俳優 泉ピン子さんの『終活やーめた。 元祖バッシングの女王の「ピンチを福に転じる」思考法』を読了。
先月(2025年3月)に開催された

刊行記念 トークイベント&サイン本お渡し会 で入手していた著書。
本書は
” 昭和や平成の時代よりも老害が排除されやすい世の中だけど、様々なピンチを撥ね除けたピン活人生には自信がある。
古いものに価値があるように、古い考えにもたぶん価値はある。そう思って、私のピン活人生を本にまとめることにした。
言葉で説明するだけだと今の人にはとっつきにくいかもしれないので、熱海での私の平凡が暮らしの写真も合わせて公開することにした。
私の拙い経験でも、もしかしたらピンチに直面している誰かの励みになるかもしれない。年齢を問わず、今がピンチだと感じる人に手に取っていただけたら嬉しいです。”(p.005)
との思いを土台に、FRaUweb掲載記事に大幅な加筆修正が加えられ書籍化。
印象に残った箇所を以下に幾つか抜き出すと、一つタイトルにも掲げられたバッシングがキーワードになっていますが
” その「ウィークエンダー」ですが、下品すぎてワースト番組ランキング1位に選ばれて、ついでに(?)私もワーストタレントの1位に選ばれちゃったことがあるんです! 毎回私の出演が終わると、「あんな下品な奴なんで出した?」って電話が鳴り止まなかったらしい。”(p.040-041)
番組内容は朧げながら今も脳裏に刻まれている番組名(「テレビ三面記事 ウィークエンダー」)に、泉ピン子さんのことを私が認識した接点での振り出し、そこで世間から押し寄せた荒波から
” でも、今度生まれ変わったらやめる。どんなにムカつく相手の前でも、ニコニコしてみせるわ(笑)。
だって、そういう負のエネルギーを相手に向けて、物事がうまく回っていくことなんかないってわかったから。「金持ち喧嘩せず」じゃないけど、喧嘩なんかふっかけたところで、何の得にもなりゃしないんだから。”(p.042)
に、
” ただ多勢に同調していくだけでは、いざ自分が逆境に追い込まれたときに、味方になってくれる人が現れないよ、と私は言いたいですね。”(p.042)
といった人生観(/学び)に、
” その昔、30代で出演した「おしん」で、演じた役が60代になったとき、老けて見えたほうがいいかと思って、脚本の橋田(壽賀子)先生に「歯、全部抜きましょうか?」って言ったこともあったんです。”(p.048)
と有していた役者魂。そして不信感を抱いた事務所からの独立を決意した際、
> 「あんたには借金がある」(p.083)
と言われ、数億円に及ぶ借金を背負わされることになり、
” いちばん悲しかったのは、役者仲間の先輩に、ただ仕事のことで電話をかけたら、真っ先に、「うち、お金ないのよね」って言われたこと。こっちはそんなつもりじゃなかったのにね。野村さんに話したら、「あんた払い終えるまで、私は生きててやるから、最後まで頑張んなさい。私が事務所を辞めろって言ったんだから、骨は拾ってやる」って言ってくださった。本当に、ありがたくて涙が出ました。”(p.085 / 註:女優 野村昭子さん)
と、出逢いも本書のキーワードになっている中、窮状に陥ったところ周囲の方に助力を得た回想など。

逆境、そして心の在りよう
これまで辿られた軌跡を
” 自慢じゃないけど波瀾万丈の人生で、夫に隠し子がいたり、事務所から独立しようかとして多額の借金を背負わされたり、人生のピンチは何度かありました。”(p.119)
と簡潔に括られていますが、
” でも、抱えている問題を、自分の力で解決するときは、案外人間ってパワーが湧くものです。振り返ってみれば、「あのときは大変だったなぁ」って、懐かしさすら覚える(笑)。”(p.0119)
であったり、

” ストレスの話だったわね(笑)。私が思うに、メンタルの穏やかさを保つためには、自分で自分を責めないことがいちばん。よく「病は気から」っていうけど、若いうちは、心の免疫力をつけることを覚えた方がいい。”(p.121)
というように心の在りように関する示唆が散見され、(私を含む)多くの読者に参考になる書と感じながら読了に至りました。