高崎晃さんが自伝で振り返った人生を決めたギターとの出会い、LOUDNESSに込めた覚悟:『雷神』読了

日本が誇る世界を相手にするロックン・ロール・バンド LOUDNESS:ラウドネスの創設者にして、ギターリストを務める高崎晃さんの自伝『雷神』を読了.-

本の出版は知っていたものの、値段(1,944円/税込)に対して内容が釣り合わないといった意見を複数amazonレヴューなどで目にしていた傍、

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出典:amazon.co.jp

「ファンなら迷わず買うべし」といったコメント(上記)に触れ、「その通り!」と、発売から約2ヶ月を経て入手。

購入時、本にビニール封された状態で、中を確認出来ませんでしたが、開封すれば・・

(ボリュームに影響する)字が大きく感じられることは無かったですし、あとがきを含めて223ページと相応の厚さと思います。

以下、印象的であったところを引用したいと思います。

運命を決めたギターとの出会い

” やっぱりギターを始めてからというもの、ギターばかりやっていたんで。中2の時点ですでに、「絶対にギターでプロになっていくやっていく!」と親に宣言していたくらいなんで。

自分の中で完全に気持ちが固まったのは、中学の修学旅行に行った時かな。当然ながら、その旅行中の何日間かはギターを弾けなくなったわけで。

たかがほんの数日間ギターを弾かれへんだけで、「これはもうアカン!」となってしまう自分がいて、そこで自分にどれほどギターってものが必要なのかというのを理解することができた。”(p37)

と、中学生の時点でギターで身を立てていく覚悟をされていたとの記述は、本の中で最もインパクトのある部分でした。

その覚悟はプロになってからも貫かれていて、

” 俺は基本的に、ちゃんと練習をするやつというのが好きだね。

かつてマーくんがこのバンドに居なくなった時代があったのも、彼があの当時あんまり練習しなくなっていたことと無関係ではない。

「俺はこんなに練習しているのに、なんであいつはやらへんのやろう?」というのがあった。”(p200)

といったところから感じ取れます。

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<< 2016年1月16日投稿:画像は記事にリンク >> LOUDNESS “30th ANNIVERSARY”へ再び!そして長年の思いをメンバーを交えて実現してきた!!

僅か17日間で制作された『撃剣霊化』

私のLOUDNESSとの出会いは4作目の『DISILLUSION〜撃剣霊化〜』でしたが、同アルバムに関しての舞台裏が書かれており・・

” ロンドンに滞在して、4作目のアルバムをレコーディングしている。

やっぱりイギリスの音楽を聴いて育ったという自覚もあったし、一度はロンドンでレコーディングしてみたいという願望が潜在的にあったんだと思う。

そんな経緯から現地でしばらく合宿レコーディングして、そこで完成されたのが、言うまでもなく『DISILLUSION〜撃剣霊化〜』。

とにかく俺たちとしては洋楽に負けないものを作りたいという一心だったし、結果、自分たちのスタイルを確立できたという手応えをあるのアルバムでは得ることができた。

・・中略・・

アルバム自体は正味1週間ぐらいで作ってしまった記憶があるし、あれが制作日数の自己最短記録だったんじゃないかと思う。

現地でまっさらな状態から作り始めて、17日間ぐらいでマスタリングまで終わらせてしまったはずだからね。

しかもそこで、同じアルバムの英語盤まで同時に録ってしまったくらいだし。”(p74-75)

自分が一時期、熱狂した思い出のアルバムに対する当事者からの裏話で、

しかも2週間強の短期間で私的名盤が完成した事実は驚愕と共に、バンドの充実がうかがえ、逆にあのテンションの高さが納得出来る感じも抱きました。

VAN HALENの初期の作品も短いインターバル、製作期間でリリースに至っていたように記憶しています。

ロックは生きざまで示すもの

” やっぱりロックというのは、生きざまだと思うからね。ロックじゃないやつがロックをやろうとしても、それはロックにはなり得ない。

ロックな人というのはスーツを着たサラリーマンやスポーツ選手のなかにもいるし、そういう人は、見ればロックだとわかる。

逆に、長髪で、化粧をしていて、それらしい服装をしていようと、その人がロックだとは限らない。”( p199-200)

オリジナルメンバーでの復帰作『SPIRITUAL CANOE〜輪廻転性〜』のライナーノーツでも同様の記載があったと思いますが、ロックに対する高崎さんの定義、好きで共感するところです。

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日本発先駆者の覚悟と格闘の生きざま史

本ではその他、現在の第6期を迎えるまでのメンバーの脱退劇、別れなど、生々しくもファンが知りたいであろうことに数多く言及されています。

読み始めると、ファンであるがゆえ本に食い入るようになり、気付けば「あっ」という間。

その過程で「もっとあの頃の・・」「 あの時の・・」 といった感想を抱く心情も理解出来ましたが、

高崎さんの幼少の頃のギターとの出会いから2015年に至るまでの心情を網羅的に、時に赤裸々に述懐されており

ファンにとっては、やはり何よりおいても手に取るべき一冊であると思います。


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