チャルディー二博士に学ぶ人間心理のメカニズム:『影響力の武器』読み始め

 

心理学、セールスなどの分野で名著とされる『影響力の武器』を8章あるまでのうち3章まできたので、おさらい。

ここ何ヶ月かで本書の存在を意識するようになりましたが、書店で手に取った際の分厚さに圧倒され、躊躇うところありましたが

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厚み約4cmの濃厚さ

やはり、鞄の中であったり、電車の中で広げるには、やっぱり・・(笑)

 人が要求を受け入れる時って?

分厚さの正体は豊富(過ぎる?)な事例が影響している印象ですが、本の序盤の構成は

第1章 影響力の武器

第2章 返報性

第3章 コミットメントと一貫性

著者の(ロバート・B・)チャルディー二博士が「まえがき」で

” どんな要因によって、人は要求を受け入れるのか。それらの要因を最も効果的に使って、相手から承諾を引き出すテクニックには、どんなものがあるのだろうか。

何か頼み事をするのに、ちょっとしたやり方の違いで成功したり失敗したりするのはなぜだろうか。そんな疑問をもつようになったのです。”

と、本書が世に出た動機が綴られています。

「カチッ」とボタンを押すと「サー」とテープが回って一定の標準的な行動が現れる、人間行動

第1章では「固定的動作パターン」について

” 人間の行動の多くは自動的で紋切り型です。多くの場面で、それが最も効率的な行動形態であり、また、場合によっては、単にそうする必要があるからです。

私たちは、とてつもなく複雑な環境に住んでいます。これほど急激に変化し、複雑に入り組んだ環境がこの星に存在したことは、これまでに一度もありません。

これに対処するためには、思考の近道を用いることが必要なのです。

たった一日のあいだに遭遇する人や出来事や状況だけでも、すべての特徴を理解し、分析することは不可能でしょう。

そうすう時間も、エネルギーも、そして能力も私たちにはありません。

ですからどうしても、ステレオタイプや経験則を使わざるを得ません。

そして信号刺激となるいくつかの特徴に照らして物事を分類し、もしそうした特徴があれば、考えるより早く、それに応じた反応をするのです。” (p12)

ギブ・アンド・テイクの普遍性

その固定的動作パターンで、まず第2章で取り上げられているのが「返報性」。

” 社会学者や人類学者によると、人間文化のなかで、最も広範囲に存在し、最も基本的な要素となっている規範の一つに返報性のルールがある。

このルールは、他者から与えられたら自分も同じようなやり方で相手に返すように努めることを要求する。

返報性のルールは、行為の受け手が将来それに対してお返しすることを義務づけるので、

人は自分が何かを他者に与えてもそれが決して無駄にはならないと確信できる。

このルールに将来への義務感が含まれることによって、社会にとって有益なさまざまな持続的人間関係や交流、交換が発達することになる。

したがって、社会の全構成員は、このルールを忠実に守るべきこと、守らないと重大な社会的不承認を被ることを子どもの頃からたたき込まれる。” (p91)

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人は一貫性が惹かれ、縛られる

続いて第3章で「コミットメントと一貫性」

” ほとんどの人には、自分の言葉、信念、考え方、行為を一貫したものにしたい。あるいは、他者からそう見られたいという欲求があることは、

心理学者の間ではずっと以前から知られていた。この欲求は、三つの要素によってもたらされる。第一に、一貫性を保つことによって、社会から高い評価を受ける。

第二に、一貫性のある行為は、一般的に日常生活にとって有益である。

第三に、一貫性を志向することで、複雑な現代生活をうまくすり抜けるのに役立つ、思考の近道が得られる。

すなわち、以前の決定と一貫性を保つことで、将来類似した状況に直面したときに、関連するすべての情報を処理する必要が少なくなり、

以前の決定を思い出して、それに一貫するように反応しさえすればいいことになる。” (p181)

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普遍性が豊富且つ端的に

読んだところまでの要点は上記の如く。返報性→「ギブ・アンド・テイク」に関しては「ギブ・アンド・ギブ」の心得が各所で説かれていますが、記載されているのは人間心理の普遍的な事柄。

分量に関しては第3章などは約90ページに及ぶものの、各章最後の「まとめ」で簡潔にまとめられており、本文で用いられた実例をもとから得られた傾向、結論の理解を助けてくれます。

 

 

 


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