「book」カテゴリーアーカイブ

入来祐作さんに学ぶ転機を捉え必死になる力:『用具係 入来祐作』読了②

 

以前エントリーした元読賣ジャイアンツ、現在、DeNA横浜ベイスターズ用具係の入来祐作さん著『用具係 入来祐作 〜僕には野球しかない〜 』読了記で書き切れなかったところ。

>>入来祐作さんに学ぶ「変わる力」:『用具係 入来祐作』読了 <<

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福本豊さんが野球ファンに語り継ぐ阪急ブレーブス史:『阪急ブレーブス 光を超えた影法師』読了

 

世界の盗塁王こと福本豊さんの『阪急ブレーブス 光を超えた影法師』を読了。

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入来祐作さんに学ぶ「変わる力」:『用具係 入来祐作』読了

 

書店に立ち寄った際、ちらちら見かけ、気になっていた元読賣ジャイアンツ等で活躍したプロ野球選手の入来祐作著『用具係 入来祐作 〜僕には野球しかない〜』を読了。

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神田昌典さんの頭の中、その発想法を学べる『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』読了

 

神田昌典さんの代表作の1つ『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』を読了。

60mins

>> 神田昌典さんの頭の中、その発想法を学べる『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』読み始め <<

印象的であった、神田さんらしい希望を内包した発信が「あとがき」にあり

(本著で取り上げられている)”この戦略構築法は、あなたがビジネスにロマンを見出すことをお手伝いする本である。 ・・中略・・

ビジネスは、単なる金儲けの手段ではない。この現代で、社会を変革する最強のツール。それがビジネスなのである。” (97%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

” 歯車を噛み合わせれば、誰でも売れる仕組みはつくれる。それは難しい作業ではない。 ・・中略・・

いまの社会は、確固たる倫理観と思想を持ってビジネスに取り組む人を大量に必要としている。それだけ社会の変革が急がれている。” (97%)

” あなたにしか、できないことがある。だから、あなたはこの時代に生まれてきた。” (97%)

と、本書の目的及び読者への熱きメッセージ。また、終盤にも・・

” あなたは、何のためにビジネスをしているのか?儲けのためか?奉仕なのか?自分のエゴのためか?

それとも人々の約に立ちたいからなのか?顧客の笑顔が見たいためか?それとも世の中を見返してやるためか?

常に自分自身の心の光と闇を見直し、哲学を持ってビジネスに臨むことが、知識という力を持ったものの最低限の義務であることを肝に命じていただきたい。” (88%)

この事を意識して、本を読み進める際の理解を助けてくれます。以下、本のポイントとして感じられた点。

 

普通の人でも、商材の参入タイミングさえ見極められていれば軌道に乗る

” 経営者の優秀さと、ビジネスの成功は一致しない ・・中略・・ 事業への参入タイミングが、ビジネスの成功の鍵を握っているということだ。” (19%)

 ” ある商品を扱おうと思った場合、参入タイミングを予想するには、まずその商品が商品ライフサイクル上、現在どの地点にあるのかを知らなければならない。” (21%)

” 全体事業のうち、約八〇〜八五%の売上はライフサイクルの成長期でつくられることになる。したがって残りの七・五%〜一〇%ずつが、導入期と成熟期でつくられる。” (29%)

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Product Lifecycle

” 上がりのエスカレーターに乗る人は、顧客が商品を求めて、向こうから来る。あまり努力をしないでも顧客数が増え、またリピート購買も多い。

逆に、下りのエスカレーターに乗る人は、こちらから売り込みに行く。” (30%)

” 商品選択を的確に行なうことができれば、もっと楽に、楽しく、確実に商売ができるのである。” (30%)

” 商売が売れない原因のナンバーワンは、商品がわからないからである。 ・・商品・・

顧客に買ってもらうための一番目の作業は、小学生でもわかるように商品が説明されているか、という観点から見直すことである。それで八割方の商売は売上が上がる。” (32%)

