高城剛さんが、未来予測を仕事とする者を訪ね描き出した30年後の世界:『2049 日本がEUに加盟する日』読了

高城剛さんの『2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生』を読了。

著書で近未来に誘ってくれる高城剛さんの著書ということで買い求めていながら

本作のタイトルが、SF小説のタイトル的な非現実性も感じ、しばし読み始めるまでのタイムラグがありましたが

一旦、読み始めると・・

“「我々が生み出した方程式に当てはめれば、過去の寒冷期、温暖期がすべて説明できます。

そして、2030年代に太陽活動は低下し、次の寒冷期のピークが訪れると予測しているのです」。ザルコヴァ教授は確信を持って、そう言い切った。

・・中略・・

おそらく、地球温暖化説を唱えることでノーベル賞などの栄光と莫大な研究資金を手に入れようとしている科学者や、

地球温暖化を商機だと考えている企業などが、根拠もない説を垂れ流しているのではないかと、私は考えています」。

確かに、地球温暖化は特的の企業にとって大きなビジネスチャンスとなり、場合によっては政治家の利権になりかねない。

・・中略・・

近年、地球温暖化に反対する人々にはさまざまな圧力がかかってきました。

なぜこういうことが起きているのかはわかりませんが、天文学などに精通し、地球温暖化説のウソを暴こうとしてきた人々は、さまざまな研究機関を追われているのです。”(p27/p29)

或いは

” 特化したソフトウェアの世界でも、シリコンバレーの存在感は徐々に弱まっている。

マーケットとしては巨大な米国だが、音楽業界のイノベーションの中心は、完全にベルリンに移った。

質の高いサンプリングソフトや斬新なデジタル楽器などの大半は、ベルリンで作られている。

また、映画などで使われるCGの中心地は、カナダとインドだ。

・・中略・・

ペイパルの創業者で、シリコンバレーの顔役としても知られるピーター・ティールは、「テクノロジーのイノベーションにおけるシリコンバレーのリーダーシップは終焉に近づいている」と発言し、

自宅とオフィスをシリコンバレーから引き払い、さらには、「世界の終わり」に備えて、ひそかにニュージーランド国籍を取得し、「文明崩壊に備えた避難所」として南島の元牧羊場だという役2平方kmの土地を買った。

このような動きは、ピーター・ティールに限らない。シリコンバレーの強者たちは、続々かつひっそりと、どこからも最果ての地であるニュージーランドに移る準備を着々と進めている。”(-p70-71)

と、目から鱗級の記述が連続し、好奇心を多分に刺激され、ハイペースで読了に至りました。

30年後の日本、分断の・・

そこからタイトルにある

” かつてイギリスが植民地から去ったときのように、日本国内には嫌米機運が高まり(それを背景にした政治家が当選し)、

いまさらBRICs+α連合にも入れない日本が進む道は、世界的な孤立(rest of the world)か、地域性を超えた新しい取り組み、すなわちあたらしいEUに加入するか、この二つの道のうち一つを選ぶしかなくなるだろう。

そして、日本はEUに入る道を選ぶ、と僕は予測する。”(p144)

または

アメリカ合衆国 ドナルド・トランプ大統領の

” 内陸部の白人を優遇する動きは、沿岸部の企業や住民にとって面白いはずがない。

特に、リベラリズムや多様性を愛する西海岸の人々は、苦々しい思いを抱いているはずだ。

そこで盛り上がりつつあるのが、カリフォルニア+エグジット、すなわち「キャレグジット(Calexit)」と呼ばれる独立運動である。”(p66)

と第二の?ブレックジットを想起させられる動きに、

高城剛さんが、世界中を訪ね歩き、未来予測を仕事とする者を直撃して浮かび上がる30年後の世界の姿が一冊にまとめられています。

なお、本書は、

” 1989年から2018年の30年間を描いた『分断した世界』の後編である。”(p12)

という位置付けで、セットで読む楽しむ方も出来るものと思います。


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