オーストラリア人、オーストラリアの本当のところを移住20年超の沢木ソニー祐二さんから学ぶ一冊:『「おバカ大国」オーストラリア』読了記 ⑤

しばし中断していた『「おバカ大国」オーストラリア だけど幸福度1位! 日本20位』読了記。今回で5回目。

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今回は、第三章「なぜかうまくいっているオーストラリア <国土・国民編>」の後半。

世界稀に見る物価高、人件費高社会

” 日本から来た人たちが驚くことの一つが、物価高でしょう。日用品から食料品、加工食品、

あるいはレストランやカフェ、どこにいっても日本基準からは「あり得ない」という値段ばかり。

ホテルの宿泊費ならば、三つ星クラスの宿で一泊200豪ドル(約1万8,000円)以上。東京都内ならば1万円しないくらいのビジネスホテルです。

映画館でポップコーン一つとコーラ二つを頼んだら27豪ドル(約2,500円)。

シドニー郊外のタロンガ動物園を家族4人で訪れたら1万円を超えます。市内のごくごく普通のレストランで夕食をとれば、

ひとり1万円くらいはあたりまえのようにいくでしょう。友達と4人で食事すれば4万円を超えてしまいます。

・・中略・・

なぜこんなに値段が高いのかといえば、原材料費に加え、人件費が高いから。

通常のレストランでディナーのメイン一皿が30豪ドル(約2,700円)くらいだとして、このうち40%が人件費という説があります。

もしも週末、外で食事をとったときに、レシートに追加料金がかかっていたら、そこにはきっと休日手当賃金の分が上乗せされています。

週末の食事は平日の25〜50%増しになっています。

周辺の東南アジア諸国と比較しても、オーストラリアの人件費は突出しています。

イギリス系で、管理職についた人たちの年収は日本円にして、平均で700万円から1,000万円。

オージーたちで長年働いてきて、それ以降に入ってきた移民たちを使う立場になった場合、マネージャークラスなら年収1,200万円。

資源ブームでわいたときなどには、炭鉱に出かけた若者たちは年収1,200万円を手にすることができました。

田舎にある港湾都市で貨物船を引っ張るタグボードの乗組員は年収約800万円。ストライキを計画し、待遇改善を訴えていますが、

彼らは1年の3分の1しか働かないのだそうです。

炭鉱と港を結ぶ鉄道の運転士は年収1,500万円で「アメリカの外科医師と同等」だそうです。

・・中略・・

オーストラリアの人件費が高騰したのは、過去20年にわたる好景気のあいだ、給与が上がる一方だったから。

資源ブームによって過去にないくらいの長期間の好景気が続き、その間、どんどん儲かる企業の労働者ユニオン(組合)は言いたいだけ給与を要求しました。

・・中略・・

要求するだけ要求する、そして一度得たものは絶対に手放さない。この積み重ねで既得権益を積み上げてきました。

諸手当、病欠、休憩、補助金、国際的にはあまり有名ではない企業でも、日本の一流企業並みの福利厚生があたりまえになっています。” (55-56%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

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” こうして支払われる給与は高い水準のままとなり、人件費が反映されて物価高社会になりました。

興味深いのは高コスト社会となった豪州ではコストがインフラに回っていない点です。

下水道、上水道、あるいは電気配線や電柱など、100年どころか、当初の開拓時代のままというところが、大陸のあちこちにあります。

つまり高コストは人件費中心なので、お金は個人に行き着きます。個人は消費を享受し、インフラは古いまま。

社会の発展が、会社のためではなくて、個人のためにあります。” (56%)

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お金はあるだけ使う、消費パラダイス

” オージーたちは全般にお金を使うことが大好きです。「貯蓄するよりは消費するほうが好き」

もしくは「カネは借りても使ってしまえ」という気質があります。

その証拠に、世界金融危機以降も国内需要はそれほど落ちませんでした。

それは借金してでも購入を続ける、彼らの旺盛な消費意欲に支えられてきたからに相違ありません。

豪統計局によれば、国民の7割がなにかしらの借金を背負っています。

ここには住宅や自動車のローンやクレジットカードの負債、ビジネス上の負債などが含まれています。

ただし多くの場合、返せないほどには借りてはおらず、いざとなれば返す余力はある。

つまり「借金で苦しい」というほどには困っておらず、むしろ「借金好き」というほうが的確かもしれません。

統計局の調査によれば、一世帯当たりの負債額は約8〜10万豪ドル(760万〜950万円)に達します(2012年)。

・・中略・・

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Economic crisis

彼らは借金して車を買い、住宅を買い、庭やプールを作り、キッチンを改築し、ボートも買います。

スポーツや社交の場にもよく出かけ、人によっては国外旅行も頻繁。

歩き回るのも大変なくらいの広い家に住み、高級車を何台も乗り回します。”(57-58%)

” なぜ彼らはそれほど借金をするのでしょうか。 ・・中略・・

人々とかかわりあい、自分の生活がうまく回転しているように振る舞うことが「良いこと」だと考えている傾向が彼らにはあります。

「お金はあるだけ使ってかまわない。足りなければ借りればいいさ!」

もともとオープンな彼らのあいだでは、社交的な行為や場に重きが置かれています。

彼らは借金をしてでも、そうしたにこやかな、楽しい社会生活を送ろうとします。

資金繰りが苦しくなったら家を手放して、これまでのローンや建築費を返済し、また次の場所に移動する。

このライフスタイルは強さそのもの。 ・・中略・・

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そもそもオージーには今を辛抱して乗り切ろうとか、将来のために節約しておかねばとか、そういう計画的な思考が少ない。

「原因と結果がつながらない」というオージー原則を思い出してください。

今こんなにお金を使ったらあとでどうなる、という想像力はありません。

だーっと走り続けて、勢いよく走り続けて、ダメだったら止まる。そんなストレートさ。

借金をすることに抵抗がなく、とにかく今の生活水準を維持していく。

だから消費傾向も落ちない。これが安定した成長の原動力です。”(58-59%)

因みに貯金は、低額から人口の20%区切りで・・ 約290万、約1,800万円、4,000万円、6,800万円、2億円といった具合。

これも「結構ある」ように感じました。

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「なるようになる」で、世界最高峰

更に、本章ではオーストラリア人のギャンブル好きについても言及されています。

借金に関しては、日本でも個人レベルで同様の人は多くの人にとって心当たりあるかもしれませんが

それが国レベルってところが凄いですよね。楽観思考に覆われたというのか。

その考え方が良い方向に出て、例えば「国民1人当たりのGDP」なる指標で、世界5位以内に入るなどの結果につながっています。

望むような結果を得たいなら、まずそのように考える(そして行動)というのが、今回分一番の印象的なポイントでした。


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