オーストラリアを日豪関係に40年以上携わる田中豊裕さんに学ぶ一冊「税金」:『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』おさらい ⑧

『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』のおさらいの8回目。

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<< 2015年10月27日投稿:画像は記事にリンク >> オーストラリアを日豪関係に携わる田中豊裕さんに学ぶ一冊「国際競争力、自由貿易圏と国内市場」:『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』おさらい ⑦

今回は、「税金」について取り上げます。

税金 ー 贈与、相続税なし ー

” 1901年にオーストラリア連邦が誕生したときに、その憲法で連邦と州の役割が詳しく決められた。

税金に関しても連邦が徴収する税と、州が徴収する税が具体的に決められている。・・中略・・

連邦政府が徴収した税に関しては、連邦の経費を差し引き、残りを州に交付金として還元している。 ・・中略・・

個人の税金に関して簡単にまとめてみる。個人の所得税は累進課税であるが、日本より高い。

免税点も6,000ドルほどで日本より低い。仮に年間の所得が5万ドルで経費、保険などの源泉徴収後の課税収入が4万5,000ドルとすると、

所得税率は約20%で税金は約9,000ドルになる。それであっても生活が別段に厳しいということではない。

手取りが年間3万6,000ドル、つまり毎月の可処分所得は30万円である。この所得でも持ち家で、車、子どもの教育、生活をエンジョイできるのである。

外食、スポーツ、娯楽は常時楽しむことができ、生涯教育、自己啓発、それにボランティア活動も行え、高い生活レベルを維持できる。・・中略・・

日本人と比べてオーストラリア人の方が所得税をたくさん納めている。しかし、多くの経費が免税される。・・中略・・

日本と同じく健康保険料、年金拠出金などは総所得から控除される。また家族控除もある。

前年度に赤字があればその分、当年度の所得から差し引くこともできる。

納税者には全員納税番号が付与されているので所得隠しなどは難しいシステムになっている。

また、銀行口座を開設したり就職したりするためには、この納税者番号が必要である。

所得税以外には、州の税金である雇用税(給与支払税)があり、社員を雇用し、年間50万ドル以上の総給料を支払っている企業が納める税金で、税率は5.67%である。

他に土地税があり、土地を所有している納税者が対象で、毎年評価される土地の価値にしたがって税金を州に納めることになっている。 ・・中略・・

州税にはこの他に銀行口座で小切手を使用する場合にかかる税金、自動車、車輌、船舶などの登録税、検査料、免許税、印紙税がある。 ・・中略・・

さらに、この他にも優遇措置税(これは会社が払うもので、社員に住宅補助、社宅、社有車の個人使用、無利子融資など提供している場合)、

地方税(公共サービスなどの恩恵を受けるので自治体に納める)がある。

またギャンブル税としてカジノ、スロット・マシーンなどの売り上げから数パーセント徴収する。

州によってそのレートが違うが、鉱物採掘権(鉱区利用料)として数パーセント徴収している(西オーストラリアで7%、南オーストラリアで3.5%など)。これらが州財政に寄与している。

連邦、州政府どちらも徴収している税金に資源税がある。これは国内で開発、運営されている鉱山の売り上げから数パーセントの税金を徴収するもので、国家、州収入の1割近くを占めている。

日本と大きく違うことは、オーストラリアには贈与税、相続税がないことである。

1976年に相続税はクイーンズランド州で廃止され、その後各州が追従、1979年には連邦政府も相続税の廃止を決めた。 ・・中略・・

日本の相続税はその税率が高いので残された家族は、都市部の場合、大体手持ちの不動産などを売却して納税したり、

不動産の物納をしたりして税金を払っているのが現実である。先代の築いた富を継続するのは難しく、ほとんど資産を目減りさせたり、失う結果になる。

高齢者に対しての税の軽減策は単身の場合、年収が2万500ドル以下、夫婦で3万3,612ドル以下の場合には所得税がかからない。

またメディケア(健康保険料)は免除される。高齢者が高齢者あるいは障害者を介護している場合は、

介護支援金として週32.10ドルが支給される。これは年金を貰っていても、他に所得があっても余分に支給される。

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この国は人口を増やす必要があるので、出産に関しては手厚い政府の補助がある。

子どもを産めば1子につき5,000ドル(50万円)が支給される。双子が生まれれば2人分で1万ドル(100万円)の支給となる。

この支払いは所得、資産審査に関係なく行われる。また出産に必要な費用に関しても健康保健から支払われる。さらに子どもがいる場合は、税の軽減策がある。

大議論の末、1999年に消費税が導入された。それまでの物品税は廃止され、連邦政府が10%の消費税を徴収し、州、準州、特別地域に還元している。

徴収された最近の消費税額は約400億ドル(4兆円)で、全税収の約13%にもなる。

この金額を各州、特別地域どこでも均一で同等のサービス、(たとえば道路、病院、福祉、教育などの分野)が受けられるようするための支援として還元分配される。

分配は人口比ではない。だから、国の水準に至っていない州はより多くの分配を受けることになる。

大きな州、たとえば、ニューサウスウェールズ州やビクトリア州は他州と比べて経済規模が大きいので徴収される消費税も大きい。

それに比べ、南オーストラリア、タスマニア州、北部準州のような経済規模の小さいところは徴収される消費税は少ない。

にもかかわらず、国が設定した水準のサービスを提供するために多くの分配金を受ける。

だから、大きな州からすると自分たちが小さい州を援助しているということになる。これは連邦制度の存在するゆえんである。

しかし、資源ブームで西オーストラリアやクイーンズランド州では豊かな財政事情があり、これらの州が消費税の分配金を多く受けるのは納得がいかないと、

ニューサウスウェルズやビクトリア州はこの制度を批判する。しかし、時代や経済状況が変化すると、立場が変わることもある。

実際過去にそのような状態が存在した。だから、この制度は互恵、互助をその精神としている。

どちらにしても、連邦政府は全税収(約30兆円)の約80%を徴収し、約54%の歳出に充てている。

州政府は全体の約16%の税徴収で約40%の歳出を賄わければならない。

だから、連邦の徴収した税金は、そのアンバランスさを正すために連邦政府から、州政府に下賦金、還付金、消費税の分配還元が行われているのである。

税金の還付に関しては特定財源として還付するケースが増えている。つまり、連邦政府は財政の力で、連邦政府の意向や考え方を州、準州政府に徹底させる狙いが強く出ている。

日本をはじめ多くの西洋諸国では、地方の活性化、自主性を促すために従来の特定財源を地方自治体が自由に使用できるように便宜を図って、中央の影響を少なくする努力をしている。

オーストラリアはこの流れに逆らっているといえるが、国としての統合を促進し、競争力をより高めるなどのためにも必要になっている。

現在、日豪間には1969(昭和44)年以来租税条約が結ばれているので(2008(平成20)年改定)、個人所得、企業の利益、運賃、配当などに対して二重課税が防止されている。”(No.1813〜1902)

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国の根幹をなす税体系

本書での解説が手厚かったこともあり、単一項目としてはかなりの分量のまとめとなりましたが、

国(オーストラリア)を深く知る(制度、項目、控除後の生活水準、人口増加政策など)には助けになることもあろうと、独立した形で取り上げることにしました。

*税率、基準額等、記載内容が変更されている可能性があります

なお、第五章 ハッピー & ラッキー・カントリーでは、「資源大国」「家畜の輸出は世界一」「豪州産和牛世界を制す」といった項目も掲載されていますが、

次回は「第六章  大陸は、広〜い」に移行します。

 


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