劇団ひとりさんが描いた明治から大正にかけての浅草で引き裂かれた母娘を巡る物語:『浅草ルンタッタ』読了

ピン芸人劇団ひとりさんの書き下ろし『浅草ルンタッタ』を読了。

苦戦しながらもサイン本

空振りを経て、「とりあえず・・」と立ち寄ってみた書店で在庫されていたサイン本

入手叶い、手元に引き寄せた著書。

理不尽に引き裂かれた母娘の運命・・

話しは、

” 吉原にある政府公認の遊郭と違い、非合法な売春宿のため、それぞれ表向きは酒屋や飲食店など別の店を装い営業していた。

燕屋も建前上は花屋であるが、玄関に飾られている干からびた花々を見れば花屋でないことは誰の目にも明らかである。

それらの花は非合法を見過ごしてくれる警察へのせめてもの礼儀でしかない。”(p6)

という売春宿を客として訪れた警部補が、遊女の幼き娘に手を出そうとして事件に発展し、引き裂かれてしまった母娘のその後を軸に展開されていきます。

浅草に集っていた人たちが醸す人情劇

プロフィールによると、劇団ひとりさんの処女作『陰日向に咲く』は100万部超のベストセラーとなり、次作『青天の霹靂』とともに映画化。

購入本に書かれていたサイン

鑑賞出来ていないながら昨年(2021年)話題を集めた『浅草キッド』での脚本、監督と、お笑い以外での活躍も納得させられた深く、実感伴ってきた作品で、こちらも映像化される可能性は高かろうと推量しましたが、浅草が

” 六区を知らずして遊びは語れない。わずか百メートルほどの通りに芝居小屋から映画館、見世物小屋など日本最先端の娯楽が全て揃っており、東京中、日本中から新しいもの好きのハイカラが集まっていた。”(p34-35)

賑わいの中心を担っていた頃、そこに行き交う人たちの温もりに触れ、じゅわ〜っとさせられる物語でありました。


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