例えば業態の流れを参考にすると・・

” 百貨店方式のライフサイクルが一巡すると、今度は、より安いものを求めるディスカウントに走る。これがダイエー、イトーヨードー堂等のスーパーが伸びた理由だ。

このSカーブが終焉すると、次は、より購買目的に沿った店を選択する。すなわち専門店がはやってくるのである。これがマツモトキヨシ、ユニクロという流れ。

その後は、単なる商品を買うのは限界に達して、エクスペリエンシャル・マーケティングといわれる体験型の店舗になる。これがヴィーナスフォートや、エクスピアリと呼ばれるようなエンターテインメントとの融合型店舗である。” (26%)

 

非営利組織(NPO)の時代

近代が脈打つ事として・・

” ピーター・ドラッカーは、著書『ネクスト・ソサエティ』のなかで、NPO(非営利組織)は、今後、大きく成長し、企業に代わるコミュニティの担い手になると言っている。 ・・中略・・

社会的ミッションを掲げることは、企業メッセージが第三者に伝わりやすく、しかも記憶に粘りやすいメリットがある。” (27%)

顧客は選び、切り捨てなければならない

顧客との関係性について・・

 ” 顧客ターゲットを明確に設定しなければ、顧客と感情的なつながりを持てない。” (39%)

” あなたのまわりに、必要なものはすべて転がっている。そのよい点を見つけて、磨いてあげる。それが一番手っ取り早く、憧れられる人を顧客にする秘訣だ。” (46%)

” 誰からも好かれる。しかし誰も魅了できない。顧客を魅了できる会社になるためには、自分に必要のない顧客を捨てることから始めなければならないのである。” (48%)

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ダイレクトマーケティングにおける戦略

戦略について・・

” 本質的に、戦略というのは他社と差別化することである。 ・・中略・・ 企業にとっては差別化が善であり、均質下は悪である。” (47%)

” 最強の競合戦略とは、戦わないことである。” (50%)

” 戦略とは自社の強みをさらに伸ばし、そして事業環境の変化の流れに乗ることである。” (60%)

” 価格は安ければ安いほどいいと思われがちであるが、それ以上に競争優位性につながるのは、価格に関する顧客へのコミュ二ケーション力である。” (60%)

” いまは幸せ状態の顧客に差し迫った必要性を感じさせて行動させることが、あなたができることの価値となる。” (81%)

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ビジネスの仕組みを築くうえで、ほとんどの人が知らない衝撃的な二つの事実・・

” 1.  頻繁なリピート購買が期待される商品の場合、粗利益は七〜八割以上(仕入れが七〜八掛けということではない、粗利が七〜八割!)なければならない”

2.  頻繁なリピート購買が期待されない商品の場合、初回購入の粗利額は一〇万円以上なければならない ” (63%)

350ページ超を経ての学び(まとめ)

これらは、神田さん専門のダイレクトマーケティングの手法によるものですが

” ダイレクトマーケティングは、ある意味で数字のゲーム。きわめてシステマチックな販売方法であり、この数字のゲームがわかれば、非常に速いスピードで成長することが可能である。” (71%)

売りたいもの、提供したいもの、商材の選択はその人自身のストーリー、思い入れなどによって異なってきますが

それが、売上の80〜85%を生み出す「成長期」にありさえすれば、やるべき事、走るべきレールが決まっている事。

そこに時代の要請として、NPOという斬り口、最も今風に表現すると社会起業家ですかね。

本著を読んで、実感した事。自分の文脈に沿って売るべきものを見付け、ダイレクトマーケティングの手法に則ってプロセスを消化していけば

起業後、約1年でその90%が終焉を迎えるという実情の10%の側に、すべからく行けるという事。

 

神田昌典さんの頭の中、その発想法を学べる『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』読み始め

 

神田昌典さんの『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』を読み始め。

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kindle版をダウンロード。実に350ページ超のボリューム

購読のきっかけは、現在、受講中の「ビジネスプロトタイピング講座」で、しばし、本著の紹介があったため。

>>  藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その壱  <<

>> 近藤太香巳さんが教えてくれた今、小さな事で活躍している事の大切さ:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その弐  <<

>> 神田昌典さんが教えてくれた「起業の本質」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その参神田さんの頭の中、思考法について紹介された内容  <<

