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筒井康隆先生が描いたコロナ禍の狂乱、亡きご子息との夢の中での再会ほか一四の短篇集『ジャックポット』読了

筒井康隆先生の最新刊『ジャックポット』を読了。

大概、筒井康隆先生の新刊が出る際はサイン本が出ている印象で待ち構えるも、

本作については「(2月上旬の発売後)出ないなぁ・・」と、3月も中旬となり諦めモードに切り替わりかけていたところ

Twitterで販売情報を見つけ

通信販売で思いを叶えていた経緯。

書店で本書発売を知り、筒井伸輔展開催を知り、・・・! << 2021年2月19日投稿:画像は記事にリンク >> 二年連続で筒井伸輔さんの世界観に浸った後、歓喜の瞬間を迎えてきた

コロナ禍の最中、混沌、狂乱の世界へ

本書は「漸然山脈」「コロキタイマイ」など一四の短篇を収録。

全体を通じコロナ禍の混沌を描いた「ジャックポット」好例にカオスとの印象を引っ張り出されましたが、

最初二話は全然設定が頭に入って来ず、難解との滑り出しに冷や汗気味も、

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伊東潤さんが描いた、古代日本に理想国を造り上げた者たちの軌跡:『覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子』読了

小説家 伊東潤さんが、蘇我馬子の生涯を描いた『覇王の神殿』を読了。

Twitterでサイン本が稀少である旨が流れてきて、

出典:伊東潤さんTwitter(画像はTweetにリンク)

サインが書かれている動画を見ているうち

出典:潮出版社(画像はTweetにリンク)

「サイン本、買えたら(読んでみよう)」の思いに至り、売場を往訪した際、

” 馬子、推古大王、聖徳太子らが目指した理想の軌跡を辿る “

なる帯から想起させられる内容に「日ごろあまり感じないロマン(のようなものを)感じ、最後の一冊で売り出されていたサイン本との巡り合いから

「あった〜!サイン本(@最後の一冊)」

手元に引き寄せていた著書。

「政則 十番勝負2020」で登壇されていた著者 伊東潤さん。不参加ながらこれも遠因だったかも!?出典:タワーレコード渋谷店Twitter(画像はTweetにリンク)

父から子へ託された仏教国への悲願

近年、日本史への興味を強くしているものの、もっぱら対象は近現代史で

本書の主人公 蘇我馬子は、名前は頭に入っていたものの「教科書の最初の頃に出ていたなぁ」という程度。

序盤、

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尾崎世界観さんが描いた、少女がカーテン越しに寄せた母への思ひ:『母影』読了

ロックバンド クリープハイプのVocal & Guitar 尾崎世界観さんの小説で第164回 芥川賞候補作『母影』を読了。

先月(2021年2月)、

<< 2021年2月16日投稿:画像は記事にリンク >> 尾崎世界観 X 西川美和「世界のまなざし、言葉と言葉以前の何か」『母影』刊行&『すばらしき世界』公開記念 視聴記

オンライン視聴したイベント⬆︎で入手していた著書。

カーテン向こう側の母

主人公の少女のお母さんが勤務する

“このお店はせまいから、探けんしてもつまらない。入ってすぐのところにテーブルと細長いイスがあって、その先にやわらかいカーテンにぐるっとかこまれたベッドが二つならんでる。

その向こうにはトイレがあって、その先の行き止まりはタオル置き場だった。

ちゃんとたたまれた新品のタオルは山になって、使って捨てたタオルはカゴの中で川になってた。

私はいつも手前のベッドにもぐりこんで、カーテンだけを見てる。

私が見てるカーテンはお母さんのベッドとつながってて、ときどきそこにお母さんの影が出るからだ。”(p3-4)

との情景描写で始まる本書は、

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百田尚樹さんのミステリー『野良犬の値段』に存分に惹き込まれた(読了記)

小説家 百田尚樹さんが、昨年(2020年)末出版した話題のミステリー『野良犬の値段』を読了。

百田尚樹さんご自身の自信作にして、情報番組等でも取り上げられた話題作.-

当初500ページに迫る分量に加え、ストーリーがしっかり頭に入るよう電車移動など雑念の入る状況を排除した形でのスケジュールを見計らっていましたが、

読み始めから早々ページをめくるスピードに加速感がつき、程なく事前の杞憂を吹き飛ばされ、在宅時間を最大限活用し快調に読了に至りました ^^

百田尚樹さんに頂戴したサイン

謎めき、そして突きつけられるメッセージ

話しは、突如インターネット空間に立ち上げられた謎の誘拐サイトに端を発し、

” これまで企業に身代金を要求する事件はいくつもあった。しかしそれらは役員や社員を誘拐している。

・・中略・・

しかし今回、誘拐された人物は全員ホームレスだと言われている。”(p85)

と奇異な設定の下、

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本所次郎さんが迫ったメディア支配を試みた一族の光と闇:『閨閥 マスコミを支配しようとした男』読了

小説家 本所次郎さんの『閨閥  マスコミを支配しようとした男』を読了。

昨年(2020年)視聴した堀江貴文さんの解説動画で

  買収に失敗した私が「フジテレビ」について解説します【第一弾】

本書の言及があり、発禁本とのことで入手難の中・・ 価格が下がってきた頃合いを見計らって手繰り寄せていた一冊。

誰しもが知る、その知られざる・・

巻末に

“(本作品はフィクションであり、実在の個人・団体などとは一切関係がありません)”(p289)

との注釈が記されているものの

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柳美里さんが描いた社会で居場所を失われし男の心底:『JR上野駅公園口』読了

作家 柳美里さんの『JR上野駅公園口』を読了。

先月(2020,年11月)発表の全米図書賞受賞で本書を知り、

出典:Web河出(画像は記事にリンク)

柳美里さんのツイートで ↙️

出典:柳美里さんTwitter(画像はTweetにリンク)

とコレクター心を多分に刺激され ^^「サイン本出ていたら欲しいな」と思っていたところ

後日、それそのものではないながら同書のサイン本を見つけ

用事を済ませ、ふらっと立ち寄ってみた書店で遭遇。

入手していた経緯。

奪われし心の住処

あらすじは、裏表紙で

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馳星周さんが描いた南へ向かった一匹の犬と道中、飼い主となった人たちとの交流:『少年と犬』読了

小説家 馳星周さんの『少年と犬』を読了。

文学賞(第163回 直木賞受賞作)には、殆ど関心を持っていないながら、受賞時の作品紹介で「一匹の犬が、六人の飼い主たちと・・」といった設定に興味を持ち、

サイン本を入手出来た巡り合わせもあり、

本書に頂戴したサイン

購入していた経緯。

本書は、一続きの話しながら

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酉島伝法さんの唯一無二なる世界観の前に・・:『オクトローグ 酉島伝法作品集成』読了

小説家 酉島伝法さんの短編集『オクトローグ  酉島伝法作品集成』を読了。

Twitterでサイン本販売情報に触れ、

出典:ジュンク堂池袋本店/文芸文庫担当(画像はTweetにリンク)

書体にただならぬものを感じ、当該情報等、売切情報が相次ぐ中、

何とか間に合っての確保.-

まだ在庫されている書店を見付け出し・・ 入手していた経緯。

圧倒的、その唯一無二なる

そのような経緯から酉島伝法さんについては白紙の状態で、辛うじてSFという事前情報を得ましたが

随所に挿入されたイラストから垣間見える世界観.-

読み始めてみると・・

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