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筒井康隆さんが1965年に予知していた今日の監視社会とSNSの隆盛:『48億の妄想』読了

筒井康隆さんの長編処女作『48億の妄想』を読了。

先日、筒井康隆展を往訪した際に、

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会場の世田谷文学館内で流されていたTV番組内で、

本作について1965年出版の作品でありながら、現代の監視カメラ、SNSの隆盛について記述されており、「予言の書」といった紹介をされており、興味を持っていた作品。

50年前の未来=2018年の現実

先日、読了していた『筒井康隆、自作を語る』では、

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” 筒井 (中略)『48億の妄想』を、もう五十年ぶりで読み返したんですけど、傑作なんですよ(笑)。

ー それはみんな分かっています(笑)。

筒井 こんなもの、今は書けないですよ。よく書いたものだと思います。自分をほめてやりたい。”(p24-25)

という自信作で、話しのクライマックスは

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筒井康隆さんが紐解いた、二十世紀最大の哲学書『存在と時間』:『誰にもわかるハイデガー』読了

筒井康隆さんの『誰にもわかるハイデガー』を読了.-

ポイント2倍デーに「もう一冊何かないかなぁ」と探している最中に「これだ!」となった一冊。

” ご存知のとおり、二十世紀最大の思想家と言われる人です。そのハイデガーが三十七歳のときに、一九二七年ですけれども、書いたのがこの『存在と時間』です。

二十世紀最大の哲学書と言われている難解な本で、これが中央公論社版の「世界の名著シリーズ」のハイデガー篇、これ一冊まるまる『存在と時間』なんですね。

二段に分かれてぎっしりと難しいことが書かれているんです。”(p10)

と、難解なことで定着している古典的名著を

” 本書は、普通の意味での解説を必要とはしない本である。「文学部唯野教授」の講義は、わかりやすく、タイトルにある通り「誰にもわかる」からである。

ハイデガーの主著『存在と時間』をこれ以上わかりやすく解説することは不可能だ。”(p95)

本書で「解説」を担当されている社会学者 大澤真幸さんに言わしめたもの。

帯裏面。

本書が刊行された経緯は 👇

” 新調カセット・講演  筒井康隆『誰にもわかるハイデガー』(一九九〇年一〇月刊/一九九〇五月一四日池袋西武スタジオ200において収録)として発売された内容をもとに書籍として再構成された。”(本書にある記載を引用)

身近にある「死」を経て・・

筒井康隆さんが、『存在と時間』に触れたのは

” じつは私、一昨年、ちょっと天皇陛下が下血なさったのと時を同じくして下血しまして、・・中略・・

一ヶ月間入院しろということで、これはそこの胃腸科の科長さんの好意なんですけれども、作家だから仕事をするだろうということで、個室をあてがわれました。

ただ個室のある病棟といいますか、その階は当然ながら重症の患者さんがたくさんおられるわけです。

ときどき突然女の人のわっと泣く声が聞こえたりするんです。ご主人が亡くなられたんですね。

つまり日常的に死というものが身近にあるんです。

私自身は自分でべつだん死ぬほどの病気ではないとわかっているんですけれども、やっぱりなんとなく死というものを考えてしまう。

何か死という現象について知りたいと思い始めたんです。で、やっぱりそれは哲学じゃないかと思いました。”(p11-12)

という経緯から。

どのようなことが書かれてあるかというと(抜粋出来る範囲で)・・

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春日太一さんと火野正平さんが語った、役者道、俳優たち、カメラの向こう側の舞台裏:春日太一 x 火野正平 トーク&サイン会 参加記

映画史・時代劇研究家 春日太一さんと俳優 火野正平さんのトーク&サイン会(サイン会は春日太一さんのみ)に参加。

火野正平さんが登壇されるレアな機会でもあり、満席に。

春日太一さんの新著『すべての道は役者に通ず』刊行記念として開催されたもので、

同署に火野正平さんも23名の中の名優のお一人として登場。

本イベントへの参加動機は(2018年)9月に読了していた『美しく、狂おしく  岩下志麻の女優道』が印象的であったので、

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「(著者の)春日太一さんのサインも欲しいなぁ」と思ってのこと。

開演前の舞台 *開演中の撮影は禁止

火野正平さんについては、お名前は承知していたものの、出演作というよりは

浮き名を流されているイメージの方が強く、実際のその辺りはトークで

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筒井康隆さんが、読書経験で辿った書評的自伝=筒井康隆のつくられ方:『漂流 本から本へ』読了

先週末に『筒井康隆展』を訪れ、

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サイン本ということが決め手で購入してきた

『漂流  本から本へ』を読了.-

本書については、先週読了していた

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筒井康隆、自作を語る』に、

” 自伝ですよね。自伝を年代記風に書いています。僕は自弁というのは今後も書く気はないし、まあ書くとしたらこんな形でしか書けないということですね。”(p163『筒井康隆、自作を語る』)

