川上量生さんがニコニコ動画で実現しようとしている世界:『ニコニコ哲学』中間記

 

読み始めて2日目の『ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち』が半分程度のところまできたので、中間記。

動画はもっぱらYoutubeで、ニコニコ動画は稀にという利用状況ですが、

神田昌典さんなんか言われる動画メディアが取沙汰されている時代、本書の下調べをした際、

KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長である川上さんを天才と称しているレヴューを目にしたので、手に取った次第。

ニコニコ動画を通じて表現される川上量生の世界観

本は著者の加藤貞顕さんと川上量生さんのインタビューがまとめられたもの。加藤さんは川上さんを

” 川上さんがやろうとしていることは、「テクノロジーを駆使して人間性を追求する」ということです。” (3%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

” テクノロジーと感情をかけあわせた新しい場所を、ネット上につくろうとしている ” (3%)

と紹介。

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仕掛けを起こす川上量生語録

で、以下は読んでいて刺さった川上さん語録

” 警戒するっていうのは可能性があると思うことと表裏一体” (8%)

” 誰もやりたがらない「大変なこと」にチャンスがある ” (10%)

” 何もないところから道を切り開く経験をした人はとてつもなく伸びることがある、と思います。” (11%)

” なにかおもしろいことを思いついたとき、それを世の中の人に聞いてもらうために、あとから理屈を組み立てるんです(笑)” (21%)

” ストーリーってこじつけですよ。こじつけが力を持つ。これは正しいと思うな。” (23%)

” 世論が一方向に振りきれないよう、冷静に議論する場所は必要だ。そのために、ニコニコができるのは、

「思想を持たず」に「情報をただ垂れ流す」こと。” (33%)

 

クレームから注目に、仕掛けられた狙い

以下は、ニコニコ動画がニコニコ動画たる所以。まずニコニコ動画で時報サービスが定着した背景の話しで・・

” 最初は「おもしろいから」で始めたんですけど、定着させようと思ったのは、ユーザーが話題にしていたからなんですよ。・・中略・・

文句でもいいんです。むしろ「ムカつく」「ウザい」「迷惑」という話しのほうがいい。

なぜかというと、そういう話のほうが、口コミで広まりやすいからです。” (18%)

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ニコ割ゲームなるサービスについては・・

” 毎週水曜日のある時間に、突然ゲームが始まるというコンテンツで、どんな動画を見ていても一斉にゲームに切り替わって強制的に参加させられる。

ひどいでしょう(笑)。で、終わったら、結果の全国ランキングの点数が表示されるんです。・・中略・・

しかも、ランキングに入ったユーザーは、そのときに見ていた動画が点数と一緒にさらされるんですよ。

ちょっとエッチな動画なんか見てたりすると、もうヒーローです ” (18%)

 

一流ではない、ニッチな落としどころ

一連の流れは、川上さんの狙いが

” あえてクレームが起こりそうなことをすることがあると言う。「しょうがない会社」と思われるようなイメージ戦略 ” (19%)

にあるため。その心は・・

” 「官僚主義に陥らないようにする」 ・・中略・・

会社が大きくなると、いやおうなしにことなかれ主義になっていきますから。

(加藤)たしかに。クレームが来てもいいというのは、ことなかれ主義の真逆ですよね。” (20%)

この辺り、ニコニコ動画をよく知らずとも、ニコニコ動画を知らしめる源泉になっていると思います。

 

愉快犯のススメ

今まで読み進めた範囲(〜58%)で、川上さんの本質的な部分を垣間見たのが下記の件(くだり)

” 論理的に考えた美学において、醜くないスタンスは「愉快犯」しかないんです。変わらなくても別にいいけど、

変わったらおもしろいじゃん、だからやる。それが僕にとっては一番倫理的に正しい、というのが結論です。” (53%)

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この力の抜けた感じ。自分が漠然として抱いていたニコニコ動画のイメージに重なるところがあります。

哲学が上手く社会に発信されている姿に、日本発の動画メディアとしての親近感。

本を読み進めて行くうち、遊び心が随所に垣間見える様子に関心が段々と高まってきました。

 

 


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