川崎宗則選手のほろ苦だけど、やっぱり応援したくならずにはいられないメジャー挑戦記:『閃きを信じて 〜 Don’t think too much !! 〜』読了

失意のマイナー宣告直後、(契約切替を経て出場したオープン戦で)観客席からの「Kawasaki」コールに応え、

ライトスタンドに名刺代わりの豪快な放物線(=ホームラン)を放ち

OAK@CHC: Kawasaki launches a three-run home run

一時、メジャーの舞台と別れを告げることになった Chicago  Cubs:シカゴ・カブス(記載日時点の所属は傘下:Iowa Cubs:アイオワ・カブス)の

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出典:Iowa Cubs公式ウェブサイト(画像はサイトにリンク)

川崎宗則選手の新刊『閃きを信じて 〜 Don’t think too much!! 〜 』を読了.-

年明けからよく川崎宗則選手のことを書いてはいるものの「本が出る」との情報を知らず、前回の記事 👇 を書き上げ

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<< 2016年3月30日投稿:画像は記事にリンク >> 川崎宗則選手、無念の!(>_<)のシカゴ・カブスで開幕メジャーならずも、昇格へ挑戦は続く

関連書のリンク貼りしようとした時に、「こんなの出るんだ〜」と前日に出版を知った次第。

早々に読み始めればムネリン節というべきか、川崎宗則選手らしい人間味溢れる、その生き様に触れられる一冊でありました。

メジャー挑戦4年間の舞台裏

本の最初、読者(又は買おうかと迷っている人)へ向け

” この本には「この4年間、僕がアメリカでどれだけ楽しく野球をしているか」を感じてもらえるようなエピソードが集められている。

そしてそれは、僕が今のところアメリカ野球を選んでいる理由、そのものでもあると思う。

それも本当は、自分だけが分かっていればいいことだからね。特にオススメはしないよ。

でも、興味があるようだったら読んでくれたらうれしいかな。”(p3)

と、ちょっと遠慮がちなメッセージから計221ページにわたって、メジャー挑戦の日常及びそれを支える考え方などについて書かれています。

アメリカに魅了された原体験

華やかな日本のプロ野球選手の一軍の舞台を辞して、給与は大きく下がり、過酷な移動生活を強いられるマイナー生活を厭わず、

活躍の場を北米大陸(アメリカ&カナダ)に求めているのは、原体験があり、それはメジャー挑戦初年度の・・

” 2012年の春、マリナーズとマイナー契約を結んで、招待選手としてメジャーのスプリング・トレーニングに参加した。

場所はアメリカの南西部、アリゾナ州のピオリアという都市。そこで間近に見たショートの守備がいまだに忘れられないんだ。

それがアメリカでの僕の最初の守備の先生、ブレンダン・ライアン。僕の立場は彼の補欠だったので、練習ではショートを一緒に守っていたんだ。

そのときに間近で彼の守備を見て、心の底が揺さぶられた。

とにかく、「自由」を感じたんだ、彼の守備から。動きのキレもスピードも当然ハイレベルだけど、なによりも自由。

・・中略・・

彼の守備を見た瞬間に、これまでは知らなかった世界が目の前にあることを知った。

・・中略・・

守備が上手いメジャーの選手たちの身体の使い方は、見ているだけでおもしろいし感動できる。「そんな体勢から、そんな球を投げるのか!」と思わされる。

一緒になって練習しながら間近で見ているだけで、僕の中でなにかが閃く感じ。

「これをやってみよう」「あれを真似してみよう」と思うことが、そのまま僕の活力につながる。

本当に子どもみたいだけど、これが僕にとって大切。”(p13〜15)

Brendan Ryan Defensive highlights(ブレンダン・ライアン 好プレー集)

方や、冷静に自分自身を評価する川崎宗則自身もいて・・

” イチローさんに憧れてアメリカに渡って、もう丸4年が経過した。1年目はマリナーズ。2〜4年目はブルージェイズ。

2年目以降は、メジャーのブルージェイズとマイナーのバッファロー・バイソンズを行ったり来たり。

ときにはメジャーの試合に出場して、いい結果を残せたこともある。でも自分で「メジャーで通用している」なんて思ったことは、ただの一度もない。

もし通用していたらイチローさんやノリ(青木宣親)みたいに、メジャー契約を結べているはず。でも結べていない。これが僕の現状。”(p15)

