樋口尚文さんが迫った、秋吉久美子さんの「防御は最大の攻撃」とする女優人生:『秋吉久美子 調書』読了

女優 秋吉久美子さんの女優人生に、映画評論家にして映画監督でもある樋口尚文さんが迫った『秋吉久美子  調書』を読了。

サイン本入手機会に遭遇するも「秋吉久美子さんの出演作、全然見てないからなぁ」と即断出来ずにいたところ

早々に在庫がなくなり・・

女優の伝記類は年一くらいで読んでいたこともあり「あの時、買っておくべきだったなぁ」なんて後悔していたところ

残り三冊程度となったところで確保

再び入手機会に恵まれ、手元に引き寄せていた一冊。

秋吉久美子 all about

本書は、

 調書1  秋吉久美子が語る 超ロング・インタビュー

 調書2   秋吉久美子を語る 秋吉久美子論

 調書3   秋吉久美子を観る 出演作データベース

に大きく分けられ構成。

” ー(中略)しかしこれ、初めて映画撮ってる現場っていうのに行ったのに緊張もなかったんですね。

なかった。あ、こんなものかって感じですよね。脚本を読んだ瞬間に全てよくわかったつもりだったので、自殺する少女を演ずることについては余裕綽々だった(笑)。”(p24)

という(幼少期から)女優としてキャリアを始めるあっと驚かされる第一歩から

” 確かに私を代表するアイコンとしては『赤ちょうちん』『妹』『バージンブルース』があって、『十六歳の戦争』も女優らしさを身につけたモニュメンタルな作品ではあるのですが、

自分の中で、気持ちが凄く充実して、自然に力を出せたと思うのは、実は『挽歌』です。”(p84)

という本書の中心、秋吉久美子さんのキャリアで抑えるべき要所に、

” 宿命論者としては、女優になったというより、時代に選ばれて女優という石として、ポンと置かれたような気がしています。

今振り返れば、漂流を浅瀬として歩いて来てしまった感じです。”(p180)

というキャリアを総括された(秋吉久美子さんらしい?)振り返りに 、

購入本に書かれていたサイン

秋吉久美子さんの証言を軸に、足跡を駆け足的に追いかけられる内容となっています。

『透光の樹』での降板騒動 + 銀座シネパトス舞台の『インターミッション』

そのような中、

“ー その社長役が当初萩原健一さんで、やがて降板騒動が起きて永島敏行さんに変わった。”(p148)

「あったなぁー」と、ワイドショー等を賑わせ萩原健一さんの逮捕劇にまで発展した件の舞台裏についての言及に、

” 銀座のど真ん中になぜか穴ぐらのような、時代からとり残されたような小さな地下街があって、そのなんだか昭和的な猥雑さがむんむんする三原橋地下街に銀座シネパトスという、凄く古いんだけど、妙にいごこちもよく、映画に集中できる三スクリーンの映画館があった。”(p153)

と、私の脳裏に刻まれていた銀座シネパトスを舞台にした作品『インターミッション』があることを知れたあたり、

映画『インターミッション』予告編

本書をきっかけに(秋吉久美子さん)初学者の域から一歩踏み出すことにつながりそうな刺激強めの部分でした。


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