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佐藤究さんが描いた果てしなく深淵なる闇:『テスカポリトカ』読了

前々回に、読み始め記 ↓

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をアップロードしていた佐藤究さんの『テスカポリトカ』を読了。

リアリティ滲み出る巧みな描写

早々に、(移動しながら等の)ながら読みでは対峙出来ぬであろう重層的且つ一筋縄では読み解けぬであろう設定に気づき、

週末のまとまった時間を本書の読み進め(300ページ+)にあてた次第でしたが、結論としては一回で記述を読解出来るところまでに至らずも、

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佐藤究さんが描いた果てしなく深淵なる闇:『テスカポリトカ』読み始め

第165回直木賞受賞作 佐藤究さんの『テスカポリトカ』を読み始めて

 I 顔と心臓

 II 麻薬密売人と医師

 III   斷頭台

 IV 夜と風

 暦にない日

と分かれているうち「I  顔と心臓」を読み終え、「II  麻薬密売人と医師」の前半に差し掛かっている(〜p190)ので、そこまでのおさらい。

読み始めの経緯は ↓

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で触れていますが、立ち上がり

” 十七歳のメキシコ人少女の冒険。

牛肉を運ぶトラックの荷台にまぎれこみ、毛布にくるまって木陰で眠り、知らない州の知らないバスに乗り、ひたすら南下する。やせこけた老人が乗る牛車よりもさらにのろまな農家のトラクターを呼び止めて、むりやり乗せてもらったこともあった。

相手がどんなにやさしげな笑顔を見せてこようと、信用しない。”(p014)

という生き残りを賭けた冒険の末、日本に辿り着き、そこから彼女軸に話しが推移していくのかと思いきや 続きを読む 佐藤究さんが描いた果てしなく深淵なる闇:『テスカポリトカ』読み始め

世界観に興味刺激され一挙に並んだ佐藤究さん代表作 2021年10月購入積読4冊

(2021)12月を折り返そうかというタイミングで、11月後半に積み上がっていた7冊を読み終え、

<< 2021年11月21日投稿:画像は記事にリンク >> 読了ペース加速中、重量級を含めコラム中心に 2021年10月購入積読7冊

新たに目の前に揃いし

時計回り:『QJKJQ』『Ank:a mirroring ape』『テスカポリトカ』『サージウスの死神』著者:佐藤究

小説家 佐藤究さん作品で4冊。

次第に親しむようになったフィクション

従来、ノンフィクション等、リアリティ重視で小説とは距離を置いていた(=得意でなかった)ものの

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筒井康隆先生が描いた九篇の混沌:『東海道戦争』読了

筒井康隆先生の『東海道戦争』を読了。

サイン本入手機会に

たくさん購入出来た筒井康隆先生サイン本、2021年はこれで最後!?

即反応して入手していた一冊。

本書は、

 東海道戦争

 いじめないで

 しゃっくり

 群猫

 チューリップ・チューリップ

 うるさがた

 お紺昇天

 やぶれかぶれのオロ氏

 堕地獄仏法

の九篇を収録した短篇集。

“「東海道戦争?」

「ええ、東京と大阪の戦争だから、そう呼ぶのがいちばん適当でしょう」

「何ですって、じゃあ、さっきから敵だ敵だといっていたのは、東京のことなんですか?」”(p21)

というタイトルに掲げられた「東海道戦争」に、

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筒井康隆先生が描いた特殊能力を持つ家事手伝いが視た八編の家族模様:『家族八景』読了

筒井康隆先生の『家族八景』を読了。

本書刊行後『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』と続く、七瀬三部作の一作目にして、筒井康隆先生最後(三回目)の直木賞候補作品。

本作の主人公 火田七瀬は

” 他人の心を読み取ることのできる能力が自分に備わっている “(p10)

という特殊能力を自覚。

本書も購入のトリガーはサイン本

” 家事手伝いという、家庭から家庭へ転転と移っても不思議に思われない唯一の職業を選ぶことで辛うじて社会から身を遠ざけ一ヵ所に落ちつくことを避けている “(p217)

家事手伝いを生業とし、タイトルの『家族八景』とは本書に収録されている八話の家族模様が描かれたもの。

表の顔とは裏腹な・・

登場する家族は

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筒井康隆先生のミステリーに惹き込まれた:『ロートレック荘事件』読了

筒井康隆先生の『ロートレック荘事件』を読了。

数多ある筒井康隆先生の作品の中で、数少ないミステリー作品とのことで、

「サイン本出ないかなぁ」と思っていたところ・・

概要を知り、狙っていたタイトルのサイン本

望んだ状況が訪れ ^0^/ 入手叶えていた経緯。

思い出の別荘で起きた惨劇の切ない真相

幼少期を過ごした別荘が人手に渡り、新たな持ち主から誘いを受けた夏、

その場に集った思惑秘めた者たちの間で突如起きた連続殺人・・

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筒井康隆先生が試みた次第にことばが失われていく世界:『残像に口紅を』読了

1989年4月出版ながら2021年において再び脚光を浴びているとの

出典:カズレーサーさんTwitter(画像はTweetにリンク)

筒井康隆先生の『残像に口紅を』を読了。

再ブレイクを知らせる本書の帯

話題のもとは・・

本書冒頭で、主人公の作家のもとへ懇意にしている評論家から

” もしひとつの言語が消滅した時、惜しまれるのは言語かイメージか。つまりは言語そのものがこの世界から少しずつ消えていくというテーマの虚構。

・・中略・・

ひとつのことばが失われた時、そのことばがいかに大切なものだったかが始めてわかる。

そして当然のことだが、ことばが失われた時にはそのことばが示していたものも世界から消える。そこではじめて、それが君にとっていかに大切なものだったかということが」”(p18)

との提案を受け、本書の一章進むごとに五十音が一つずつ消えていくという実験的SF小説。

(次第に文字が失われていくとの)コンセプトは聞いたことあったものの

章が進むごとに世界から消されていく五十音・・

最初はともかく中、後半に至って消えた文字数が多い中でも小説が整理しているのは圧巻。

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筒井康隆先生が、まだ駆け出しの頃に綴った三十の短編:『あるいは酒でいっぱいの海』読了

筒井康隆先生のショートショート集『あるいは酒でいっぱいの海』を読了。

2021年8月の再発に合わせ、

ジャストタイミングで入手叶ったサイン本

サイン本が発売されたチャンスを捉え入手していた作品。

「一体全体、筒井康隆先生のタイトルって何冊?」と2021年に入っても新刊に、再発に次から次に・・ との印象ですが、

昭和に出版されたショートショート集に限れば、巻末の日下三蔵さんの「解説」によると、本作を含め『にぎやかな未来』『笑うな』『くたばれPTA』の四作品にとどまるそうな。

購入本に書かれていたサイン

本作に関して、筒井康隆先生ご自身は昭和五十二年十月に書かれた「あとがき半分・解説半分」で

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