浅倉秋成さんが描いた人生が変わる最終選考で大学生六人が繰り広げた駆け引き:『六人の嘘つきな大学生』読了

小説家 浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』を読了。

(2022年)5月に新刊『俺ではない炎上』のサイン本が売り出され著者を知り、書店を訪れ、新刊よりも横に並べられていた本書に興味を持ち

新刊『俺ではない炎上』ではなく、帯等から興味を持った『六人の嘘つきな大学生』を選択

サイン本に手が伸びていた経緯。

協調から生き残りへの急転

話しは

” 二年前 ー 二〇〇九年にリリースされたスピラという名のSNSは、爆発的な速度で十代から三十代の若者の心を掴んだ。

mixiにはなんとも言えぬ軟派な雰囲気を、Facebookには個人情報を丸裸にされそうな漠然とした恐怖心を抱いていた人々のニーズを巧みに掬い上げ、 ・・中略・・

そんなスピラを運営する株式会社スピラリンクスが今年、満を持して新卒総合職の採用を開始した。それだけで十分に刺激的なニュースだったのだが、彼らが提示した初任給は破格の五十万円。

正社員数が二百人にも満たない新興企業ということもあって採用枠は『若干名』だったが、多くの学生が飛びついた。

先ほどの鴻上さんの話によれば応募総数は五千人を超えていたのだから、選考のステップがあれだけ多くなるのも当然の話だった。”(p13)

という時流を捉えた企業の最終選考に残った六人に、当初

” すでに我々は五千人以上の学生を落とし、あなたたち六人を選抜しています。あくまで最終選考としてのグループディスカッションです。

ディスカッションの出来によっては、六人全員に内定を出すという可能性も十分にあります。”(p10)

と示された条件設定が、

” 先月十一日に発生いたしました東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)による被害、当社の運営状況を鑑みた結果、残念ながら今年度の採用枠は「一つ」にすべきという判断が下りました。”(p44)

全員内定を目指し一体化を図っていた状況から一転、サバイバルモードに切り替わり、最終選考の場で見え隠れする思惑に、疑心暗鬼に・・

読み始め早々から「あれ、もうクライマックス?!」といった感じで惹き込まれ、六人の心理的駆け引きに、中、後半からの紐解きに、サスペンスを楽しめる内容となっていました。

人生を変える舞台、そしてその後の・・

奥付に目をやると2021年3月2日 初版で、購入したものが2022年3月発行の17版。

奥付

人気ぶりが分かる重版で、舞台化もされたそうな。

出典:リーディングアクト「六人の嘘つきな大学生」公式 Twitter(画像はTweetにリンク)

現実世界の実名が織り交ぜられたリアリティに、やはり読みどころは

” 入社できれば文字どおり、それは誇張でも何でもなく、人生が変わる。”(p14)

という状況において、

購入本に書かれていたサイン

繰り広げられる心理的駆け引きに、

” 被害者のような顔をして、この会議に劇薬を持ち込んだ裏切り者が ー “(p69)

という事態を混沌とさせる展開に、支持された(売れた)要因を感じ取り、浅倉秋成さん他作への興味も掻き立てられました。


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