オーストラリア人、オーストラリアの本当のところを移住20年超の沢木ソニー祐二さんから学ぶ一冊:『「おバカ大国」オーストラリア』読了記 ④

『「おバカ大国」オーストラリア だけど幸福度1位!日本20位 』読了記、第4弾。

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今回は、第三章「なぜかうまくいっているオーストラリア <国土・国民編>」の前半。

不安になりにくいオーストラリア人

” 「現状認識が低い」=「おバカ」と捉えるのは、やはり日本的な軸にすぎません。

国際的感覚でみるとオーストラリアの「現状認識が著しく低い」点は、非常に良いほうに作用しています。

それは「不安になりにくいから」。” (43%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

” 国際情勢から生まれる不安・心配が少ない理由はいくつかあります。

その一つは、なんと言っても孤立した大陸を、たった一つの国で占めているという安心感。 ・・中略・・

そしてもう一つは「地震が無い」こと。 ・・中略・・

最後に「戦争で負けたことが無い」ことも挙げられるでしょう。 ” (44-45%)

ゆるやかな階層社会

” オーストリアの社会も階層社会です。イギリスほど明確な階層(クラス)社会ではありませんが、ゆるやかに上流層・中流層・下流層に分かれています。

言うならば「ゆるゆる階層」社会です。その区別はくっきりしているわけではなく、わりと重複している(どっちつかずのような)人もいるように見受けられ、

クラスが違う人たちも、断絶しているわけではなく、普通に交流をしています。 ・・中略・・

私たちアジア人が管理職、役員職などにつく割合が少ないことは確かです。 ・・中略・・

全オーストラリア人の約半数が外国生まれ、または外国生まれの親を持つ一方で、連邦議会の議員で非白人系はほんのわずか。

アジア人に至っては2%以下。83人いる事務次官や秘書官のうちアジア人はわずか3人にすぎません。 ・・中略・・

移民系の人で大企業の幹部となった例に、カンタス航空のアラン・ジョイスCEO(アイルランド系)や

電話通信大手テルストラの前社長ソル・トゥルジオ(メキシコ系)がありますが、ごくまれな例にすぎません。

日本人はといえば、この階層では「中間をうろうろ」という印象でしょうか。

日本人は、その外見からアジア人として見られていますが、自分から強く主張したり、集団の和を乱すことが少ないので、

「無害な奴」「礼儀正しい奴」などとして受け止められているようです。” (46-47%)

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プレッシャーを感じる機会も珍しいオーストラリア人

” 一般にオージーはプレッシャーを感じる機会がまれ。

そしてプレッシャーを認識しないので、緊張する場面もほとんどありません。

たとえば大きなスポーツ大会の最中でも、( ・・中略・・)  誰かのために戦うわけではなく、自分の強さを示すために戦う。

たとえば2014年のサッカーワールドカップブラジル大会予選、オーストラリアの選手は、

勝ったときに「うれしい」「最高の気分だ」「やるべきことができた」などとインタビューに答えていました。ごくストレートです。

そして負けたときは「できるだけのことはした」「相手が強かった」「次を目指す」など、やはり前向きに答えています。

自己肯定をして、次につなげようとします。周囲の期待に応えられないことを責務に感じたような選手は見当たりませんでした。

ビジネス面でも、責任は個人に帰結する一方で、個人が組織や団体の名誉を肩代わりすることはまれ、

そのせいか、このプレッシャー皆無な感覚が蔓延しているように思われます。” (49%)

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オーストラリアの経済、お金

” 国民一人当たりの収入は、統計上は2012年の平均収入が週918豪ドル。14年12月のレートで日本円に換算すれば約8万8,100円。

月額にすると月35万2,000円となります。年収換算ではボーナスをナシとして、約423万円。

国税庁発表による日本における平均年収414万円(平成25年分民間給与実態調査)から見てもそこそこと思えます。

ただ、数値から取り出す平均値だけではなく、分布と合わせてみる中央値では、オーストラリアは週790豪ドル(約7万5,800円)、

月30万3,000円、年収にして約363万6,000円。全体としてみれば、平均以下の人数の割合がとても高いようです。

数値上でのオーストラリア人、その大人一人当たりの所得は、世界トップクラスという報告もあります。

たとえばクレディ・スイスがまとめた「2013年グローバル・ウェルス・レポート」によれば、

「成人一人当たりの富の平均額上位10ヵ国」ではスイスに次いでオーストラリアが2位。日本はトップテンにすら入っていません。

まとめると、貧富の差が激しく、社会構造はゆるやかなクラス分けができている。

その状況を踏まえて、順調に国が発展してきているのがオーストラリアの現実だといえるでしょう。” (53-54%)

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大舞台で伸び伸びをオーストラリア人にあやかる

プレッシャーに関しては、プレッシャーが加わった状況では弱いのでは?という指摘も本書で取り上げられています。

日本の場合、地域であったり、国であったり、とかく自分以外のこと(責務)を背負ってしまいがちで

この傾向は、もはや国民性的なことで変えられる事ではないのかもしれませんが

個人レベルでは、焦点を「自分だけ」に絞る/切り換えるなどして、

その人らしさなり、その人の本来の力が発揮されやすい自分の置き場作りが、オーストラリア人から学べるように思いました。

 


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