内容の方は端的に言うと、神田さんの頭の中、神田昌典式発想法の紹介と活用法。

掛け算されるべき「経営」と「戦略」

” 戦略が間違っていれば、忙しくて儲からない会社になる。給料が少ないから、社員も幸せになれない。もちろん社員の家族も幸せになれない。仕事は面白いかもしれない。ところが仕事中毒になって、仕事のほかには人生がない。これが戦略のない会社の実態である。

戦略のある会社は楽して儲かる。中途半端な儲かり方ではない。勝ち組と負け組の二極化が進むなか、圧倒的にも儲かるのである。” (8%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

“戦後の実態を見ると、儲かっていた会社は、大部分が土地や株のキャピタルゲインで財を築いてきただけで、実業からはほとんど利益が出ていない。

実業から利益が得られるのは、戦略を学んだ人だけだという。” (9%)

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戦略、その絶大なる・・

そこで、戦略のある会社とは・・

” 自社が強い分野を慎重に選択し、その分野に集中してリソース(経営資源)を投入していくのが、戦略のある企業である。” (10%)

戦略とは・・

・何(どの商品)を使って、誰(顧客ターゲット)に対して戦いを挑むのか?

・戦いを挑むには、どのような陣形(流通方法、営業方法)をとるのか?

・どこから切れ込んで、次にどこへ行くのか?(集客商品と、リピート商品)

・いつ戦いを仕掛けて、いつ戦いから離れるのか?(参入・撤退タイミング)(10%)

戦略をもとに戦術が駆使され・・

 ” 営業トーク、販促プロモーション、広告宣伝、それに使われるチラシ、DM等のツールである。つまり戦争における弓矢や鉄砲等の武器のことだ。” (10%)

戦術は修練されると・・

” 一時的に強い会社となる。例えば、広告で「ビジネスクラス40%OFF」という見出しと、「まだ高い航空券にガマンしますか?」という見出しの売上を比べると、

後者の見出しのほうが圧倒的に反応が高くなる。” (11%)

それでは、戦略の定義は・・

” 元マイクロソフト日本代表の成毛眞氏にインタヴューしたとき、彼は次のように言った。

「経営に目標を持つのは百害あって一利なしである。経営計画の数字を達成出来ないというのは、

単に予測力がないからであって、すでに経営者失格である」

経営コンサルタントの大前研一氏も、著書『企業参謀』(プレジデント社)のなかで、次のように言っている。

「成功した経営者の話を聞いていると、いつも驚かされるのは、その意思決定がいかに予言的であるか、という点である」(同書、三三八ページ)

このように優れた経営者を並の経営者から引き離す、最も本質的な能力は何かといえば、予測力・予見力なのである。” (11%)

神田さんは戦略家一人の登場によって、市場は激変するといい・・

” デジタルカメラの市場は、デジタルカメラ製造メーカー同士が競合していたら、いつの間にか、

最強のライバルはデジタルカメラ付携帯電話となっていた。このように戦略的企業は、オセロゲームで一気に色が変わるように、見える景色をまったく違うものにする。” (12%)

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それでは、戦略を導く発想を得るためには・・

” 優れた発想は、一瞬にして得られるのだ。業界を大きく変えるような発想でされ、一瞬のうちにひらめく。”  (12%)

” 実は、発想を短時間で効率的に行なっていくためには方法がある。しかし、多くの会社はその方法をまったく知らないので、せっかくの発想の芽を摘んでしまっている。

それは、どのような方法なのか?その方法が機能するためには、次の三つの条件が必要だ。

・戦略構築に必要な情報を抽出するための効果的な質問をすること(質問と回答は鏡に映った像のようなもので、具体的な質問ををすれば、具体的な回答が得られ、抽象的な質問をすると、抽象的な答えしか帰ってこない / 13%)

・革新的なアイディアを得るために、一時的に混乱状態をつくり出すこと(圧倒的な結果を得るためには、圧倒的な発想、すなわち常識的な枠を超えた発想をする必要があり、そのためには、いままでの思考パターンをいったん崩す必要がある /14%)

・ワクワクしながら自ら進んで実行していくために、アイディアに対してオーナーシップを感じられるようにすること(人間は、自分で考えたこと、自分で決定したことをリスクなしで試してみるのは大好きである。/ 14%) ”  (12%)

” 優れた戦略ができたかどうかは、すぐにわかる。そのアイディアが得られた瞬間、ワクワクする。” (14%)

「スター戦略構築法」って、どのような?

