筒井康隆さんが描いた現実とファンタジーが入り混じった世界の十一の顛末:『おれに関する噂』読了

筒井康隆さんの『おれに関する噂』を読了。

一度耳にしたら(恐らく)忘れないであろうタイトルのインパクトに惹かれ

内容が気になって入手。もっとも内容については承知しておらず、「もしやエッセー集か?」と思いきや

 ・蟻

 ・おれに関する噂

 ・養豚の実際

 ・熊の木本線

 ・怪奇たたみ男

 ・だばだば杉

 ・幸福の限界

 ・YAH!

 ・講演旅行

 ・通いの軍隊

 ・心臓に悪い

なるタイトルが収録された短編集。

例によって主に移動時に読み進めることになったため、作品によってはバックグランドが頭にしっかり描き切れなかったものもありますが、

短編集のタイトルに掲げられた『おれに関する噂』は

” 森下ツトムさんは今日、会社のタイピスト美川明子さんをお茶に誘いましたが、ことわられてしまいました。”(p12)

と、突如、自身に関するプライバシーがマスコミで報じられることになってしまった男の顛末に、

『怪奇たたみ男』では畳をぞんざいに扱っていったがために自身の顔が畳に変容していってしまった男の顛末に、

『YAH!』では銀行のアンケートで無料の家計コンサルタントを必要とするかの問いに「◯」をつけてしまったがゆえに強いられることになってしまった倹約生活の果てに・・

特に、後半の作品は惹き込まれる設定、作品が多かったです ^^

現実離脱の・・

中でも、戦地に納品したライフルに大量の不良が見つかったことによる顛末が描かれた『通いの軍隊』は

” 「わたしは日本人です。せ、せ、戦地へは行けません。だいいち、それだと一種の戦闘要員ということになり、戦争に参加することになる」”(p203)

とのセリフ飛び出す展開は戦闘地域、非戦闘地域が国会で議論された(2003年)頃をふと思い出させられるリアリティで

当然、本作が描かれた時期(1973年)の方が遥かに古いですが、現実と空想が入り混じる筒井ワールドに惹き込まれた全265ページに及ぶ旅路でありました〜


Comments

comments