小泉純一郎元首相の本音が、本を越えて次々と突き刺さってきた:『小泉純一郎独白』読了

「総理退任後10年、初めての豪放直言4時間半!」とセンセーショナルな見出しで、注目を浴びる

『小泉純一郎独白』を読了。

注目といえども、自分は発売日当日に図書館の新刊コーナーに並べられているのを見つけて手に取った次第。

大半の内容は「文藝春秋」二〇一六年新年号で公開済みながら、定価1,080円(税込)とあり「高っ!」なんて思ったものの

ほぼ読み終えた段階で、本から次々飛び出してくるかの小泉語録に魅了され、購入にまで至ったという(笑)

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著者の常井健一さんが、小泉元首相との接点、本書出版の経緯について語った記事(出典:BLOGOS)

引き寄せられる磁力

小泉元首相は、総理就任前の勇ましさであったり、周囲に惑わされず生き様を貫くかの一匹狼ぶりであったり、

首相在任中は距離を取る感覚で居ましたが、

再び「原発ゼロ」を標榜し、細川護煕元首相とタッグを組んで都知事選の応援演説で表舞台に戻ってきた際には

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<< 2014年2月4日投稿:画像は記事にリンク >> 小泉元首相参加の細川護煕個人演説会に行ってきた

演説が行なわれている現場に数回赴き、そのパワーに魅了され、以降も動静が伝えられる度、情報を何となしに目で追っかけているという距離感。

政治の今から非情なる人間関係まで

本書はノンフィクションライターの常井健一さんが「原発ゼロ」の道筋を小泉元首相宛に便箋七枚にしたためて問うたところ、小泉元首相本人から直接応諾の連絡を受けたことで実現。

後日、指定された小料理店で冒頭に記載した通りの4時間半に及んだ取材の場で、エネルギー(原発)問題の他、政治家としての振り返りに、現在の政治状況に対する立場に、ご子息(小泉進次郎)の評価など、話題は多岐に及んでいます。

その中で印象的であったのは、折に触れ政治家として如何に「信念」が重要であるかについて言及されている点と、

人間関係に関して赤裸々に語られた部分で、後者は歴史時代小説について下記の通り評価して・・

”  俺、大好きなんだ。卑怯な行動とはどういうものか、勇気ある行動とはこういうものか、一冊読めば、実在した人物の人生から学べる。

現代小説を読んでも、そういうことはわからない。

戦国時代でも幕末でも源平の時代でも、人間、裏切ったり裏切られたりというのは当たり前なんだ。

信長、秀吉、家康見たってわかるじゃねえか。

信長は信頼していた明智光秀に殺された。秀吉はなんとか天下を取ったが、淀君との間にできた秀頼と、家康の孫、二代将軍秀忠と、お江の娘(千姫)を結婚させて、なんとかうまくやろうとした。

ところが、淀君とお江が争って、結局、秀頼が殺されちゃう。お江は、淀君の実の妹だぜ。

・・中略・・

今の時代だって、国会議員になっても思いがけない関係ばかりだよ。あんな人が強力な仲間になってくれた、あんな仲良い人に裏切られた・・・。

若い時のつき合いだけじゃ、将来、どうなるかわからない。それが人生の面白さでもあるんだけどな。”(p94-95)

と、これは常井さんが将来の首相候補と目される小泉進次郎代議士に現状、腹心がいないことを指摘したことに対して、

今の人間関係が今後どう進展していくか、また、その時で相手の対応がどのようになるか、まったく分からないとの例えとして、

また、小泉元首相自身、郵政民営化の際に

” 派閥の人よりも一番仲良かった。”(p90)

という綿貫民輔元衆議院議員議長を除名にせざる得なかった経験も交え回答したもの。

一般社会では政界ほど生々しい局面というのも稀有なのかもしれませんが、(小泉元首相の)人間社会に対する解釈、非情な選択も時に免れない現実は、本書で最も刺さってくる部分でした。

その他でも、郵政解散会見時の裏話し、演説のコツなど、150ページ程度の分量ですが、

多くの日本人の心に痕跡を残した元首相の放談、興味深く感じられる方が少なくないのではと推量します。

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本を読み、増幅させられた願い

私個人、小泉元首相は政界の中で小沢一郎代議士と並んで魅了されており、小沢代議士には直に面と向かう機会に恵まれたものの

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<< 2014年4月24日投稿:画像は記事にリンク >> 頭にある思いは、いつか具現化する:小沢一郎政経フォーラム その弐

小泉元首相の場合、首相経験者でSPに取り囲まれる周囲の厳重さに、講演予定なども入手難で「面と向き合える機会は難しいかなぁ」と半ば諦めの境地でしたが、

本書を読了し、また「どんな人だか、実際に会ってみたいなぁ」の熱が蘇ってきてしまったという(笑)・・

 


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