本書では上記の思考法をプロセスを「スター戦略構築法」と命名し、実例として・・

” 【戦略発想の前の課題】

エジプトから輸入したビールを、お金をかけずに、バドワイザーと同じくらい売りたい。ただし、エジプト人はイスラム教徒なので、そのビールを飲まない。”  (16%)

という難解と思わしき問いに対して、20分で下記の回答が得られたそうな・・

” ビールを売るという発想ではなくて、エジプトのピラミッドを救済する運動を起こす。その象徴としてこのビールを使い、

売上の数%をエジプトのピラミッドやスフィンクスの顔の補修に使う。

エジプト大使館の後援を受け、著名な考古学者にも趣旨に賛同していただき協力してもらう。

また愛飲者のうち、毎年何人かをエジプト旅行に招待することで、旅行会社とタイアップ。

実際の販売店開拓はDMで、お試しビールセットを割安で販売するという方法で行なっていく。” (16%)

と、正に本のイントロ部分で紹介されている通りの

「常識的な枠を超えた発想から→ワクワクする心情に至るプロセス」

を垣間見る事が出来ます。

電子版をDL(ダウンロード)したため、厚さについて把握していませんでしたが

amazonで確認したところ・・ 実に354ページ。神田さん式発想法の学び、楽しみです。

 

今枝昌宏さんがビジネスモデルを網羅的に紹介してくれる1冊:『ビジネスモデルの教科書』読了

『ビジネスモデルの教科書』を読了。

>>  今枝昌宏さんがビジネスモデルを網羅的に紹介してくれる1冊:『ビジネスモデルの教科書』中間記  <<

代表的なビジネスモデルだけでも31に及ぶ

後半の目次立ては・・

#15 敵の収益源の破壊

#16  チャネル関係性の利用

#17  ダイレクト

#18    サプライチェーン種別の変更

#19 機能外販

#20 リソース先制

#21 マクドナルド化

#22 提携先のレバレッジ

#23 強者連合

#24 資源再配分の加速

#25 同業との統合

#26 周辺産業との統合

#27 ブランド買収・再生

#28 川下への進出

#29 川上統合によるブラックボックス化

#30 中立性・専属性のマネジメント

#31 レバレッジバイアウト

最後の「レバレッジバイアウト」は、世間を賑わせたライブドアがニッポン放送に仕掛けようとした買収劇に登場したオプションで

「あれかー」って感じ、こういう事案になると本を読む感じが前のめりになりますね。

因みに、ソフトバンクがボーダフォンを買収した時に使われた手法で、機能した好例として紹介されています。

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マクドナルド化、って何だろ?

面白かったのは、やはり身近のところからの引用で「マクドナルド化」(69% : 百分率は紙の本で言うところのページ数に相当/以下同様)。

マクドナルドの他、天丼てんや、ブックオフ、ガリバーインターナショナルで用いられており、定義は・・

” 提供価値をプロセス化あるいは機械化し、リソース単価を切り下げて低価格化することで下層の市場を狙う” (69%)

説明で・・

” マクドナル化とは、主にサービス業において提供価値の種類の絞り込み、均質化した上で価値提供プロセスをマニュアルなどによって定義し、

価値提供過程にプロフェッショナルを不用とすることによって要因単価を下げ、かつ提供価値のバラつきをなくして、従来のプロフェッショナルによるのと同等なサービスを安価かつ大量に販売して利益を上げるビジネスモデルです。”

浸透している業界は、様々な飲食業態のほか、航空旅客運送におけるLCC(ローコストキャリア)や中古車買取サービスなど。

市場戦略は・・

” マクドナルド化によるコストダウンにより、サービスを安価で販売できるようになり、通常利益率も抑えて販売するため低価格の販売となります。

マクドナルド化では、いままでプロフェッショナルを用いて行なっていた事業の市場の下側の潜在市場を狙うことになりますが、

通常、市場は下方に向かって加速度的に大きくなっているため、低価格化により大きな販売量を見込めます。

このため、低粗利でも売上が大きくなるので、最終的には大きな利益を上げることが可能なのです。

中間層の崩壊により顧客の二層化が進む今後は、これは特に注目すべき市場の特徴と言えます。” (70%)

