ちきりんさんに学んだ「自由に生きる」ための頭の中での道すじ:『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』読了

 

年初に前半を振り返ってから間隔が空きましたが、ちきりんさんの『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』を読了。

>> ちきりんさんに学ぶ何となしに宿している道徳観の是非:『ゆるく考えよう』前半の振り返り <<

社会派ブログを自認される Chikirinの日記 の5年分のストックの中から、ご自身の考えが色濃く出ているものが1冊の本にまとめられたもので各トピック6〜7頁のボリュームにまとめられています。

ちきりんさんの魅力は、誰もが漠然と感じている事であったり、無意識的に受け容れている事を痛快に切り込んでくれるところかなと思っていますが、例えば・・

災い転じて福となそう

” 一般的には人は安定した生活を求めます。 ・・中略・・ 仕事が見つかってしまえばその後は思考停止になり、能動的に仕事を変えたりはしなくなります。

でも最初から仕事が見つからなければ、組織に頼らず生きる道を必死で探らざるをえない人もでてきます。

そのハングリー精神が時代の変わり目に思わぬ結果につながることもありえるのです” (60%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

「逆バリ」と「先読み」

“「他者と違うことをする」というリスクを取った人だけが、高い給与を得られるのです。これを逆バリといいます。 ・・中略・・

必要なのは、「将来、世の中で求められること」を予測して準備することです。これを先読みと呼びます。 ・・中略・・

会社の業績が悪くなったとき、逆バリも先読みもしてこなかった人は、会社が提示する給与を受け入れるしか方法がありません。

将来にわたって給与を上げていくためには、人と違うことをやり(=逆バリで供給の少ない分野を狙い)、

ここぞと思う分野を自分で選択する(=先読みで需要が大きい分野を予測する)ことが必要なのです。

これからの時代、「みんなと同じだから大丈夫、安心だ」と思うのは、大きな錯覚です。人と違うことをやりましょう!” (61%)

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ゴールドカラーの登場

経営学者Robert Earl Kelleyが提唱した従来のホワイトカラー、ブルーカラーとは別に「ゴールドカラー層」という概念に関して・・

” 人生の舞台の半径が1桁違う。これがゴールドカラー層の特徴です。 ・・中略・・ 彼らは「誰にも使われない人」です。

ゴールドカラーの人は、形式的には会社に雇われていても、自分で主体的に仕事を選び頻繁に転職します。 ・・中略・・

日々の仕事も自ら判断しながら進め、成果のみで評価されます。 ・・中略・・” (63%)

” ゴールドカラーとは自分で道を選ぶ人たちです。小さい頃から「他人と違う言動」をほめてもらえ、

突拍子もないことをいいだしても応援してもられる。・・中略・・

他者と異なることを肯定的に評価する社会や学校や家庭こそが、将来のゴールドカラーを育む土壌となるのです。” (64%)

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「人脈作り」はたぶん無意味です

” 人脈やネットワークとは「結果としてついてくるもの」であって、それをつくるためにわざわざ努力するようなものではありません。

そんな時間があったら自分が好きなことに集中し、その分野で「すごく魅力的」といわれる人を目指したほうが、将来きっと役に立つでしょう。” (70%)

お酒と恋愛のマジックパワー

” 仮にも60年以上も生きていくのに「みっともなくない人生」なんてありえません。すべての人の人生は、客観的にみれば「恥ずかしてくて目も当てられない」ような有様です。

それが生身の人間が生きるということです。だから「客観的な視点」は気にせず、

ときには「酔っぱらっているせいか、よくわからないよね」という判断力を半分くらいだけ稼働させたような状態で、好きに生きていけばよいのです。” (80%)

” 人は人生の節目節目で、しっかり考えることが必要なときもあります。同様に、いくつかのタイミングでは「考えずに流す」ことも必要です。

「思考停止はよくない」「俺は逃げているのではないか?」などといつもいつも自分を追い詰めていると疲れてしまいます。” (80%)

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自分にとっての「妥当な値段」

” モノやサービスの「客観的に妥当な値段」などというものは実際には存在しないのです。” (88%)

” 高度な資本主義社会では、モノやサービスも「本質的な価値」とは無関係な価格がついているのです。

自分の財布の中にあるお金で買えるものが「妥当な価格」なのであり、

借金をしないと買えないもの、リボ払いしないと買えないものは「自分が買うには妥当ではないもの」なのだと理解しましょう。” (89%)

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「自分の表現方法」と出会う

” 人間はみな自分の中に「何か」を持っています。それらはなんらかの表現方法を通して伝達可能な形にしないと他人には理解されません。” (92%)

” 「自分の中の何か」をうまく表現できる方法やツールを手に入れられたら、とても幸せでしょう。

そういうツールとしては、

・話し言葉

・書き言葉(散文)

・短歌-俳句、詩、コピーのような言葉、韻文

・演芸(落語、漫才、洒落など)

・写真

・絵

・デザイン、意匠

・楽器

・メロディ、曲、リズム

・声

・体(踊り、体操、表情など様々)

・演技、劇

・映像

・料理

・プログラム

・創造物(建築物、モノ、現代アートなど)

・働き方やビジネス”

など、いろいろあります。” (92-93%)

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旅の効用

ちきりんさんが、なぜ頻繁に海外に旅行するのかという事について・・

” 外国に行くと「自分がいかにつまらない存在か」ということを思い出させてもらえることが多々ある ” (94%)

” 日本でずっと働いていると、仕事を離れることが怖くなったり、仕事のない人生を想像できなくなったりします。

でも、「見方によっては仕事もどうでもいいかも。狭い狭い範囲でちょっとだけ他の人より経験が長いだけだし」という視点もでてくると、

「よく考えたら、そこまでこだわる必要もないかもね」と思えてきます。 ・・中略・・

日本にいて、自分の家族や知人の中で過ごしていると、自分という人間は「大事な存在」だし、みんなに知られた存在でもあります。

でも一歩、世界にでれば、誰も私など知りません。 ・・中略・・

全く違う場所に行くと、「そんなに必死で守る必要があるんだっけ」と思えたりします。 ・・中略・・

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海外で強烈な体験をして帰国するときには、精神が少しだけ解放され、一歩自由になった自分を感じることができます。” (94-95%)

 

おわりに

本書の読者に向けられたメッセージとして、ちきりんさんが上梓した背景から・・

” 自分を縛っているもの、それは社会規範であり世間の目です。しかしさらにいえば、

自分の心の中にある「自己保身欲」や「プライド」「不安感」といったものが自分の生き方を強く縛っていて、本当の意味で自由に生きることを妨げていると気がついたのです。” (96%)

” ちきりんの考え方の根底には、このふたつの原則があります。

1. 自由に生きる、ということ。誰かと比べられるものでも社会に評価されるためでもなく、自分のために生きよう、ということです。

そして、 2. モノは考えよう。世の中はいうほど暗くない。楽観的に生きよう、ということです。

自由に、そして、楽観的に、人生を楽しみましょう!” (98%)

本質を感じる生き方論

2011年に出版された本ですが、内容に色褪せたところがなく、メッセージが脈打つ感じすらありますよね。

ちきりんさんのお名前をオンラインで目にする機会が珍しくないですが、最近では岡田斗司夫さんが(ご自身の)Facebookページ

”  ちきりんさんのコラム、打率(読み応え率)がかなり高い。”

とコメントされていたのが記憶に残っています。自由な生き方を標榜したものは書籍の世界でも一種のトレンドと感じていますが

表層的なところから、ご自身の実体験に立脚して本質に迫ったかの書きっぷりに、読後、多くに思考を羽ばたかされました。

 


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