藤原和博さんに学んだ、正解がない時代に生きるものの心得:『本を読む人だけが手にするもの』刊行記念講演会参加記

教育改革実業家  藤原和博さんの『本を読む人だけが手にするもの』の刊行記念講演会に参加。

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開演前の様子。教育関係者?年齢層は高め。

藤原さんと言えば、昨年9月から今年3月まで経営コンサルタントの神田昌典さんが世話役を務められたビジネスプロトタイピング講座の初回講義に登壇され、

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<< 2014年9月11日投稿:画像は記事にリンク >> 藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビジネスプロトタイピング講座 その壱

その時のインパクトの余韻と、当日まっすぐ家に帰るテンションになかった事から、空きに乗じて急遽参加を決めた次第。

講演内容は、1時間強という時間の関係から昨年の圧縮版といった感じで、約1年ぶりで藤原さんの熱と時代を捉えた指摘を復習出来る格好の機会となりました。

本を読まない人から読書家になって変わったこと

藤原さんのことをご存知ない方も多いと思いますが、民間人で初めて公立中学(杉並区立和田中)の校長に就任されてご経歴をお持ちで

就任時、杉並区で下位に低迷していた成績を、リクルート等で培ったご経験をもとに成績上位校に引き上げた実績をお持ち。

新刊は読書家でなかった藤原さんが、リクルート社内で部を牽引する成績を出す傍、

著名人と接点を持つ中で、読書の必要性を説かれ、それを認識するに至り、以降は酔っていようが、眠かろうが、年間100冊を自身のノルマと課し

本を読まなかった人が、本を読むようになった効果について書かれたもの。

「みんな一緒」の時代から「それぞれ一人一人」の時代へ

ここで、8年間で1,000回以上開催されているとの講演の本題に入り、

1997年のバブル崩壊までは如何に早く人より早く正解を導き出せるか、情報処理力が問われた時代であったが

日本が20世紀型の成長社会から、21世紀型の成熟社会に入ったという時代の変化から、すべての産業で入れ替え戦が行われるようになった。

具体的には「みんな一緒」で良かった時代から、「それぞれ一人一人」の時代へ。

電話を例にすると、一家に一台あった固定電話の時代から、子機が付いて、携帯電話が普及してというプロセスで

それまで皆で一つの時代から、一人一つの時代へ。ランドセルは従来、男子は黒色、女子は赤色という勝手が決まっていたものの

近年は水色、桃色など様々、自分が気に入った色を選ぶようになった。

また、結婚披露宴の引き出物も、かつては新郎新婦が選んだ一つの物が参加者全員に配られていたが

今やカタログから後日各自、自分に合ったものを選べるようになって久しい。

世の中は、このように変化しており、それまでは皆、一緒に正解に従って横へならへで生きていけば良かったが、

今の時代の正解は一つではなく、一人一人が自分の幸福論を築き上げて、それに従って生きていくことが問われるようになってきた。

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壇上の藤原和博さん

学校教育の在りようも時代変化に合わせ改革されるとの事で、例えば今まであった四択問題では

出題者の方で用意した中から正解を探すプロセスが取られていたが、これからは選択肢がない中で答えを導いていくような形になるとのこと。

個人でリアルな体験が尊ばれる時代背景

このような時代認識のもと、板書されたチャートをもとに説明が行われ、

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講演の説明に用いられたホワイトボードに書かれた板書.-

人が情報をインプットするには四つの類型(写真右下)がある。

これには二つの軸があり、一つは「個人的な体験」か「集団的な体験」か。

他方の軸は「ナマの実体験」か「メディア(テレビ、新聞、マスメディア、広告)を通した体験」というもの。

人間にもっとも強烈なインパクトを与えるのは「個人的でナマの体験」。ここが如何に充実するかで学習の質が大きく左右される。

メディアを通したナマの体験とは、学校、会社、家族などを通じての経験で、学校、会社は強力なシステム構造を持っているため受動的な要素が強くなる。

メディアを通した体験は、受け身の態勢で発信されてくる情報に影響されるもので、無防備でいるとテレビのコメンテーターの言った意見を自分の意見と勘違いしてしまう(世の中に流布している情報を唯一の正解のように思い込んでしまう)。

これからの時代を生き抜くには、常識を疑い、新たに常識を作れるような人が求められており、

それには、まず、自分で仮説(正解のない問題について話を聞き、情報を集め、自分なりに考え、議論することで異なる視点を得る。さまざまな考えを取り込みながら、試行錯誤することで自分の意見を進化させていく)を作れる必要性がある。

そのためには「個人的な体験」を「ナマ」で積んでおくことがもっとも効果的となる。

但し、望む体験をすべて自分で体験することは不可能であるため、読書を通じて著者の体験を疑似体験することが

個人的なナマの体験を補完することにつながる。

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ライヴが自分の五感を刺激する

以上が、講演の骨子と認識。講演中は横に並んだ(知らない)者同士、ブレーンストーミング、ディスカッションする機会が逐次設けられ、

藤原さんらしく脳が活性化する仕組みが導入されての能動的な講演会でした。

聞けば本書は、発売間もない状況ながら読書法ではランキング1位を獲得し、amazonの総合ランキングでも100位以内を維持.-

会場となった八重洲ブックセンターでも全体の中で3位以内を推移しているとのことで、藤原さんご自身、本の内容と反響にかなりの手応えを得られているとのこと。

それは今までの著作が支持されてのことがあると思いますが、本書での時代認識についての捉え方であったり、

読書がされなくなった時代(今、本を読む人の割合は8人に1人であるそうな)に読書に価値を見出している人たちへのメッセージが受けているのではと推量しますが

藤原さんが講演時におっしゃっていた通り、単に自分一人の読書体験にとどまらず、一冊の本がきっかけでこうした場に出て、個人のナマの体験を積むというプロセスを得られた事は

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講演後のサイン会で写真撮影に満面の笑みで応じて頂きました。(下)頂戴した藤原さんのサイン。これぞサインといった筆跡.-
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子供のラクガキ?!(失礼、、)かとも思わせる藤原さんのサイン。前に並ばれた数名も同様の仕上がり。これぞサインですね  ^^

行動を起こし、濃密な経験をすることにつながり、脳に心地良い刺激が届けられる機会となりました。

五感を研ぎ澄ますということでいえば、前回、取り上げた野村克也さんの

” どうすれば見えないものを感じる洞察力を磨けるのか。「すべてを使う」ことである。目で見る、耳で聞く、鼻で嗅ぐ、舌などで感じ取る、肌で触れる ー 。五感と呼べる人間の感覚のおおよそすべて研ぎ澄まして、意識して使い切るのだ。”

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<< 2015年10月20日投稿:画像は記事にリンク >> 野村克也さんに学ぶ、人間学に基づく「本当の才能」の引き出し方:『野村の真髄「本当の才能」の引き出し方』読了

主張とも符合しますし、「経験」を積むことの重要性は板倉雄一郎さんが説かれた下記の一文を思い出すことになり

” 僕には、誰にも奪われず、失うことのない財産があります。なんだと思いますか?それは自分自身の「知識と経験」です。知識と経験さえあれば、富や幸せを生み出すことができるからです。”

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<< 2015年10月13日投稿:画像は記事にリンク >> 板倉雄一郎さんに学ぶ、お金ではなく身につけるべき2つのこと:『おりこうさん おばかさんのお金の使い方』読了

それらのメッセージが積み重なり、イベント終了時は、ほのかな熱気、余韻を引きづりながら、かなり元氣にして帰路につかせてもらうことになりました。

 


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