” マクドナルドやワタミなどサービス業として大企業となり得ているのは、、利益率が低くてもマクドナルド化により下側の大きな市場を狙った企業であることに注意していただきたいと思います。” (72%)

一時、隆盛を極めた感のマクドナルドも昨今は苦境に長く直面して抜け出せないので、舞台裏を知って、如何に脱却を図っていくのか、本書の他の項目を参照するなど応用的な読み方も出来ますね。

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ビジネスモデルの切り口

以上のような記載が、戦略毎に

■概要と例

■価値創造過程

■なぜ優位性を維持出来るのか?

■有効に機能する条件

■落とし穴

■類似のビジネスモデル

■このビジネスモデルから学ぶ戦略思考

と、多面的に解説されています。

約600ページに及び読み応えで、最後、ビジネスモデルについて網羅した感覚を抱きますが、巻末にある「おわりに」では・・

” 本書では代表的な成功パターンをご紹介してきたつもりですが、「他にもこんなパターンがある」「こんな面白いビジネスモデルがある」という情報がありましたら、是非筆者にご連絡ください。” (98%)

とあり(笑)その奥深さ、時間の経過と共にモデルが進化している側面もあると思いますが、あくまでも本書は入り口に過ぎないと。

本のタイトルにもあるように、ビジネスモデルの教科書としての使い方が出来るのと、

何となく頭で分かっている事を、その背景にまで踏み込んで言語化してスッキリさせてくれる、

この二つの大きな役割に、本書の価値を感じました。

今枝昌宏さんがビジネスモデルを網羅的に紹介してくれる1冊:『ビジネスモデルの教科書』中間記

『ビジネスモデルの教科書』を読み始めて、半分くらいのところまできたので、中途での振り返り。

『ビジネスの教科書』の目的

冒頭「はじめに」に、本書の目的との記載があり

” 読者に経営戦略を策定する能力を策定する能力やセンスを高めていただくことにあります。”

” 「誰に」「何を」売るのかという顧客と提供価値の選択だけでなく、戦略を支える経営資源や使い方などの仕組みを包括した「ビジネスモデル」に注目します。

というのも、強い戦略があればビジネスで成功するというわけではないからです。その戦略を支える仕組みも含めて事業体として強いビジネスが成功するのであり、

ビジネスモデルが理解出来ていないと、競合の狙いや強みも理解できないからです。” (1%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

以前、戦略に関する本(『「戦略」大全』)を読み

>> マックス・マキューンが『戦略大全』が誘(いざな)う、人生に戦略を <<

>> マックス・マキューンが放つ「戦略」の世界は 24の戦略原則 に 28の戦略ツールキット:『「戦略」大全』読了 <<

戦略が網羅された感の内容に読み応えを感じましたが、

本書で感じた事も世の中にどのようなビジネスモデルが存在して、どの企業で、どのような意図で採用されたが明瞭である事。

「ビジネスモデル」って、いくつある?

今まで読んだところの「ビジネスモデル」は・・

#01 地域ドミナント

#02 クリームスキミング

#03 特定市場の支配

#04 グルーバル化

#05 顧客ライフマネジメント

#06 顧客の購買代理

#07 プラットフォーム

#08 ソリューション

#09 同質化

#10 アンバンドリング

#11 デファクトスタンダード

#12 ブルーオーシャン

#13 レーザーブレード

#14 フリー

とこのような。目次で確認すると、更に17で計31のビジネスモデルが紹介されています。

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「グローバル化」と一口に言うけれども・・

例えば「グローバル化」について、人口減少局面を迎えた日本市場から成長が見込める海外市場で事業拡大を狙う程度の事は、一般的に説明出来る事と思いますが

本書での紹介のされ方は・・

” トヨタ自動車、スズキ、コマツ、パナソニック、日立建機、エースコック、他 ” (20%)

