古賀茂明さんが明かす、日本の「中枢」の実態と、日本が抱える深刻な問題:『国家の共謀』読み始め

元 通商産業省(現 経済産業省)の官僚で、現在は「改革はするが、戦争はしない」をスローガンに掲げる市民の集まりフォーラム4を主宰されている古賀茂明さんの

『国家の共謀』を読み始め、第六章まであるうち第二章までを読み終えたので、そこまでのおさらい。

 第一章 軍事大国の野望に燃える安倍政権

 第二章 今やカジノ一本槍になった成長戦略

 第三章 経産省が日本を滅ぼす!?

 第四章 首相スキャンダルと政官の堕落

 第五章 関心事は人事ばかりの官僚たち

 第六章 ”対抗勢力”に未来を託せるか?

という目次立てをもとに、古賀茂明さんらしい赤裸々な論が展開されています。

安倍政権の外交姿勢

私自身は緊迫する近隣国との情勢から憲法改正に前向きな立場となっていますが、

本書では、

” 私たちはもともと、日米安全保障条約の意義として、「アメリカに日本を守ってもらう代わりに、日本は基地を提供する約束だ」と教えられてきた。

それが今や「日米同盟(日米安保条約)」を守らなければ日本を守れない」、だから「日米同盟を守ることは何よりも大事だ」という具合に、見事に話がすり変わっている。”(p32)

と安全保障の在り方であったり、

” 世界の信頼を裏切る安倍政権の行為は、核兵器禁止条約不参加だけではない。

さらにひどいことに、NPTに加盟していない核保有国インドとの間で原子力協定を結び、原発を輸出し核技術協力まですることになった。

北朝鮮と同じことをした国に対して、こんな破格の扱いをするのは論理破綻の極致である。”(p40)

と安倍政権の外交姿勢に警鐘を鳴らす内容となっています。

規制改革の現在地

第二章では、

” 安倍首相は改革を叫ぶが、利権集団にはめっぽう弱い。”(p99)

との評価から、

” 二〇一七年六月に閣議決定された「規制改革実施計画」を見ると、ウーバーなが世界で急拡大させているライドシェアの解禁にはまったく触れていない。

国家戦略特区で、一部の過疎地域で極めて制限された形態で認められているが、都市部となると、やはり、タクシー業界の反対が怖くて手が付けられないのである。”(p73)

1月22日から始まる通常国会で中心となる議題の一つとされる「働き方改革」に関しても

” 私が強調したいのは、安倍政権の働き方改革の発想が、最初からピント外れということだ。

労働者の働き方を変えれば問題が解決されるという、「発想の方向」が逆なのだ。

労働時間の短縮や最低賃金の引き上げなどは正しい政策だが、成長戦略のカギを握るのは、企業経営の変革と、その結果としての企業の淘汰にある、という本質が理解されていない。

「働き方改革」の本丸は、労働条件が良くても儲かるビジネスを築き上げるため、経営者たちが自己変革することだ。

それができない無能な経営者は淘汰されるのが当然であることを、しっかりと認識してもらいたい。”(p90-91)

と、至極厳しい評価が下されています。

問題から視る日本

本書で書かれてある主張は、昨年(2017年)6月の講演と重なる点が多く、

<< 2017年6月22日投稿:画像は記事にリンク >> 古賀茂明さんに学ぶ、日本の現状、進むべき未来:『日本中枢の狂謀』刊行記念講演会 参加記

読書を通じての復習的な意味合いも感じていますが、改革が期待された通り、進んでいない現状、

引用箇所からは外れますが、国際的な競争力の低下も本書で再三指摘されており、

「どのような問題が今の日本にあるのか?」といった視点で、既に学ぶべきが多い状況となっており、引き続き、同じ立場で読み進めていきたく考えています。


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