為末大さんに学ぶ、自由になるために持つべき勇気と適応:『逃げる自由』中間記

陸上トラック種目の世界大会(2005年 ヘルシンキ選手権)で日本人初のメダル獲得者となった為末大さんの新刊『逃げる自由』が

先週末から読み始めて以来、半分あたりに差し掛かったので、そこまでの振り返り。

為末大さんが2013年に出版された『諦める力』で

” 勝てる可能性が限りなく低いところで頑張り続けるよりも、少しでも可能性が高いところで勝負することを考えたらどうだろう ー そんなメッセージを投げかけた本だった。”(p2)

とのメッセージを発したところ、

” 「それでも諦められないのだがどうしたらいいか」というような相談がいろんなところから舞い込むようになった。

それで、ネット上の「相談室」というかたちで、そうした質問を集めて、僕の考えをお話ししてきた。”(p3)

という経緯から『諦める力』の続編として上梓されたのが、本書。

私の記憶では、為末大さんの本は読んだ記憶があるものの印象に乏しく、本書に対する期待値は高くなかったものの

『逃げる自由』に関しては、「この人、自分と繋がる力が強いなぁ」と、本を読み進めるに期待感高まる良い感じ。

本当に大事なものは、・・

本書のこれまでの構成は、一般の方々から寄せられた質問に対しての回答と、為末大さんのコラムによって進められ、

上述の「繋がる力」を最も感じた箇所は、「自由と選択肢」と題されたコラムで

” これだけ選択肢の広がった世の中なのに、人はなかなか自由を満喫することができない。

・・中略・・

何かと対等な関係を築くために必要なのは、「いざとなったら関係を解消できる」という感覚が必要になる。

・・中略・・

しょうがない、いざとなったら、どこか違う国でやり直すか。自分だけで食っていく道を探すか。

こういう感覚がある人は所属や目の前のものに依存しない。

そうなるとその人は思ったことを口にしやすいし、何かに気兼ねすることなく自由に動けるようになる。

これだけ聞くと、結局強者しか選択肢がないんじゃないかと言う人もいるかもしれない。

でも僕はそうは思わない。これは能力の問題じゃなくて勇気と適応の問題だ。

人はけっこう、どうなふうにしても生きていける。ブータンやネパール、インドなどに行くと、そのことを痛感する。

「これがなければ生きていけない」というものはほとんどない。あるとしたら命と楽しむ気持ちぐらいだ。

人生で一度でもこの心境を味わったことのある人は、ずっとその感触を忘れない。

どん底を経験した人が自信にあふれて見えるのは、復活したからではなく、すべて失っても自分は大丈夫だという感覚を持っているからだろう。

さらに言えば、本当に大事なものは決してなくならないという確信のようなものがあるようにも思う。

・・中略・・

なくなったら困るものからは人は自由になれない。こうでなくてはならない考えが多ければ多いほど、選択肢は少なくなる。

・・中略・・

厄介なことに、人は自分を縛っている思い込みに気づいていない。

なあんだ、怖がっていただけで本当は大丈夫なんだ、という感覚が持てると、

思い込みから自由になり、本当に好きなものや、逆に本当は嫌いなものが見えるようになる。

自由になった人は余計な配慮をせず、本音を語れるようになるので、人に信用され、頼りにされるということもある。

選択肢というのは誰にでもあるように見えて、自由になった人にしかないものである。”(p28-30)

と、引用が長くなりましたが、私自身が実感に達している心情とは言えないながら

書かれている内容がスムーズに腹落ちしていく感覚を抱き、一文を読み、心が軽くなり清々しい感覚に達する印象的なコラムでした。

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高い言語化能力から体感出来る感覚

プロフィールに目をやると「1978年広島県生まれ」とあり、まだ30歳代ながら

インターネットで名言集⤵︎ が検索されるなど

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出典:NAVERまとめ(画像は名言集にリンク)

アスリートとして自己と向き合った経験から、哲学的思考ができ、そのプロセスから抽出された力強い言葉を発する力のある人なのだと感じていますが

人が何となく感じている(/分かっている)ことを言葉にする力も感じ取れ、本書を通じて触れられる感覚を楽しみたいと思います。

 


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