で、採用されているビジネスモデルで

上記の表現は

” グローバル化とは、現在の日本国内における提供価値(製品・サービス)を海外、特に新興国において提供・販売し、

それと並行してビジネスシステムをグローバルに最適配置するビジネスモデルです。

先進国においては人口が伸びず、多くの産業でプロダクトライフサイクルの後半の停滞を経験する一方、

新興国では所得の上昇とともに市場が形成され、成長が始まっています。

そのため、日本など先進国における強みを新興国に移植して売上を増加させ、継続的な成長を目指します。

また、規模を達成し、業務活動や経営資源などのビジネスシステムをグローバルで最適配置する結果、

会社全体として有利な費用構造を持てるようになり、世界市場における競争力を維持・強化できます。”

と見事に表面的な事から背景まで見事に言語化。また、背景については・・

” グローバル化の前提となる環境側の要因は、主に2つあります。

1つ目の要因は先進国での市場形成の終焉と成長の始まりです。この市場の地理的な歪みを捉え、自社も新興国に拡大しないと成長ができなくなってしまうのです。

もう1つの要因は、国境という今まで市場を隔てていた境界の消滅です。従来国境が企業がのビジネスシステムを分断する界面として機能していたものが、

通信や物流、関税障壁の撤廃によって境界としての役割を果たさなくなり、グローバルで意味のある規模を達成し機能を最適配置しないと、これを達成した企業に敗れてしまうのです。” (21%)

とグローバル化を強いられる時代的背景などからも切り込まれ、重層的理解を手助けしてくれます。

本では更に

” 競合がグローバル市場において自社に先がけてシェアを確立してしまうと後発的にグローバル化しにくくなり、

その結果グローバル最適のビジネスシステムを作り上げられず、結果的に敗退することになります。

したがって、グローバル化は多くの企業にとって成長機会であるだけではなく、待ったなしで取り組むべき防衛策でもあるのです。” (21%)

等の深い分析が成されていますが、本書の価値はビジネスモデルが導入例と共に網羅的に紹介されているところですね。

Editor’s Note

電子書籍、タイトルも充実していて、だいぶ扱いに慣れて来た感じも今回の本は横書き。

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キー・センテンスにぴったりにラインを引こうとすると、しばし難儀。これも慣れでしょうかな・・

田原総一朗さんが起業家から引き出す「正解のない時代」の考え方:『起業のリアル』読了

田原総一朗さんの『起業のリアル』を読了。

>> 田原総一朗さんがLINEやスタートトゥデイから起業家の成功に迫る対談集:『起業のリアル』中間記 <<

後半に登場する起業家は

リブセンス 村上社長 // テラモーターズ 徳重社長 // innovation 岡崎社長 // リビング・イン・ピース 慎代表 // ティーチ・フォー・ジャパン 松田代表 // ベレフェクト 太田代表 // ディー・エヌ・エー 守安社長 // サイバーエージェント 藤田社長 // 特別対談:堀江貴文

といった目次立て。

正解のない時代の課題設定

この中で印象的であったのは、田原さんとティーチ・フォー・ジャパン松田代表のやり取りで

田原:いまの学校の一番の欠陥は、正解のある問題の解き方した教えないことですよ。見えない社会で必要なのは、むしろ正解のない問題に対応する力、

もっといえば問題そのものを見つける力です。そういう意味では課題解決より課題設定でしょう。

松田:おっしゃる通りで、私も課題解決と同時に課題を発見していく力は必要だと考えています。

田原:これは日本の昔からの課題ですよ。僕は日本の教育について、宮沢喜一や橋本龍太郎といった歴代首相と議論したことがある。

そのとき彼らがいっていたのは、国際会議で欧米の大臣は積極的に発言するけど、それと比べて日本の総理や財務大臣は発言が少ないということ。

なぜ発言しないのかというと、間違いを恐れているからです。日本の教育は正解のある問題ばかり解かせてきたから、口をつぐんでしまうのです。そのあたりはどう思う?

