竹田恒泰さんが思いを込めた日本人のための教科書:『国史教科書』(中学 歴史 令和3年度文部科学省検定不合格教科書 )中間記

作家 竹田恒泰さんが、

” もし真っ当な教科書が普及したなら、真っ当な青年が育ち、将来、日本の指導者になって、そのときに本当の日本が復興するのではあるまいか。正しい教科書を普及させることの価値はじつに大きい。そのために有志が集い、始まったのが『国史教科書』編纂計画である。”(p.vi)

との思いから中学校教育現場での採用へ向け取り組まれている『中学歴史 令和3年度文部科学省検定不合格教科書』を読み始めてから

 第一章 原始

 第二章 古代

 第三章 中世

 第四章 近世

 第五章 近代

 第六章 現代

と大きく時代分けされているうち 第三章 中世 まで読み終えたので、そこまでのおさらい。

立ちはだかる壁 に、あと一歩

『国史教科書』は、通算4冊目となり

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てっきり前回に至る文部科学省

” 一回目と二回目は全体の欠陥箇所の指摘が一〜二ページの紙にまとめられていただけだったが、三回目は七四ページにわたって個別の欠陥箇所が指摘された。検定三回目にして、初めて具体的な欠陥の指摘を受けるに至ったことになる。”(p. vii)

という対応の変化から、本書は合格教科書になるものと予想していきや

” 結果としては、すべての欠陥箇所について調査官と修正のすり合わせができていたにもかかわらず、修正表の編集ミスと、修正表の書き方の体裁上の問題により四一箇所の欠陥箇所が残ったかたちになってしまった。

規則では再提出は二回までと定められているため、令和四年度の提出はできない。令和五年度の教科書検定に再挑戦する所存である。”(p. ix)

またも種々の壁に阻まれてしまい、書店に流通することになった経緯。

封印されてきた英雄

印象に残ったところでは

” GHQがあらゆる出版物に適用した『プレス・コード』も然ることながら、教科書検閲に用いた『教科書検閲の基準』の影響が大きい。GHQは同基準に明記された次の五点について、教科書から徹底的に排除したことが現在にまで影響を与えているのである。

・天皇に関する用語

・国家的拡張に関する用語

・愛国心につながる用語

・日本国の神話の起源や、楠木正成のような英雄および道義的人物としての皇族

・神道や祭祀、神社に関する言及、等々

(高橋史朗『検証・戦後教育』広池学園出版部)

このなかで特に注目すべきは「道義的人物としての皇族」は教科書には掲載してはいけないということ。元寇にあたり、自らの命を差し出してでも国民の命を救ってほしいと伊勢の神宮に祈った亀山上皇の話、不作で飢えに苦しむ国民に三年にわたり税を免除した仁徳天皇の「民の竈」の話などは、教科書に掲載できなくなった。

また「楠木正成のような英雄」も教科書に書いてはいけないとされ、たとえ名前を紹介することはあっても、英雄的な逸話は教科書には書けなくなった。”(p. iii – iv)

との前段を受けての

” 後醍醐天皇の倒幕の意思は揺らぐことはありませんでした。皇子の護良親王が吉野で、また河内の暴れ者といわれた楠木正成が河内で挙兵すると、これに応じて各地で倒幕の挙兵が相次ぎ、幕府の優勢は崩れました。”(p143)

という流れに、楠木正成への興味関心を強く刺激されました。

寄せられる支持

最初、店頭に並んだ本書に驚かされたのは500ページに迫ろうかという厚みで、

” これまでに一般書籍として上梓した三冊の売り上げによる収益金は、教科書検定に提出した教科書の制作費用に充てた。その結果、年ごとに全体の分量が増加したほか、多くの写真や図版を取り入れることができた “(p. ix)

ということで『国史教科書』に寄せた支持を現れといえるでしょう。

厚みの変遷:平成30年度版 222頁、令和元年度版 335頁、令和2年度版 367頁+巻末資料、令和3年度版 464頁+巻末資料

一般書籍としては最終版になろうかと、第四章 近世 以降、心して目を通していきたく思います。


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