クリストファー・ノーラン監督が描く日常に潜むダークサイドへの誘惑:『フォロウィング』鑑賞記

 

夜間の空き時間に急遽、3日連続でクリストファー・ノーラン(監督作鑑賞)〜

1日目 >> クリストファー・ノーラン監督が描く現実と夢が交錯する世界:『インセプション』鑑賞記 <<

2日目 >> クリストファー・ノーラン監督が描く記憶が失われた世界での苦悩と葛藤:『メメント』鑑賞記 <<

今回はデヴュー作『フォロウィング』。「急遽」というのは『メメント』を返しに行った際に、「あるかな・・」と店内の端末で検索してみたところ・・

1本の在庫がある事を発見して、レンタルに至った次第。

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よくぞ1本ストックがあったーと、有難み実感の瞬間

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そこに無ければ、ネットに出品されているのを買っちゃおうかな」なんて思っていたところ、¥108で鑑賞出来てラッキーでした。上映時間も平日にストレスかからぬ90分弱。

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シナリオ、演出ともクリストファー・ノーランの天分の才だった

蘊蓄(うんちく)語るには、デヴュー作は欠かせないと思いますが、結論から言うと

「初っ端からこのクオリティか!」と描き出された世界観を堪能。と言えども、一筋縄の面白さでなく

やはり視聴者を幻惑する仕掛けは既に確立されており、シナリオ(脚本)ライティングは見事です。

無名であるがゆえ予算は限られ、撮影も関係者が何れも定職に就ている中で、毎週土曜日の週1度に限定され行われたとの事ですが

金銭面であったり、もろもろの制約も脚本に織り込まれたとの事。

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全編で意図されたモノクロ撮影

「FOLLOWING」Trailer
(日本語版予告編の埋込がNGであったためオリジナルを)

日常に仕掛けれた非日常への誘惑

話は作家志望の日常が退屈に包まれた主人公が、暇潰しと題材探しで、街中で目に止まった人物の尾行をするようになったところ事件に巻き込まれていくというもの。

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クリストファー・ノーラン監督が敬愛するフィルム・ノワールの影響から陰影が強調されたカットが点在

何の変哲もない主人公がふとしたキッカケからダークサイドに転じてストーリーは現実感を抱くに十分な設定で

人のプライバシーに対する興味の持ちようも程度の差こそあれ、見ている人それぞれの封じ込めたい部分を刺激され

クリストファー・ノーランが描いた設定に多くの人が入り込みやすいと思います。

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「分かる人には分かる!?」キャリアを暗示するかの1シーン

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本作を足がかりに『メメント』で檜舞台に上がる事になったわけですが、

多くの人が映画館へ足を運ぶ動機が、非日常を求めての事と考えると

視聴者をそういった境地へ誘導する事が、クリストファー・ノーランにとって極自然に発揮出来る資質である事が分かる作品です。


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