佐藤優さん、石川知裕さんから学んだ 対「逆境」:『逆境を乗り越える技術』読了

先週、開催された元外務省の佐藤優さんと前衆議院議員の石川知裕さんのトークショー&サイン会の対象書籍であった『逆境を乗り越える技術』を読了。

>> 佐藤優さん、石川知裕さんから学んだ「逆境」への備え <<

今、大切、尊きは「与える力」

巻末のエピローグで佐藤優さんが本書を・・

” 読者には、具体的に目に見える、手に触れる範囲にいる家族、親族、友人、同僚が逆境にあるとき、援助できる人になって欲しい。実は、そのような「与える力」は、社会における読者の地位を確実に高める。そのことが、読者の生活、キャリアの双方を豊かにすることは間違いない。” (p269)

と読者へ向け明確なメッセージを発せられています。

Giving

誰しも直面しうる「逆境」

本編では逆境の陥った時、又は陥らないようにするための心掛けについて記されており、主に石川さんが佐藤さんに疑問を問う形で進行。

(佐藤優)” 逆境に陥ったときには ・・中略・・ まず人に相談する前に紙を持って来て、ノートがいいと思いますが、何が問題かということを書き出してみることです。問題を書き出すと、意外にその段階で半分ぐらい解決がつきますから。” (p58)

(佐藤優)” 逆境に追い込まれたら、絶対環境を変える必要があります。一回、そこに至った流れを切断しないといけません。それまでの流れ、とくに人脈にはあまりよくない部分がくっついてきますから。だから一回、気を切るみたいな感じで、環境を変える。 ”

” プライドを捨てないと破滅することがあります。だから破滅するかプライドを捨てるかを厳密に選ばないといけません。” (p75)

因みに、プライドを捨てるとは・・

” とにかくどこでプライドを捨てるかというと、住居で捨てないといけない。というのも日本は異常に住居費が高くつくから ” (p142)

逆境に直面して実入りが懸念される状況を招いたら、まず、住宅について考える必要があるようです。

そして、最悪の状況に陥った時は、

(佐藤優)” 絶対に自分を拾ってくれる仕事(=本当に人が来ないと困る仕事)はスポーツ新聞に載っています。” (p144)

と、実際、佐藤優さんが収監中の際はスポーツ新聞の求人欄を見て、娑婆に出た際の自身の経済的価値を図られていたそうな。

また、大事な事として

(石川知裕)” 自分で動かないと誰も助けてくれないということ ・・中略・・

「誰かが助けてくれるだろう」と甘いことを思っていると、たいへんなことになります。・・中略・・

逆境に陥ったときは、苦しくても自分で動かないとダメですね。” (p145)

石川さんは現在、大学院生の身分だそうですが、衆議院議員辞職後は・・

” 継続的に支援者の皆さんにお願いして、寄付を募るなど、色んな努力しています。・・中略・・

お金を頼みにいくのは、ものすごいストレスですし、たいへんへんです。「やっぱり断られるかも」とか「下手するとお金はおろか支持をも失うかもしれない」など、悪いことを考えてしまいがちです。” (p145)

と実体験に基づいた経験、心情を吐露されています。

本書の特徴として、共著の両者とも東京地検の壮絶な取り調べ、世間からの強烈な逆風に直面し、地獄を味わった上での経験談が綴られている事が上げられます。

人の最大の資産は、やはり・・

本では、こういった状況に陥った場合、又は未然に防ぐ策に・・

「やはり持つべきものは “友達”」(p226)

として、

(佐藤優)” SNS(ラインやミクシィ、フェイスブックなど)とリアルな友達をつくることとは関係ないです。SNSはフィクションの話ですから。SNSで1000人友達がいてもまったく意味ありません。” (p226-227)

と、昨今での「友達」の定義との違いを明確にした上で

(佐藤優)” こういうふうに考えてみたらいいと思います。人間にとって最も人間関係をつくりやすいのは、一緒に食事をとることです。

そうすると、土日は休むとして、月曜から金曜まで誰かと一緒に食事をとるとしたら枠がいくつありますか? (以下、省略)”

上記から経済条件や生活習慣病などの問題が考慮され、政治家や作家など相当人と会食する仕事を持つ人で親しい間柄を保てる人の数を30人、普通のサラリーパーソンで10人と想定。

” 肝胆相照らすような関係の友達というのは、両手の数を超えることはありません。構造的にできない”  (p228)

と如何にして各自の身近で10人に近い「友達」作りを日々出来ているかの重要性が説かれています。これが本書の肝。

参考までに・・

” 心を開いて真剣に接していると、必ず友達はできます。” (p241)

160887834

私のため? あなたのため?

読んでいて個人的に興味を引かれたのは、石川知裕さんが仕えた小沢一郎代議士と鈴木宗男元代議士に関して・・

” 小沢一郎氏や鈴木宗男氏は、強面の政治家だ。たしかに、ふたりは、自らが正しいと信じる政治を実現しようとするときに、その障害となる人々に対しては、激しい戦いを展開する。

しかし、そこに意外と私利私欲はない。それだから、小沢氏、鈴木氏のカリスマ性に惹きつけられる人が少なからず出てくるのだ。” (p245)

と、冒頭に書いた「与える力」に関して、それが国家レベルであろうが、個人レベルであろうが

私利私欲に基づいたものであれば、自分の周りに尊い無形資産(人間関係)が形成されていくという事。

小沢代議士、鈴木元代議士とも、過去の仕事に関して賛否、或いは功罪があったろうとの議論は承知していますが、

先週、出席した勉強会で学んできた内容で、ビジネスで成功するには「For Me (フォー・ミー) 」ではなく、「For You (フォー・ユー) 」の視点で捉える事の示唆があり

ビジネスに限らずとも、世の多くの事に該当する事だと思います。

本では誰しも予期せぬ「逆境」に直面する事(例:倒産、破産、病気、事故)があるそうで、それが不可避の事態であるにしても、

” 日頃、具体的に目に見える、手に触れる範囲にいる家族、親族、友人、同僚に如何に手を差し伸べられる人でいられているか “

この事に、避けられぬ危機を乗り切れるか否かの分かれ目が存在するようです。

 


Comments

comments