岡田斗司夫さんに学ぶ「カリスマ」というビジネスモデル(生き方):『カリスマ論』読了記 後編

岡田斗司夫さん『カリスマ論』読了記の続き。

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前編 << 2016年3月16日投稿:画像は記事にリンク >> 岡田斗司夫さんに学ぶ「カリスマ」というビジネスモデル(生き方):『カリスマ論』読了記 前編

前回は、岡田斗司夫さんのカリスマに対する下記の分類

” カリスマたる人間に必要なのは成功ではなく、その人自身のありようです。

私は、カリスマと呼ばれる人間が持っている属性とは、次の4つだと考えています。

① シナリオライター

② パフォーマー

③ プロデューサー

④ トリックスター “(29-30%/百分率は電子書籍のページ数、以下同様)

まで。今回、4属性の詳細について触れると・・

1. シナリオライター

” カリスマ型の人間は、この世界を物語だととらえています。世界がどうなっていくか、先のストーリーがある程度見えているんですね。

極論するなら、カリスマにとって未来は自明です。「やがて日本はこうなる」、「このままだと世界はこうなる」、

自分自身の描く未来図に絶対の確信を持っていて、疑ったりしません。

カリスマごとに見えている未来図はバラバラですが、未来図に確信を持っている点については共通しています。

さらに、世界がどんな物語を紡いでいくのかが見えているだけではなく、その物語において自分に配役が与えられていると感じています。

カリスマにとって世界は意味があるものですし、その結果彼らは自信満々に振る舞うことができるのです。”(30%)

” 普通の人たちにとって、世界は「現象」です。今日のお天気や明日のお天気と同じで、あるがままにあり、自分が関与したり、変化させたり、未来を予測できるものではありません。

だから、自分が世界のために何かできるなどと考えもしません。

・・中略・・

カリスマは違います。カリスマの精神状態は、いつも徹夜明けでハイになっています。

世界にはシナリオがあって、自分自身に割り当てられた役、いわばサブシナリオが見える(と思い込める)。

同時に、他人のサブシナリオも見えますから、「お前はこうしろよ」とついつい余計な口を出してしまいます。

これがカリスマが「シナリオライター」であるという意味です。”(31%)

2. パフォーマー

” パフォーマーというのは、「自ら演じることで人の心を動かす人」という意味だと思ってください。・・中略・・

評論家という肩書きを持っていたとしても、カリスマと言われる人は、自ら積極的に行動します。

持論を相手に合わせてかみ砕いて話し、相手に押し付ける。「こうすればいいのに」と考えているだけでなく、人を巻き込んでムーブメントを起こそうとする。 ・・中略・・

カリスマは観客席から淡々と批評する評論家ではなく、常に一人のパフォーマーとして行動します。

自分が演じることで、周りの心を動かしたいという意思がすごく強いのです。

カリスマは「シナリオライター」であり、未来シナリオが読めています。

未来が自明だからこそ、それに対して自分がどう振る舞うかを周囲に示さずにはいられません。 ・・中略・・

カリスマには、従来の価値観に基づいた「普通の生き方」がどうしてもできないのです。”(32-33%)

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岡田斗司夫さんの本の読了は15ヶ月振り << 2014年12月26日投稿:画像は記事にリンク >> 岡田斗司夫さんが説く、なんとなく気持ちのいい人生:『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』読了

3. プロデューサー

” 未来のシナリオが見えているカリスマは、世界を相手に勝負をしたいと思っています。

それは、自分の属している業界の構造を変えてしまうことだったり、すごい製品を作ることだったり、新しい生き方を提示することだったりするでしょう。

目の前にいる付き合いの短い人の人生に介入しても、何の得にもならないことはよくわかっています。

言い方は悪いですが、今日会ったばかりの人から、小金を集めようが、尊敬されようが、嫌われようが、自分の人生に大して影響はないと思っているものです。

では、なぜカリスマたちは他人の人生に口を挟もうとするのでしょうか?

要するに、私も含めてカリスマ型の人間は、お人好しのお節介なんです。

プロデューサー気質の人間は、気になる才能を持った人に出会ったら、「お前は絶対こっちの道に進んだ方が伸びるよ」と言いたくなってしまうもの。

逆にいうと、こういうプロデューサー気質のない人間は、カリスマになることはできません。”(34-35%)

4. トリックスター

” トリックスターという言葉には、詐欺師、ペテン師という意味がありますが、それだけではありません。

辞書で「トリックスター」を調べると、上記に加え、「神話や民話に登場し、人間に知恵をもたらす一方、社会の秩序をかき乱すいたずら者。

道化などとともに、文化を活性化させたり、社会関係を再確認させたりする役割を果たす」(スーパー大辞林)と書かれています。

・・中略・・

カリスマ自身は、権威に対する執着はありません。しかし、カリスマの影響力が大きくなってくると、権威側はその存在を無視できなくなってきます。

なぜ、権威側はトリックスター的なカリスマを無視することができないのでしょうか?

その理由は、カリスマがシナリオライターでもあるからです。

既存の権威の一部として生きている人からすれば、この世界はずっと続いていくものですし、変化したら困ると考えています。

権威によって守られている秩序を脅かそうとする存在は、排除しなければならない悪だと感じ、攻撃するんですね。

・・中略・・

多くの人にとっては見えない未来が自明だという前提で行動しますから、常に世界を変える側へと回ることになるのです。

既存の権威側からすれば、権威を破壊しようとしているようにしか見えません。

・・中略・・

カリスマは、直近ではなくずっと先の未来を見ていることもあり、その場合は行動が時流とまったく合わなかったり、

焦りや共感者の少なさから過激な行動へとつながっていく場合もあるからです。”(35-37%)

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「カリスマ」という生き方も選べる時代

本ではもっと簡素にまとめられていますが、4つすべてを備えていることが「カリスマ」と呼ばれるための条件と結論付けられています。

更に本書はカリスマと呼ばれている人たちに、どういう人がいて、どういう生き方をしていて、どうやって稼いでいるか。

また、岡田斗司夫さんらしいカリスマが生まれることになったネット社会について、カリスマを頂点とした文化的な階層構造などについて斬り込まれていきます。

著者の岡田斗司夫さんが本書を、

“「カリスマ」についての、日本初の研究書 “

と位置付けた通り、これまでのカリスマは意識することなくカリスマであるための4属性を身につけていった人たちと言えますが

本書の存在によって、戦略としてカリスマを狙うことも出来るようになるとみられ、

一時より耳にすることのなくなったカリスマの呼称が、再び台頭してくるようなことも考えられます。

私自身、カリスマと呼ばれるくらいの確信を持って日々のライフスタイルを貫徹したいですが、

セミナーをよく受講していた立場の人間としては、セミナー講師=カリスマに置き換えて読めることもあり、興味深い考察本でありました。

 


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