との記載があり、そういった意味合いも購入を後押ししていましたが、

読み始めて程なく・・

サブタイトルの「本から本へ」に、帯にある「筒井康隆のつくり方」とは、こういうこと(意味)かぁ」と、

 第一章  幼少年期 一九三四年〜

 第二章  演劇青年時代  一九五〇年〜

 第三章  デビュー前夜 一九五七年〜

 第四章   作家になる 一九六五年〜

 第五章   新たなる飛躍  一九七七年〜

と、五つの年代に分けられ、筒井康隆さんが影響を受けた本について、それぞれ3ページに渡って解説が添えられているもの。

購入書籍に書かれていたサイン

筒井作品(ワールド)の礎

取り上げられている作品は、SF小説に文学作品など、自分がこれまで積極的に手を伸ばしてこなかったジャンルで、

特に文学に距離感を抱いている身としては、

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筒井康隆展 @世田谷文学館を訪れ、筒井康隆さんが辿ってきた軌跡に一筋縄ではいかぬ世界観を体感してきた

開催は知っていたものの、当初は「(抽選の)トークショー当たったら・・」などと条件付きで意識していたものの

今週(10/9〜)に入ってサイン本の発見(〜購入)、読了(10/12)というプロセスを辿り、

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俄然気分が盛り上がり、寝ていられた日曜朝の睡眠をセーブして世田谷文学館で開催されている筒井康隆展へ。

エントランス、窓口を通過し、階段を上がった2階に展示スペース

気分が盛り上がった要因にはtwitterでサイン本販売の情報に触れていたこともあり、開館に合わせて足を運んだ次第ですが、

入館早々、売店を探し「あった!あった!」と。

売店の筒井康隆サイン本コーナー

画像👆は、晴れて買い物を済ませた後のものですが、

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筒井康隆さんが、半世紀を超えるキャリア、作品へのわが思い入れに言及した『筒井康隆、自作を語る』読了

筒井康隆さんが、デビュー作から最後の長編まで、作家活動の軌跡を対談で語った模様が収録された

『筒井康隆、自作を語る』を読了。

先日、タスクを完了させ、ふらっ〜と「何かあるかな」と書店に立ち寄った際👇 サイン本に遭遇。

「ラッキー」に遭遇の瞬間 ^^

「これは〜!」となり、即座購入に至っていたもの。

但し、私的に筒井康隆さんと云っても、読了しているのは

<< 2016年11月8日投稿:画像は記事にリンク >> 筒井康隆さんが圧巻の世界観で表現した人類と世界の秘密を語る男、GOD の存在感:『モナドの領域』読了

2年前(2016)の👆 最後となる見込みの長編『モナドの領域』と、その昔、

『ベトナム観光旅行社』の2冊(である筈)。

(『筒井康隆、自作を語る』)購入後、タイトルとのギャップが気になったものの、本書冒頭に

” 筒井作品をこれから読んでみようという人、筒井作品に取り憑かれてあらかた読み尽くしてしまった人。

日本SF史に興味のある人、すべての人に楽しんでいただける本を目指して作った一冊です。

千変万化の筒井ワールドを探索するガイドブックとして、役立ていただければ幸いです。”(p7)

との編者 日下三蔵さんの一文があり、ホッとしての読み始め ^^

購入書籍に書かれていたサイン

enter the 筒井ワールド

そんな筒井作品初学者の自分的に有効であったのは・・

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荻原浩さんが描いた、座敷わらし、河童、天狗を追い求めて准教授 x 助手が繰り広げた珍道中:『逢魔が時に会いましょう』読了

荻原浩さんの新刊『逢魔が時に会いましょう』を読了。

先月(2018年4月)開催されたトークイベント

<< 2018年4月14日投稿:画像は記事にリンク >> 荻原浩さんが語った野菜づくりと小説家としての日常:『極小農園日記』刊行記念トークイベント 参加記

(荻原浩さん)ご本人から「もうすぐ出ます」といったお話しがあり、

内容を楽しみにしていたもの。前作は、家庭菜園のリアルといったエッセーでしたが、

本作は、

 座敷わらしの右手

 河童沼の水底から

 天狗の来た道

の三作が収録されたもので、一、二番目は過去に発表されていたもののリメイクで、三番目は本作出版にあたっての書き下ろし。

土壇場の准教授と、展望見出せぬ学生が繰り広げる・・

主人公は三作とも共通しており、

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荻原浩さんが語った野菜づくりと小説家としての日常:『極小農園日記』刊行記念トークイベント 参加記

先日、読了記↓をアップロードした

<< 2018年4月11日投稿:画像は記事にリンク >> 荻原浩さんがユーモアを交えて綴った、野菜づくりと小説家としての日常:『極小農園日記』読了

荻原浩さん初エッセイ集『極小農園日記』の購入翌日に知った刊行記念トークイベントに参加。

会場は久方ぶりのジュンク堂書店池袋本店 4階喫茶

荻原浩さんの登壇イベントは『ストロベリーライフ』刊行時の2016年10月以来 ↓

<< 2016年10月26日投稿:画像は記事にリンク >> 直木賞作家 荻原浩さんの新刊『ストロベリーライフ』刊行記念サイン会で過ごした、ちょっと嬉しい展開

その時はサイン会であったので、お話しされる状況は初めてで楽しみに迎えた当日。

野菜づくりへの思い

前半は、編集担当者の柳悠美さんとのトークで、後半は参加者から事前に募った質問を受け付ける二部構成。

まず、本書が上梓された経緯について、

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