理想と現実の2つが川崎宗則選手の前に立ちはだかり、その狭間を埋めるべく・・

” 試合で自分でもうれしくなるようないいプレーができるためには、普段からキツイ練習もしなくちゃいけない。

・・中略・・

野球に限らずどんなことでも、楽しくやるためには一緒にやる相手をリスペクトすることが必要。

嫌いな相手とはキャッチボールだってしたくないよね。本当にシンプルな話なんだよ。

自分がヒットを打つと、もちろんうれしい。

そうは言っても、自分の打撃がいつでも絶好調なんてことはあるはずがない。打てないこともたくさんある。

・・中略・・

チームメイトがヒットを打って同じように喜べる心があれば、毎日が楽しくなる。

自分が打てないときでも、「ああ、あいつが打ってくれて助かった・・・」と心も安らぐ。

そして僕が打ったときにはみんなも喜んでくれる。こういう気持ちでいると野球が毎日、楽しくなる。

この考え方は小学生や中学生のころからなにも変わっていない。

そしてアメリカで野球をするようになって、その思いはさらに強くなった。”(p34-35)

厳しい練習は当然のこと。メジャー枠を競い合うライバル達とはベンチに入れる人数は25名と決まっていますから

相手が活躍すると、必然、自分の昇格(若しくは維持)の可能性が減じられてしまうところ

連体感に、賛辞を惜しまない姿勢に、この心がけにアメリカで長く続けられている秘訣を感じ取りました。

また、ファンにとどまらず、チームメイトから如何に Munenori Kawasaki が愛されているのかという秘訣でもあるでしょう。

野球に邁進できる環境に尽きない感謝

また、アメリカでメジャー挑戦を続けている根底には純粋な思いが吐露されていて

” プロとして16年やっているけれど、まだまだ僕は野球に関して「腹ペコ」だからね。

50歳になっても60歳になっても、70歳になっても野球をやり続けられたらこんなにうれしいことはない。

そしてある日デッドボールで死ねたなら、これほど幸せな人生はない。

・・中略・・

たぶん僕は、野球をしていられる間は、なにがあっても苦労は感じないと思う。

野球をできなくなってからは、間違いなくいろいろ大変な思いをするだろうけれどね。”(p38-39)

今はシーズン中ですが、シーズン毎に迎えているオフには

” 毎年のようにシーズン後に「戦力外通告を受けては再契約、または次の球団を見つける」という形でアメリカで野球を続けられている。

でも1年目にクビになったときのショックは絶対に忘れられない。毎年、そのときの恐怖と戦いながら野球をしているのはたしかだよ。

そうは言っても「ショックだからって明日から寝込むのかい?」「誰かにグチるのかい?」という話。違うでしょ?まだ僕は野球がしたいんだから。

自分にできるのは「必ず声がかかる」と信じてトレーニングすることだけ。移籍先を探してくれるのは代理人の役割だから。

・・中略・・

いつでも僕は、僕自身ができることをやるだけ。”(p40)

と、信じた道を進んで行くとの覚悟を感じます。

本では生活に関する事柄も綴られていて・・

” まだ借金はしなくてもギリギリ大丈夫。家族で生活できるだけのお金は野球で貰っている。それならば、今の僕はアメリカで野球がしたい。”(p44)

関連して川崎宗則選手の心意気を支える家族への感謝と節々で語られているほか、そこに因んだエピソードとして

” ある記者さんの前で、僕はこんなこと言ったらしい。

「まあ、お金がなくなったら、二人でバイトでもしようか」

彼女は笑顔で、こう答えたそうだ。

「そうね」”(p187)

本では記者たちとの交流などについても触れられており、周囲のサポートがあってこその奮闘であることが分かります。

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結果ではなく、姿勢である

開幕メジャーとならなかったものの、メジャーへの扉を通じる40人枠に名を連ねたことで

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出典:Full-Count(画像は記事にリンク)

後はメジャー選手のコンディション、ケガなどによる巡り合わせ「(昇格は)時間の問題」と思っています。

但し、この見立てに関しては本書の中で・・

” 雑誌の記事なんかでも「カワサキは今年、メジャーに上がれる可能性はどれくらいあるのか」などと分析しているよね。

大きなお世話・・・は言い過ぎだけど、その分析にはなんの意味もないと思う。

僕自身は「メジャーだから成功、マイナーなら失敗なんて考えていない」と初めから思っていた。

・・中略・・

誰も直接は言わないよ。でもやはり「メジャーに上がってほしい」という期待や「メジャーに上がらなければダメじゃないか」という雰囲気を感じるんだ。

・・中略・・

でも2年目に初めてマイナーでプレーして、とにかく野球を楽しんでいる周りの選手たちを見て改めて確信した。

やはり自分の考えは間違えてはいなかった。

僕自身「野球が出来ればそれでハッピー!」な人だから、それでよかったんだよ。”(p71-72)

日本から活躍を願うファンの立場としては、その動静がより伝えられることになるメジャーでの活躍を願うところですが、

本書を通じて川崎宗則選手の今の考えに触れると、

一心不乱に「野球を上手くなりたい」との思いを成就させるべく取組んでいる姿にこそ、ファンは学び、声援を送るべき本質があるのだと思いを改めさせられました。

 


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