歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが迫った人類が辿り得るさまざまな未来:『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来(上)』読了

歴史学者 Yuval Noah Harari:ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス  テクノロジーとサピエンスの未来(上)』を読了。

原書は日本語版と異なり、上下巻となっていないこともあり、上巻最後は

” 本書ではこれからの二章で、科学と人間至上主義との間で交わされた現代の契約の理解にもっぱら努めることにする。

そしてその後、最後の第3部では、この契約が崩れかけている理由と、その後釜に座るかもしれない新しい取り決めを説明する。”(位置 No.3753-3762)

と、展開されている論の中途というところ。そこに至るまでも全般やはり難しめながら、

前回👇から

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読み進めたところ(第1部  第3章 生命の方程式〜)から、興味深いところを以下に引用してみると・・

二一世紀を動かしいくもの

” 何らかの虚構の神話に頼らなければ、大勢の人を効果的に組織することはできない。

虚構をまったく織り込まずに、現実にあくまでこだわっていたら、ついてきてくれる人はほとんどいない。”(位置 No.3217)

この辺りは『サピエンス全史(上)』で、ホモ・サピエンスが地球上をで勢力を拡げていく上で

” 神話は誰一人想像できなかったほど強力だったのだ。農業革命によって、混雑した都市や無敵の帝国を打ち立てる機会が開かれると、

人々は偉大なる神々や母国、株式会社にまつわる物語を創作し、必要とされていた社会的つながりを提供した。”(位置 No.1922/『サピエンス全史(上)』)

といったホモ・サピエンスの想像力にフォーカスした指摘で、更に、

” 物語は道具にすぎない。だから、物語を目標や基準にするべきではない。私たちは物語がただの虚構であることを忘れたら、現実を見失ってしまう。

すると、「企業に莫大な収益をもたらすため」、あるいは「国益を守るため」に戦争を始めてしまう。

企業やお金や国家は私たちの想像の中にしか存在しない。私たちは、自分に役立てるためにそれらを創り出した。

それなのになぜ、気がつくとそれらのために自分の人生を犠牲にしているのか?

私たちは二一世紀はこれまでのどんな時代にも見られなかったほど強力な虚構と全体主義的な宗教を生み出すだろう。

そうした宗教はバイオテクノロジーとコンピューターアルゴリズムの助けを借り、私たちの生活を絶え間なく支配するだけでなく、

私たちの体や脳や心を形作ったり、天国も地獄も備わったバーチャル世界をそっくり創造したりすることもできるようになるだろう。

したがって、虚構と現実、宗教と科学を区別するのはいよいよ難しくなるが、その能力はかつてないほど重要になる。”(位置No.3350-3359)

といった箇所が、これから深掘りされていくことになるであろうと。

関心あるところは、我々人類が突き進んでいる先の蓋然性の高い近未来ですが、

広範に及ぶ専門性を駆使して展開される唯一無二のユヴァル・ノア・ハラリが導くエンディングを楽しみに下巻に突入したく思います ^^


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