イアン・ブレマーに学ぶ、中心性が失われゆく世界で唯一の超大国アメリカの進むべき道:『スーパーパワー Gゼロ時代のアメリカの選択』中間記

グローバルな政治リスク分析・コンサルティングの分野を牽引する専門家集団ユーラシア・グループを率いるイアン・ブレマーの

『スーパーパワー Gゼロ時代のアメリカの選択』を読み始めてから半分あたりのところまで来たので、そこまでのおさらい。

本を読むきっかけは、NHKの取材にイアン・ブレマー氏が応えている様子を見て、面白そうだな思い、

大型書店に立ち寄った際、幾つかぱらぱらっとめくってみて、しっくりきた一冊が本書。

但し、翻訳本特有の読みづらさに、一つの文章に込められた情報も多く、苦戦気味での読み進め。

本書は・・

 第1章 今日の世界、明日の世界

 第2章 矛盾する冷戦後の外交政策

 第3章 「独立するアメリカ」

 第4章 「マネーボール・アメリカ」

 第5章 「必要不可欠なアメリカ」

 第6章 岐路に立つアメリカ

 終章

という構成で、読み終えたのは第4章まで。

2015年に上梓された本で、

” Gゼロ時代に突入し、アメリカが世界を主導する力は以前ほど絶大ではなくなった。

だが、しばらくはアメリカが唯一の「スーパーパワー(最大国)」であることに変わりはない。

しかし、いわゆるスーパーパワーは、どうあるべきか?アメリカは世界を舞台にどういった役割を演じるべきか?

あなたはアメリカにどのような役割を担ってもらいたいだろうか? “(p11)

と本書を開いて間もなくの「はじめに」でアメリカの現状及び読者への投げかけがあり、

本文に入ると、例えば

” 中国、ロシア、ペルシャ湾岸諸国、インド、ブラジル、トルコなどの新興勢力は近年、

アメリカのリーダーシップが自分たちにとって有益でないと判断すれば、それを拒否してそれぞれ域内における影響力を伸ばせることを証明している。”(p22)

という国際情勢の現実に、

” アメリカ国民が、自国政府の国際的影響力の低下を気にしていないように見える側面もある。

ビュー研究所が2013年12月に行った世論調査によれば、回答したアメリカ人の過半数が、アメリカは「国際的に自分のことだけに構っていればいいのであって、他国には自分でできるだけのことをやらせておけばいい」という意見を選んでいる。”(p34)

というドナルド・トランプ大統領誕生の礎と思われる兆候が、2013年末には示されていた経緯に、

” 東アジアでは地域全体、特に中国との間で戦略的均衡を追求すべきだ。アメリカ政府は、まず中国の近隣諸国、特に日本、韓国、インドネシア、ベトナム、フィリピンとの安全保障および経済に関する結びつきを強化しないといけない。

それは、経済面において、これらの国々が中国との確固たる結びつきを強化しないといけない。

それは、経済面において、これらの国々が中国との確固たる結びつきを形成するのを防ぐためではなく、そういった結びつきを形成しつつ、中国政府に過度に依存しないようにするためのものだ。

ただし、これらのパートナーは、中国を無用に挑発したとしても、アメリカが助けてくれるわけではないことを理解しないといけない。

アメリカの支持は、決して無条件であってはならないのだ。”(p132-133)

といった提言に・・、様々な内容が専門的見地から示されています。

海の外側から日本を視る

同種のカテゴリーの著書は、佐藤優先生に、寺島実郎さんにと最近でも読み込んでいるものの

本書を読んでいると、日本の外側からの視点、アメリカからすると日本は友好国の一つという感じもしていますが、

特に引用した3つ目のところなどは、有事の際のアメリカ頼みを否定されるようなところもあり、

現実として重くのしかかってくる感じを抱きました。

解説を含めて全272ページ、気鋭の専門家がアメリカからスコープした国際情勢、残り110ページでより多くを吸収したいと思います。


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