成毛眞さんに書評を学ぶ

書店のインストアイベントで、成毛眞さんの「面白い書評」講座に参加してきました。

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成毛さんは殆ど予備知識がなく、お名前はマイクロソフト日本法人の代表でビル・ゲイツがどんな多忙な時でも電話が繋がる極少数の人であったとか、

世の英語学習ブームに対して、多くの人にとって英語学習は必要が無い、といった世相を厳しく斬られていたり、といった伝聞情報から。(何れも記憶頼り)

どちらかというと後者の印象が強く、「恐い人」的なイメージを持っていましたが・・

私より若干後に入場されて、「こんばんはー」と気さくな感じで開演前から場を和ますべく話し始められ、

約1時間の講座もざっくばらんな感じで、終始和やかな雰囲気で進行しました。

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入場は45名限定。別枠と思いますが、クイズ番組等でお馴染みのタレントの方もお見えでした。

ホンモノの書評を目指す、HONZでのノウハウ

で、肝心の講座の方は「おススメ本を紹介するサイト」HONZ(講義中、書評サイトではないと明言されておられました)を主宰されている事に関連してのカリキュラムでしたが

サイト開設のキッカケは、新聞の書評の公開時期(=遅い)であったり、在り様に関して疑問を持っておられての事で、

裏返しで「書評、かくあるべし」のこだわりを聞く機会となりました。

実は文章を書くに当たっての約束事は多く、それらは教えられていない

まず、文章を書くには絵を描く事や音楽に親しむ事と同じく、しっかりと学ぶ事が重要。

学ぶ上では、本多勝一さんの『日本語の作文技術』がオススメであるとの事。

因みに、本の題名は二重括弧(『』)を用いる事が前提で、HONZのライターに応募があっても、この点が出来ていなければ、審査を通過する事がないくらい、重要とのお話し。

基本を踏まえた上で、人それぞれの文体が育つ

また、個人で文体を確立する事は奨励されている(HONZの書き手にクセがある事は認められており、出版社からの献本も指定された書き手に送られてくる事が多いそうな)ものの

漢字と平仮名の割合で、漢字を30〜35%にして、文を読むリズム感を出しやすくするなど、抑えておくべきテクニックは数あるようです。

抑えておくべき基本的事項は・・

文末の「です・ます」調と、「だ・である」調は混在させてはいけない。

修飾する側とされる側を離し過ぎない。

同じような単語、表現を重ねない(言い換えを行う)。

書評の真髄

書評に関しては「最高のブックガイド」を目指し=買ってもらう事が目的、感想は要らず、書き手には長めのPOPを書く気持ちを求めている。

何より大事な事が面白い本を選び出す、「選本」のセンスが求められる。

そして、読んだ面白い本を面白く紹介する事が書評の役割で、(書評を)読んだ人に(紹介した)本を買ってもらう事が目的となる。

紹介する本の条件は、手に入れやすい本、買いにくい本(例:普通は高くて買えない本を紹介する)、人を褒めている文章を読みたい読者、人を貶めている文章を読みたい読者などが想定され、

HONZでは人を褒める文章を念頭に置き、サイトの運営で問題が起きない事が意図されている。

面白い本なら書評を書く

成毛さんの場合、一ヶ月に最大で5冊程度について書かれておられ、その判断は最初の10%で見極め、面白ければ最後まで読んで書評をしたためる。

何冊か読んだうちの1冊について取り上げる事が、良い書評を書くコツにつながる。

そこに書く内容は、「あらすじ紹介」で良く、その本の面白さを表現する事以外の事は書かない。=不特定多数は、書き手のレヴューに興味がない

本文に関する内容6割、周辺部で4割(参考文献、装丁、値段、翻訳者といった事柄)程度の配分が黄金律。

本は読んだら忘れるもの。そこで・・

付箋は読書に必需品であるとして、貼る箇所は主に下記の三点・・

引用出来そうなところ

筆者の「ここが言いたい」ところ(実は意外と言えない場合が多いとか)

新しい用語、知識(トリビア系の内容)

本は読了すれば忘れて良いとの考えで、後から振り返る時に付箋が役立って来る。

書評の目安

文字数の目安は、1,200字〜2,000字(成毛さんの表現でハーフマラソン〜フルマラソン)。新刊の超速レヴューで1,200字。

この量が難しければ800字(トレーニング)から練習する。但し、慣れるとこの分量ににまとめるのが難しくなってくるとの事。

書き進める中でのお約束事

その他、文体は原稿用紙と同じく、最初の1文字を空けることなく(スマホを意識されているとの事。)、段落の間にスペースで1行入れる。

ウェブ上の引用は、「 “」(” ウェブ上の引用 “)を 使う。

写真、画像は積極的に(但し、著作権等の問題有り)

タイトルは13.5文字が面白い(Yahoo!の基準であるそうな)

書いたら、Facebook、Twitter(紹介の文字数はURL等を考慮して90字程度/140字は使い切らない)を積極的に使う。フォロワーはRT(リツイート)で増やす。

雑音は無視する。成毛さんは問題発言を見付け次第、ブロックを積極活用されているそうな(笑)

書評に求めれる事って?と、広がる夢

と、様々なノウハウの教授がありました。最後、書評を書く事に「才能」が必要であるとのお話で・・

場内一瞬、雰囲気変わった可能性ありましたが(笑) まずは大量に本を読む事。読んで、書評を書く事に熱中出来れば「才能はある」と考えて良い。

そんな中で印象的であったのは、作家という職業が、例えば1,600円の本が100万部売れれば、印税10%として1,600万円の収入となり、個人で、一気にこれだけ稼げる仕事は無いのではとの事。

お約束事と個性と

ふぅ〜 ここまで2,500字超。日々ブログに文章を載せ、思考錯誤していますが、幼少の頃から書く事は日常的であるものの

改めて「書く事」について学ぶと、それは読み手の皆さんへの思い(読みやすく書く)なんでしょうね。

方や誰でもなく自分にしか書けない文章への憧れも強いですね。上手に文体を確立したいです。


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