黒川伊保子さんに学ぶ、「英雄」として人生を歩む人の条件:『英雄の書』読了記 ①

(本の)帯に書かれた、

脳科学が解明した「人生を切り開く方法」

の一文が眩しい『英雄の書』を読了。

著者は、人工知能の研究や世界初の語感分析法を開発された(プロフィールを引用)との黒川伊保子さん。

失敗と孤独が引き上げる人生のステージ

本の冒頭「はじめに」で、

” この本は、心優しき国の若者たちのために、失敗と孤独が怖くなくなる本として書こうと思う。

「失敗」がドラマの始まるであることを、脳科学を使って証明してあげたい。

「孤独」が脳の成熟に必要不可欠であることも、証明してあげたい。

あなたが、英雄として歩き出すために。”(p5)

と出版の経緯について触れられています。そして、日本人の一般的思考として・・

” たとえば、サッカーで一点先取していながら、一点を取り返されたとき。

イタリア人たちは「やっとゲームが始まった」と高揚し、「狼の口の中へ」飛び込んでいくのである。

彼らにとって、ゲームとは「点をとって、取られて、取り返す」ことであって、「単に点を取る」ことじゃないからだ。

私の大好きなイタリア人バイクレーサー、バレンティーノ・ロッシも同じだ。

単独で先頭走っている時は静かだが、ライバルに見事に差し込みで抜き返されたとき、全身が「うっひょ〜」と嬉しがっているのがわかる。

「ようやくレースが始まったぜ」とつぶやいているのが聞こえるようだ。

そうして、彼も、狼の口の中へ果敢に飛び込んでいくのである。”(p2-3)

なお、繰り返し登場した「狼の口」の表現は・・

” イタリア人は、試合や試験に挑む人へ、こう声をかけるのだそうだ。In bocca al lupo ! 狼の口の中へ、という意味である。”(p2)

黒川伊保子さんは、

” 日本人が「失敗」と呼ぶ事象のほとんどは、「人生をドラマティックにしてくれる、神様の演出」なのである。

同じ事象を、「失敗」と呼ぶのと、「やっとドラマが始まった」と思うのとでは、天と地ほども違う。”(p4)

と説明。

サッカー日本代表のジーコ元監督が、日本人のサッカー評で、「失点を過度に恐れる」といった指摘を以前しており、

日本国内でサッカーより野球の方が人気有る背景には、野球の方が逆転が多く(点が入りやすく、失点が致命的とならない)、気質に合っているからと考えていますが、

イタリアがサッカー強豪国であるのは周辺にライヴァルが犇めいている環境に加え、上記マインドも後押ししているように思い、

想定される事態に対して、どのような捉え方をしているかの認識による違いから得られる結果の差は大きいでしょう。

なお、本では「失敗の章」「孤高の章」「自尊心の章」「使命感の章」「餞(はなむけ)の章」と、5章立てて脳の働きを紐解き、読者(英雄の卵)へエールを送っています。

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帯の裏面.-

潜在意識を最大限に発揮する方法

印象に残った箇所は幾つかありますが、今回は「第1章 失敗の章」から潜在意識の働きに関して説明された部分を。

” ヒトの脳は、潜在意識に90%を超える脳神経回路を使い、顕在意識に使うのはわずか数%のそれ、と言われている。

潜在意識の方がはるかに繊細に、かつ広範囲に、脳に必要な情報を収集してくれる。

たとえば、認知学で、カクテルパーティ効果と言われる現象がある。

「ザワザワ」と聞こえるような雑踏音の中で、その音量よりはるかに小さな音声で、自分の名前を呼ばれても気づく、という私たちの耳の機能効果のことだ。

私たちの潜在意識は、雑踏音の中に潜んでいる。自分を呼ぶ声を確実に拾う。

つまり、森羅万象の中に潜んでいる。自らに必要な微小情報を確実に拾っているのである。

顕在意識が小賢しく描く未来よりも、ずっと自分の脳に合った縁と運を紡ぐ能力が、潜在意識にはあるのだ。

だから、顕在意識の夢、それも誰でも口にするようなステレオタイプの成功の夢で、脳をロックしてはいけない。

それは、全方位に動けるパラボラアンテナを、一方向に縛り付けるようなもの。

たまさか、その方向から「恩恵」が飛んで来ればいいが、そうじゃない確率はけっこう高い。

好奇心に駆られて無邪気に動いたとき、あるいは使命感と共に逆境に立たされたとき、脳は、その潜在能力を最大限に使い切る。”(p37)

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脳の働きが、分かりやすく

引用した如く、黒川伊保子さんが就業を通じて研究された内容が我々の日常に落とし込んだ形でシンプルに説明され、

それに説得力があるので、読んでいるうちに氣分が多分に高揚させられます(笑)

本書を手に取ったのは、もともと用意していたブログネタが飛んで(=延期)、、

その代替で「何かないかな・・」と、図書館で物色していた際に手が伸びた一冊で、思わぬ形での良き出会いとなりました。

印象に残ったパート、あと何回か紹介したいと思います。

本全体で150ページと読みやすく、ちょっと氣分が下に向いてる方など、言葉から力を湧き出てくるものと思いオススメです。

 


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