新海誠監督が描いた孤悲ものがたりの行方:『小説 言の葉の庭』読了

新海誠監督の2013年の監督作『言の葉の庭』(アニメーション映画)を公開後、小説化した『小説 言の葉の庭』を読了。

書店で本作を見つけレジに持っていく際、文庫版ながら約400ページに及ぶ厚みに腰が引け気味でしたが、

目次に目をやると、第一話〜第十話+エピローグと小分け?に。

「まぁ、大丈夫なんだろう」なんて思いながら会計を済ませましたが、一旦、読み始めて見ると

各話で繰り広げられる恋愛模様に、映画版に添えられたキャッチコピーが

 “「愛」よりも「孤悲」のものがたり”(p387)

であったそうで、愛が憎しみに転じる局面もあり、厚みも伴う重量感を読書中から感じていました。

なお、映画は四十六分という中編作品ながら

映画『言の葉の庭』予告編映像

小説は語り手(=登場人物?)が増やされ重厚感が加えられていて、新海誠監督によると二時間では収まらないほどのボリュームに拡張。

構造は、年末読んでいた『小説 秒速5センチメートル』↙️

<<2019年12月17日投稿分:画像は投稿にリンク >> 新海誠監督が綴った、少年から大人になるまでの三つの恋物語の行方:『小説 秒速5センチメートル』読了

と同じく、話しを跨いで登場人物の視点が切り替わっていくもの。その手法はクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』を想起させられたように。

本書は長編である分、全体像を捉えるのに難儀しましたが、ようやく第七話(p232〜)くらいから

現在地が掴めてきて、作品で描かれている世界、登場人物の思いの内などに惹き込まれていきました ^^

濃厚な恋愛描写の果ての・・

視点の切り替わりから、途中から「最後どうなるんだろう・・」なんて思いながら読み進めていきましたが、

本筋は

” 靴職人を目指す高校生・孝雄と謎の女性・雪野が雨の公園で会うことによって繰り広げられる “(p391)

というもの。

濃厚と感じられる恋愛描写、リバースアングルで絡み合った思ひが読者に紐解かれたり・・

途中、アップ&アンダーがありながら、映像(映画)で浸ることの出来る透明感貫かれる心地に、最後、爽快感のようなものを抱かせてくれるのは、やはり新海誠監督の世界ですねー


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