「適当」ではない高田純次を貫いた唯一の約束事:『高田純次のチンケな自伝』読了

サイン会の時から始まった高田純次さん自伝「高田純次のチンケな自伝」の最終章、4回目。

前回は、やっと手にした安定を、浮気心で誘った女性と訪れた飲食店で劇団員時代の仲間と遭遇して、手放してしまうところまで。

>>  高田純次 part 3 : 記者が分析した「適当男の真骨頂」<<

打算のない、人生への純粋な思い

今日、第5章から一気に最後まで読了しましたが、安定を手放す(=サラリーマンを退職)までには・・

仲間からの熱い勧誘であったり、燃える世界で頑張る仲間への羨望であったり、宝石のデザインの仕事を続ける事の限界を感じていたり等の事が入り交じって。

最後は、30歳という年齢や奥さんとお子さんの存在が気になったそうで、

この時に、すがったのは200万円の貯金だった。これで1年くらいは食いつないでいける。芝居がダメだったら、また宝石デザインに戻ることもできると考えた。(p121)

年齢に関しては・・

才能があるか、ないかは問題じゃない。才能があろうがなかろうが、30歳であろうが35歳であろうが、自分の燃えることをやる。そうすれば、自分が納得できる。ーーーそう思った。成功とか失敗という考えはなかった。(p122)

やり直しや転機に定年はないーーーオレは今でもそう思っている。(p123)

退職届を提出してから3日後に知らせたという奥様には半ばパニック的な反応を起こされたものの

「大丈夫だ。どんなことをしてでも、おまえと子供は食わしていくから」(p126)

と。実際、工事現場で生き埋めになりかけるなどの事(p143)があっても、家族への誓いは守る事に。

高田純次の生き様を表現した名句の数々

物事を損得では判断したくない。面白いか面白くないか、の気持ちで判断する。つまり、気持ちが燃えるかも燃えないかを生き方の基準にしてきたように思う。

地道に生きようと思ってサラリーマンをしたが、気持ちは燃えなかった。カネはそこそこ入ったが、自分を見つめ直すと、気持ちが納得してないことがわかった。わかりやすくいえば、仕事に没頭できなかった。(p127)

どちらが面白そうか、燃えそうか。面白うな世界を選ぶーーーそれがオレの生き方なのだと思う。つまり、オレの生き方は、計画性のない行き当たりばったり、刹那的なのだ。

これを適当というなら、いってもいいと思う。(p128)

「今、この時に燃えたい」という方が、「将来の安定のために」と考えるよりも、男としてはカッコいいのではないかーーーそう思ってしまうのだ。(p129)

自分の進路について迷っている若い人が読んでくれるとしたら、オレはこう誘惑したいな。

「こころが燃える仕事を選びなさいよ。失敗しても大丈夫だ。いくつになってもやり直しはきく。君がその気になりさえすれば、道はあるから」と。(p129)

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生きることって、そんなに難しいことじゃなくなる

30歳でサラリーマンを辞めて、芸能界で食べていけると実感出来たのは40歳になってから。

その間は無我夢中で目の前の仕事に体当たりして行った様子が本に綴られていますが、本の最後部で読者へのメッセージとして・・

若い人も中年も、あるいは高齢者も、うじうじしている暇があったら、身体を動かし、頭を働かせることだよ。そうすれば、生きることって、そんなに難しいことじゃなくなるよ。

挫折に挫折を重ねてきた、チンケなオレがいうのだから間違いないよ。(p189)

と、本後半は高田語録のオンパレードで、大いに心を鼓舞されるドラマチックな展開に。

「適当」と対極の高田純次の哲学

高田さんの代名詞ともいえる「適当男」の呼び名が定着したのは、ここ6、7年のこと、との事。(p184)

TVを通じて伝わる高田さんは、悩みと無縁で、気楽に好きな事で、それこそその生き様に「適当」の二文字を思い浮かべる人が多数なんであろうと思いますが

この本では、ご自身が言われるように迷ったら

「面白そうな世界を選ぶ。それがオレの生き方なのだと思う。」

この姿勢を真摯に貫いた生き様こそ、「高田純次」であると。


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