松田:日本とアメリカの両方で高等教育を受けたので、その差は肌で感じています。日本だと、教室は理論を教えてもらうところですよね。

一方、アメリカでは毎週、授業を受ける前に五00ページ分くらいの論文の束を渡されて、理論を頭に叩き込んでこいといわれます。

授業は理論を使って議論する場所。それぞれが自分の意見をぶつけ合うということが非常に重視されていました。(71%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

この主張は前回の引用と同様、またしても先週受講した藤原和博さんの主張と一致する内容です。

>> 藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その壱 <<

藤原さんの論旨は、” 正解をいち早く言い当てる力 ” が、学校教育で今も昔も重視されているが、今の時代は

情報編集力 : 自分の考えを他人と触れさせ、修正していく力、「正解主義」→「修正主義」が求められているとおっしゃってました。

この部分、徳重社長も類する事に言及されており

” 向こう(アメリカ)では頭のいい人ほどクレイジーで、大きなことをぶちあげるんです。一方、日本は頭のいい人ほどロジカルで、大きなことをいわない。だから優秀な人がベンチャーに流れてこない。” (53%)

頭の中が「正解」を追い求めていたり、そこに縛られている限り、本来、備わっている力を引き出す事は導けない事を意味するのかもしれません。

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ポスト・ホリエモン時代の感覚

その他では・・

村上社長:” 不便や問題を解決するのがビジネスの基本です。” (48%)

慎代表:” 努力は根底に自分を愛せる心がないとできないと思います。” (66%)

” 相手から感謝されるかどうかを気にしていたら、自分が正しいと思ったことができなくなる。

誰も評価してくれなくても、自分がやりたいと思ったことや、いいと思ったことをとことんやる。そう心がけています。” (68%)

田原: “巨万の富を得られる力を持ちながら、それを社会のために使うというのは、いまの若い世代を象徴する働き方の一つだと思う。” (69%)

といったところに刺さりが。

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従来型日本企業からポスト・ホリエモン型へ

本の最後では田原さんが「あとがき」で、(従来型の)日本企業が如何に競争力を失ったかについて分析がなされていて

” 僕(田原)は要因が二つあると思う。一つは、よく言われているように、競争相手が増えたということだ。かつては価格の安さと品質の良さがメイド・イン・ジャパンの売りだったが、

韓国や台湾、中国といった国々が品質の良いものを日本企業より安い価格でつくるようになった。

もう一つ、日本的経営が負の要因になったことも大きいだろう。日本的経営は、終身雇用、年功序列で、社員の面倒を一生見ていく。

マルクスは労働者を商品でなく人間として扱うべきと説いたが、日本企業は社員を家族として面倒を見た。

大企業になると、企業年金にとどまらず、社宅や保養所まで、本当に手厚い福利厚生があった。企業が家族的な経営をしてきた背景は二つある。

一つは、高度成長で企業に余裕があったこと。もう一つは、労働組合への対抗だ。

日本の労働組合は、戦前は共産党系が、戦後は社会党系が強かった。そのため企業は、社会主義や共産主義の組合が理想とする社会より、

資本主義社会のほうが豊かで安心できることを社員に示す必要があった。

つまり企業は、労働組合に社員を奪われまいとして福利厚生に力を入れたわけだ。

これは非常にうまくいった。家族的経営のおかげで社員は愛社精神を持ち、多少の無理もいとわず会社のために働いた。だから日本企業は世界で勝つことができた。

ところが、冷戦が終わって、潮目が変わった。共産主義・社会主義国が瓦解すると、労働組合もイデオロギー的基盤を失って弱体かした。

そうなると、企業は労働組合とはりあう必要がなくなり、株主の利益を増やすことばかり考えるようになる。

社員は代替可能な部品に過ぎず、賃金はできるだけ安いほうがいいと経営者が考えるようになったのも、おそらくこのころからだ。

冷戦の終結によって、企業が日本的経営によって社員をつなぎとめる必然性が薄れ、それまで隠れていた資本主義の本質がむきだしになっていったのだ。” (97-98%)

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時代に感覚を馴染ませてくれる一冊

この本では新しい企業体の担い手、最後で衰退の一途を辿る従来型の企業体について言及され

それを読めば時代は移ろい、進んだ時計の針が元に戻る事はないであろう事は容易に想像出来るわけで

読み手の頭の中の時代認識を再認識させ、上手に時代の感覚を取り込んでいる人たちの共通点などに光があてられ

ご自身は自伝(下記)等で生涯を振り返る限り、ディレクターとの立場を強く自認されているようですが、ジャーナリスト田原総一郎の真骨頂が伝わってくる一冊でありました。