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筒井康隆先生が文壇に放った問題作:『大いなる助走』読み始め

筒井康隆先生の『大いなる助走』を読み始めてから

 ACT 1

 ACT 2

 ACT 3

 ACT 4

 ACT 5

と段階分け?されているうちの ACT 1 を読み終えたので、そこまでのおさらい。

読み始める前は短編の先入観を持っていましたが、然に非ず。

” 小説の基本はなんといってもリアリズムですからね。そのためにはやっぱりあなたの体験を生かしたものでなければ。たとえばこの『赤い鱗』という恋愛小説にも、あなたの体験らしいものがちらほらうかがえますが、やはりその部分だけは生き生きしていますよ。借りものの部分は駄目です。水と油です。”(p40)

に、

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伊東潤さんが描いたねぶた祭に魂込めた兄妹の軌跡:『修羅奔る夜』読了

作家 伊東潤さんが、青森ねぶた祭りを題材にした長編小説『修羅奔る夜』を8月2日に読了。

サイン本販売情報に反応して

通算七作目となる伊東潤さん本

入手していた著書。

病魔により訪れた転機

“「脳腫瘍って ー」

紗栄子が絶句する。”(p21)

と青森と東京で分かれて暮らしていた兄妹(春馬と紗栄子)を突如襲った兄の生命に関わる危機から「直ちに手術せねば・・」の状況も、

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『ぼくらの選択』雄志篇、虎穴篇、天命篇 刊行記念 青山繁晴議員サイン会 参加記

今週は八重洲ブックセンターで開催された、青山繁晴議員のサイン会に参加。

2時間半とたっぷり設けられた開催時間の前半は50名の参加者から発せられた質問に青山繁晴議員が応える質疑応答で約50分。

内容についてはオフレコとのお達しもありましたので控えますが、もっかの国内外の関心事に、それらで目を向けるべき視点に明瞭なご説明頂きました。

つい先日終わったばかりの18日間に及んだ参議院議員選挙の最中と比較すると

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伊東潤さんが描いた日野富子の「世に静謐をもたらす」ために生きた生涯:『天下を買った女』読了

作家 伊東潤さんが、日野富子の生涯に焦点を当てた『天下を買った女』を読了。

都内で販売されたサイン本を油断し買い損ねてしまっていたところ、地方でのサイン本販売情報が目にとまり

大阪往訪時にサイン本を死守 ^^

タイミング良く予定していた大阪行きに合わせ、入手叶えていた経緯。

伊東潤さんの本は、本編前に登場人物一覧が載せられており、

【登場人物一覧】

「今回多いなぁ」と、出だしはスロースタートな感じでしたが、100ページ越えたあたり、

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伊東潤さんが描いた安政から明治を懸命に生きた女性の生きざま:『潮待ちの宿』読了

作家 伊東潤さんの『潮待ちの宿』を読了。

先月(2022年4月)、サイン本販売情報に反応して

出典:八重洲ブックセンター Twitter(画像はTweetにリンク)

入手していた一冊。

明治を生きた女性の・・

出だし

” 父はめったに感情を面に出さない男だったが、最後に振り向いた時、これまで見たことのないほど辛そうな顔で、志鶴を見つめていたのをよく覚えている。

それが何を意味するのか、その時には分からなかったが、夕方になっても父が戻ってこないことで、志鶴はその理由を覚った。”(p10)

の一文に、重たさを覚悟させられたものの

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筒井康隆先生作品をマンガで讀む感覚が新鮮だった:『筒井漫画讀本ふたたび』読了

筒井康隆先生の

” 本文庫は、小説家・筒井康隆の作品を、16人の漫画家が独自の解釈でコミカライズしたアンソロジーです。

2010年に刊行した『筒井漫画讀本ふたたび』および1995年に刊行した『筒井漫画讀本』、2つの単行本を底本としています。”

と注釈された『筒井漫画讀本ふたたび』を先週末読了。

昨年(2021年)6月、神戸市内の流泉書房往訪時に ↓

<< 2021年6月23日投稿:画像は記事にリンク >> 筒井康隆先生本をたくさん買い込んでいた神戸の流泉書房へ行ってきた

購入していたもので、購入時は読もうかどうしようか決めていなかったものの、一時10冊前後に及んだ筒井康隆先生の積読本が解消され

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筒井康隆先生が小説のお約束を排して挑んだ長編:『虚人たち』読了

筒井康隆先生の長編『虚人たち』を読了。

タイトルは長く承知していて、

サイン本入手機会、最後の一冊に滑り込み購入

サイン本入手機会に遭遇し、手元に引き寄せていた経緯。

お約束無しで繰り広げられるストーリー

購入前にチェックしたamanonでの本書の紹介で

>同時に、しかも別々に誘拐された美貌の妻と娘の悲鳴がはる >かに聞こえる。自らが小説の登場人物であることを意識し  >つつ、主人公は必死の捜索に出るが…。小説形式からのその >恐ろしいまでの“自由”に、現実の制約は蒼ざめ、読者さえも >立ちすくむ前人未踏の話題作。泉鏡花賞受賞。

とあり、作品への興味を深めていましたが、実験的であるがゆえ頭の中でストーリーの中の情景を描いてくことが「難しかったなぁ」と。

” 妻と娘が誘拐されました。今電話をしているこのわたしは彼女たちの夫であり父である人間です。念の為に言いますと妻の夫であり娘の父です。

彼女たちがわたしの眼の前で誘拐されたのではないにかかわらず二人が誘拐されたのではないにかかわらず二人が誘拐されたことは疑いのない事実であり別べつの犯人によって誘拐されたこともまた確かなのです。”(p39)

という事件を端緒として

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筒井康隆先生の変幻自在な奇想とドタバタが刺激的なショートショート集:『人類よさらば』読了

筒井康隆先生のショートショート集『人類よさらば』を読了。

(2022年)1月に発売され、「サイン本出たら」と思っていたところその機会に恵まれ

入手叶っていた経緯。

日の目を見るべく選書された短編集

本書には37篇の短編が収録され、SF・ミステリ評論家、フリー編集者 日下三蔵さんによる巻末の「編者解説」によると

” 「出版芸術社 << 筒井康隆コレクション>> などの再編集本に初めて収録された作品 」「既刊の単行本または全集に収録され、文庫化されずに再編集本に入った作品」「これまで一度も本になったことのない作品」を対象にしている。

・・中略・・

本書には、コレクションに入っているが一度も文庫化されたことのない二十五篇を、すべて収めた。

コレクションには、エッセイや関連する資料も大量に収めたので、将来的に無価値になることはないと思っているが、少なくとも小説作品に関しては、手軽な文庫本で読めるようにしておくべきだろう、と考えたからである。”(p299/p304)

との意図に沿って編集されたもので、

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