出演シーンであったり、報道での映像に合わせられ、自身の生涯が振り返られている内容。

本作の公開が2015年で、没後11年を経て、このような形で音声が公開されることになった経緯について調べていませんが

とかくプライベートが公になることを嫌ったマーロン・ブランドの実像に迫れる貴重な作品であったと思います。

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苦労した思い出を述懐した、ベルナルド・ベルトルッチ監督作「ラスト・タンゴ・イン・パリ」.-

マーロン・ブランド自身が振返る「凄み」

100分ちょっとと見応えの感じられる長さで、マーロン・ブランドに対して思い入れがないと

演出が施された娯楽作品ではないため視聴の対象から外した方が良いのかもしれませんが、

時代を背負った伝説と化した人物の役者を志した経緯に、成功し過ぎてしまったため「普通」が損なわれてしまった苦悩に、人生観に・・

それらが、本人の視点で切々と語られていっているところに哲学的な要素も漂い、映画史に止まることのない重みを感じました。

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神格化されてしまったがゆえの深い闇

本作の紹介にある、Robert DeNiro:ロバート・デニーロが目標とした俳優ということでマーロン・ブランドを知り、

出演作を辿っていった過去を持っていて、時間の経過から各作品の内容の詳細は失念してしまっているものの

「これ観た」「これも観たなぁ」と挿入される出演シーンの数々が懐かしく思い出されました。

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所々で挿入されるCG処理画像が印象的.-

それらがスクリーンの裏側の視点で語られ、生前の早い時期から神格化されていた俳優でしたが

実際は我々と同じ生身の人間であること。様々な葛藤に、現実との格闘を抱えていたものの

それらを嗅ぎ取られることなく、一般への「マーロン・ブランド」のイメージは守りつつも

そこに深い闇が生じて、それは自身の生い立ちに基づいていたり、家族に影を落とすことに繋がってしまったり・・

まぁ、一人で何人分の人生を生きたことが分かります。

伝説としての光が強かった分、周囲に心情を分かち合える理解者が居たわけでもなく、深い闇に包まれ、強く孤独と向き合った生涯が印象に残りました。

 


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