NPBでは横浜大洋ホエールズ(現 横浜DeNAベイスターズ)を振り出しに、海を渡りMLBではLos Angels Dodgersなどで活躍された齋藤隆さんの『37歳で日本人最速投手になれた理由 これからの日本野球』読了。
(2025年)3月に開催された

発売記念で入手していた著書。
この本は
” 野球人生の終わり方に悩んだ日本人プロ野球投手が、メジャー行きを決断し、今日が最後になるかもしれないと歩み続ける中で、野球という競技を通してしか起き得なかった奇跡の連続を綴ったものだ。”(p11)
という重み伝わる一文が冒頭に記された齋藤隆さんの回想録。
全238ページに
第1章 36歳のメジャーリーグ挑戦
第2章 37歳で日本人最速投手になれたトレーニング
第3章 パドレスのインターンになる
第4章 アメリカで学んだ野球ビジネス
第5章 日本野球の未来を考える
第6章 NPBでの戦い ー 選手、コーチとして
第7章 齋藤隆ができあがるまで
の章立てに沿って、多岐に渡る内容が密度濃く綴られているのが印象的。
特に刺さってきた箇所を以下に抜粋すると
” 「午後の試合で代打で出す。もし打てなかったら明日からピッチャーにするぞ」伊藤監督がコーチにこう伝えたのが、私の投手人生の始まりだ。”(p219)
東北福祉大学2年生時、補欠で手持ち無沙汰にしていた齋藤隆さんが遊びで入ったブルペンでの姿が(伊藤義博)監督の目に留まり急転した野球人生に、
” 腸腰筋の強化で、上半身と下半身のパワーロスがなくなり、スピードもコントロールも上がったと私は感じている。バランスは良く、全身のトレーニングを行っているという大前提はあるが、腸腰筋は投手の能力を最大限に引き出す、要の筋肉であると、自分自身のトレーニングから考えている。”(p70)
及び
” 左投手で利き足も左ならまだ話は通じるが、聞けば「左投げ利き足右」の左投手が意外に多いのだ。全て右利きで、唯一利き目だけが左の私(どこにでもいるタイプ)がしてきたことをポイント、ポイントでアドバイスしても、左投げで利き足が右の投手には、不思議な顔をされることが多いと気づくようになった。”(p207)
と既述の発売記念イベントで専門書を相当数読み込んだとお話しされていた通り、超専門的な身体に関するお話し(→37歳で日本人最速投手になることにつながる)あれば
” 1800人 ー この人数は年に一度、3日間かけて行われるドラフト(アマチュアドラフト)を前に、パドレスのスタッフとスカウトが1週間かけてチェックするアマチュア選手の数である。ドラフトで指名するアマチュア選手は約40人。そのために、1800人もの選手をリストアップするのだ(新型コロナ感染症のせいでマイナーチームが減少したため、今は数が減ったと聞いているが、2016年は確かに1800人のアマチュア選手をチェックした)。”(p109-110)
San Diego Padresでフロント入りされたご経験から具体的な業務やMLBとNPBとの
” 近年では、観客動員数でMLBの球団と肩を並べるNPBの人気球団もいくつかあるが、その事実と反するように、選手の年俸差は大きく開いている。むろんMLBプレーヤーのほうが高いのだが、これはMLB Advanced Mediaの傘下にあるMLB.comやMLB.TVなど、放映権料の差が大きな違いになっていると言われている。そんな中、日本のスポーツ界は、DAZNなどコンテンツ配信サービス企業との契約料でなんとか成り立っているなどと、まことしやかに囁かれている。”(p133-134)
といった違いなどについて言及され提言も示されており、

野球ファンとして各項目について興味深く読み進めることが出来(、冒頭記した通り情報量が充実しているゆえ再読の楽しみもあるものと)ページ数を上回るような読み応え覚えました。