上念司さんが紐解くお金を斬り口にした日本史:『経済で読み解く日本史(室町・戦国時代)』中間記

経済評論家 上念司さんの五巻シリーズ『経済で読み解く日本史(安土桃山時代)』

を読み始めて

第一部 織田信長と貨幣制度 

 第1章 信長の本当の業績

 第2章 信長の経済政策

 第3章 信長 vs 義昭の裏で進行していた貨幣制度の大転換

第二部 豊臣秀吉の国内政策

 第4章 国際情勢を理解していた秀吉の改革

 第5章 牙を抜かれた寺社勢力

第三部 豊臣秀吉の対外政策

 第6章 キリスト教団の脅威

 第7章  「朝鮮出兵」失敗の本質

と目次立てされているうちの第一部(〜第3章)を読み終えたので、そこまでのおさらい。

信長が駆け抜け、秀吉が継ぎ・・

” 中世の寺社勢力は、支那大陸から銅銭を輸入する事実上の「中央銀行」であり、勝手に関所を作って物流を握る「経済マフィア」であり、

ほぼ治外法権に近い荘園と寺内町を運営する「封建領主」でもありました。”(p31/括弧書き省略)

という前巻『経済で読み解く日本史(室町・戦国時代)』の復習から

<< 2019年7月10日投稿:画像は記事にリンク >> 上念司さんが紐解くお金を斬り口にした日本史:『経済で読み解く日本史(室町・戦国時代)』読了

主として織田信長に焦点があてられ論が展開されていきます。

” 世に氾濫する「信長本」は大抵この手の政策レベルの話を針小棒大に語って信長を礼賛するのですが、私はそういうことをしてもあまり意味がないと思います。

なぜなら、信長の凄さはそこではないからです。”(p36)

と評価は他書と一線を画すとのことで、取り上げられたのは

” 信長の偉大さは政治家としての手腕もさることながら、尾張下半国の代官からスタートして、天下統一の一歩手前まで行ったその経営手腕にこそ見るべきものがあります。

私には一代で町工場からグローバル企業に成長させたソニーの創業者盛田昭夫氏のような立志伝中の人物と信長の姿が被って見えて仕方ないのです。”(p37)

具体的には

” 信長こそは間違いなく創業者タイプの人物だったと思われます。・・中略・・

信長はゼロからイチを作り、秀吉がそれを経営者として十とか百にしたと考えれば合点がいきます。

そして、家康は秀吉が進め過ぎた信長路線に不満を持つ武将の代表で、むしろ信長路線を後退させることで現状維持を図ったというのが私の見方です。”(p39)

との見解から

 ・信長は本当に宗教を弾圧したのか(p44〜)

 ・信長の金融政策(p54〜)

 ・信長の”革命”(p68〜)

等々の各論に踏み込まれています。

時代を捉えた嗅覚と無念と、交差する偉人たち

当然そこには明智光秀が企てた本能寺の変についてもしっかり俎上に上げられ、

織田信長を中小企業オーナーを見立てての推量を含めての展開に説得力も感じながら読み進んでいきました。

時代は豊臣秀吉に移行していきますが、日本史の中で特に評価が分かれる織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が生きた時代を

今一度、新たな切り口(経済)を伴って、歴史感を掴みたいと思います。


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