青山繁晴さんが、日本を取り巻く世界で起こっていることに起こることから日本人に問う覚悟:『壊れた地球儀の直し方』読了

現在、参議院議員で、長く日本初の独立系シンクタンク独立総合研究所の代表として、TV等でも活躍されてきた

青山繁晴さんの『壊れた地球儀の直し方』を読了。

本書については一度「読み始め」⤵︎ の段階で取り上げており、

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493頁に及ぶボリューム(青山繁晴さんは、「ぶっとい新書」と表現)から読了まで時間を要しましたが・・

単身、イラクに乗り込まれての迫真の取材録(三の章  イラク入国)であったり、

世界情勢、アジア情勢を読み解く上で高まる中国のプレゼンスですが、

” 中国は、周辺民族の侵入を、こころの底から恐れてきた国である。「中国四〇〇〇年の歴史」と言い、

それを誇りながら、実は途中でモンゴル人に滅ぼされ「元」という国に変わった。

近代でも女貴族に滅ぼされ「清」という国に変わった。歴史は何度も途切れているのだ。

わたしが中国を最初に訪れた時、一九八〇年代前半の中国は、個人の富よりも国を思う若い人がほとんどであった。

拝金主義にくまなく冒された現在からすれば嘘のような夢のような話だ。

・・中略・・

漢民族は、周辺民族への恐れのために、かつては万里の長城を築いた。

築いたが、その甲斐もなくモンゴルに征服されたために、現在ではそのモンゴルの一部やウイグル、さらにはチベットを呑み込んで「人民共和国」をつくり、

彼ら異民族の反乱を「人民共和国」をつくり、彼ら異民族の反乱を「人民解放軍」の武力行使で抑えている。”(p210-211)

” 実際の人口は一五億に迫りつつあるという説もあるのに、すでにエネルギーは輸入に頼っている。

中国の海洋探査船が日本の領海やEEZ(排他的経済水域)に入り込んで調査しているのも、日本列島周辺に豊富に埋まっていることが確かなメタンハイグレードが本当の狙いだと考えます。”(p360)

といった史実に基づく国民性の解釈に、中国の内情からえぐる分析に、

アメリカについても・・

” アメリカは、イラクを直接支配することによって中東に初めて、日本のような従者をつくり、それを拠点に中東全体をストレートにコントロールしようとした。

そしてアメリカは、北朝鮮危機にいずれ決着をつける。直接支配の及ばない軍事国家を存立させては、アジアをコントロールできないからだ。

アメリカは自らを「世界政府」として確立させるうえで障害になる国は、一つ残らず排除しようと動いてゆく。

その決着とは「北朝鮮とアメリカの人類史上最悪の戦争」か「北朝鮮の自壊とアジアの空前の混迷」のどちらかである。

どちらにせよ日本を含むアジア世界が、いまわたしたちの前にある姿を失うことは、もはや避けらない。”(p324)

など、青山繁晴さんの独自のネットワークによって得られた蓋然性の高い未来に、学ばされる内容に刺激が多岐に及びます。

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これからの「日本」、世界が進むであろう道すじ

本書は、2004年6月に刊行された『日本国民が決断する日』の新装版ということで、

固有名刺であったり、描写されている状況に時計の針を遡る感覚も感じますが、

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サイン本という縁あって購入の一冊:「脱私即的」とは、私心を脱し、命のほんらいの目的に即く(p134)という意の青山繁晴さんが創り出された成句

青山繁晴さんが、本書を上梓した背景を

” わたしは、この拙い書を通してみなさんと一緒に、にんげんの自律、主権者の自立、そして日本の独立を考えている。”(p327-328)

とある通り、究極的には「日本人として示すべき生きざま」=

” 民主国家において個人、すなわち主権者の責任とは、言うべきことを言い、信じることを行い、出かけたいところへ出かける自由を確保するためにこそ、果たすのだ。

お上の言う通りにしていたり、世間さまに合わせるために、責任をとれる人間でいるのではない。

自由を確保するために、自ら責任を果たす人間でいるのだ。

わたしたちがもし、日本の自由を造ることができるなら、自由の故郷であるアメリカで自由が死滅しようとする二一世紀において、かつてない寄与を果たすかもしれない。”(p474-475)

そこへ至る根拠を示されての穏やかならぬ未来予測の数々に、国際情勢及び「日本」について思い入れを抱く(私を含む)読者にとっては、考えるヒント多き一冊と思います。

 


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